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賃貸事例 0704-R-0004
競売物件の入居者の建物の明渡し

平成16年4月1日に短期賃貸借の保護の制度が廃止されたが、競売で物件を取得した場合、入居者の明渡しについての取扱いがその施行日の前後の契約により、どのように違うのか。

事実関係
  平成16年4月1日に施行された短期賃貸借の保護の制度の廃止により、競売になった場合の入居者の明渡し問題が比較的わかりやすくなったが、それでも経過措置などの定めがあって、よくわからない。 そのような中にあって、木造アパートの競売物件を専門に落札する業者がおり、その業者の話によると、木造アパートの場合は6か月で明渡しができるので、あとが楽だという。
質問
  1. なぜ木造アパートの場合には6か月で明渡しができ、あとが楽なのか。
  2. そもそも、平成16年4月1日以降の賃貸借契約とその前の3月31日以前の賃貸借契約とでは、入居者の明渡しについて、どのようなルールの違いがあるのか。
回答
  1.質問1.について
木造アパートの場合は、建物価格が低いだけにいわゆる「立退料」の金額が少額で済むことと、次の入居先として、現在の(木造の)物件よりよい条件の物件をあっせんすることができるので、そのための差額補償も含めた諸費用を一時金として立退料に加算することにより明渡しがスムーズにいくということだと思われる。ただ、後述(【回答】2.)のとおり、抵当権設定前からの入居者が多い場合には、(法的には)6か月はおろか、1年以上かけても明渡しができるとは限らないので、十分注意が必要である。
 
2.質問2.について
確かに、平成16年4月1日以降の賃貸借契約においては、民法の改正により、短期賃貸借の保護の制度は廃止されたが、現在の多くの賃貸借契約はまだそれ以前の短期賃貸借の保護の制度が生きている時代のものが多い(民法平成15年8月1日附則第5条)。したがって、宅地建物取引業者の方々が、上記【事実関係】に記載されているような事業を行う場合には、本問のような事項を十分理解しておく必要がある。

そこで、本問の回答の内容をわかりやすくするために、次のような表をつくり、東京地方裁判所における競売物件の「物件明細書」に記載されている内容と対比させながら、平成16年4月1日の施行前と施行後の契約における入居者の明渡しについてのルールの差異を明らかにすることとする。

(注)
「物件明細書」とは、不動産の競売手続において、競売に参加する者の利便に供するため、執行裁判所がその裁判所に備え置くか、またはインターネットで閲覧できるようにしている書面または記録のことで、その書面等には、①不動産の表示、②不動産に係る権利の取得および仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの、③売却により設定されたとみなされる地上権の概要を記載するものとされている(民事執行法第62条)。

  「物件明細書」の記載内容 競落人は、入居者に対しいつから建物の明渡しを求めることができるか


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3

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〔期間の定めがないケース〕
(注)上記賃借権は最先の賃借権である
この賃借人に対しては、競落人に法律上の「正当の事由」がない限り、明渡しを求めることは難しい。
〔期間の定めがあるケース〕
上記賃借権は最先の賃借権である。期限後の更新は買受人に対抗できる。
同上









〔期間の定めがないケース〕
(注)上記賃借権は抵当権設定後の賃借権である。
この賃借人は、(経過措置の規定により)短期賃貸借の保護を受け、かつ、期間の定めがない賃貸借の賃借人なので、競落人から明渡しを求めるには、6か月前の解約申入れが必要である(借地借家法第27条)。したがって、競落人は直ちに引渡命令を求めることも難しい(しかし、逆に言えば、解約申入れ後6か月を経過すれば、明渡しが可能になるということである)。
〔期間の定めがあるケース〕
上記賃借権は抵当権設定後の賃借権である。期限後の更新は買受人に対抗できない。
この賃借人は、(経過措置の規定により)短期賃貸借の保護を受けるので、期間満了までは賃借権を主張できるが、期間満了後は競落人に対抗できない(つまり、競落人は、期間満了後は明渡しを求めることができるということである)。


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(期間の定めの有無を問わず) この賃借人に対しては、競落人に法律上の「正当の事由」がない限り、明渡しを求めることは難しい。









(期間の定めの有無を問わず) この賃借人は短期賃貸借の保護の制度の適用を受けないので、一律に、競落人はその所有権取得(代金納付)の6か月後には建物明渡しを求めることができる。

(注)
〔期間の定めがないケース〕とは、建物賃貸借契約において最初から期間を定めないケースのほか、「法定更新」されたために「期間の定めがない」ものとされたケースを含む(借地借家法第26条第1項ただし書)。
監修者のコメント
賃借人あるいは占有者の存在する物件については、その賃借権を引受ける予定の場合はともかく、明渡しを予定する場合は、それ相応の時間と費用を覚悟して競落したほうがよい。

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