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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 1212-R-0110
建物賃貸借契約の中途解約と期間満了による契約の終了

 建物賃貸借契約における借主からの「解約申入れ条項」は、借主が「中途解約」する場合に適用される条項であって、期間の満了に合わせて契約を終了させる場合には借地借家法第26条の「更新拒絶条項」を適用すべきと考えるが、この考え方は正しいか。

事実関係

 当社は賃貸の媒介業者兼管理業者であるが、このたび建物のオーナー貸主とサブリース業者との間の建物賃貸借契約について、サブリース業者から、期間満了をもって契約を終了させるには、当該賃貸借契約における「解約申入れ条項」に基づいて契約を終了させるのか、それとも借地借家法の「更新拒絶条項(第26条)」に基づいて契約を終了させるのか、という相談があった。その理由は、現在、借主が解約申入れする場合の約定期間である6か月をすでに切り、更新を拒絶する場合の6か月の法定期間も切っていたが、本件の賃貸借契約書に、解約申入れ条項として、次のような「ただし書き」が定められていたからである。
 (解約申入れ条項)
 「借主からの解約申入れは、6か月前までに貸主に申入れることにより、契約を終了させることができる。ただし、解約申入れの日から180日分の賃料または賃料相当額を貸主に支払うことにより、解約申入れの日から起算して180日を経過するまでの間、随時契約を終了させることができる。」

質問

  •  本来の「解約申入れ条項」は、借主が「中途解約」する場合に適用される条項であって、期間満了時に契約を終了させる場合には、借地借家法第26条の「更新拒絶条項」を適用すべきだと考えるが、どうか。
  •  本件の場合には、解約申入れ条項に「ただし書き」が定められているので、その結果として、借主が解約の申入れと同時に6か月分の賃料相当額を支払えば、その申入れが6か月未満における申入れであっても、期間満了と同時に契約を終了させることができることになると考えられるが、その考え方は正しいか。

回答

1.   結 論
 質問1.について ― 原則はそのとおりであるが、解約申入れ条項は「中途解約」の場合に限らず、期間の満了時に契約を終了させる場合にも適用することができるので、必ずしもそのように考える必要はない。
 質問2.について ― 正しい。
2.   理 由
⑵について
 一般に「解約申入れ条項」といわれるものは、借主に解約権を留保する条項で、借主が契約を終了させたいと希望する期日に合わせて、あらかじめ貸主にその旨を申し入れることにより契約の効力を消滅させる特約である。したがって、本件のように契約期間の満了日に契約を終了させたいというのであれば、その満了日に合わせた解約の申入れをすることにより、所期の目的を達することができるのであるから、何も借地借家法の規定に基づいて更新を拒絶するという手続を踏まなくてもよいのである。
 なお、本件の場合は、偶々解約申入れの場合の予告月数と更新拒絶の場合の予告月数が6か月と同一になっているが、いずれもその予告月数を6か月未満と特約することは、いずれも借主からの申入れであることから有効である(借地借家法第30条)。

参照条文

借地借家法第26条(建物賃貸借契約の更新等)
 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
同法第30条(強行規定)
 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

監修者のコメント

 契約期間の定めがある建物賃貸借契約においては、中途解約条項がない限り、借主から期間途中の解約はできない。このことについて意外に誤解されており、貸主からはできないが、借主からはできると思っている人も結構多い。法定更新により「期間の定めのない契約」になっている場合は、賃借人はいつでも解約申入れをすることができ、解約申入れの日から3か月で契約が終了する(民法第617条)。しかし、契約期間を定めた契約は、借主は借りる権利があるとともに借りる義務もあり、期間途中で一方的な解約はできない。ただ、借主が建物を必要としなくなったのに、絶対に解約できないのは不合理であるため、世間では一定の予告期間付きで中途解約条項を設けることが多く、これは借主に有利であるため有効な約定である。
 質問の「期間満了に合わせて契約を終了させる」場合、借主からの更新拒絶に関する特約がないときには、借地借家法第26条第1項により期間満了の1年前から6か月前までに借主がその旨を通知しなければならず、その通知が「更新拒絶の通知」であり、その6か月前を経過してしまって更新とみなされたあとにするのは、約定による「解約申入れ」である。

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