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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1210-B-0159
媒介契約の更新後における更新前の広告費用の償還請求の可否

 専属専任媒介契約を更新したが、更新された期間内に、媒介業者の責めに帰すことができない事由によって媒介契約が解除されたときは、媒介業者は、更新前に投下した広告費用について償還請求をすることができるか。

事実関係

 当社は、4か月前に専属専任媒介契約で売却の受託をした物件について、1か月前に媒介契約を更新した。その理由は、価格を下げて行った2回目の広告によって交渉が開始された有力見込客との商談が、媒介契約の期間満了後にずれ込んでしまったからである。
 ところが、売主としては今回の広告が再度の値下げ広告だったので、その見込客との商談が不成立に終った場合には更新後の媒介契約を打ち切りたいと考えているらしく、今回の商談に当たっては、買主からの指し値には一切応じようとしない。


質問

  •  このような状況の中で商談が決裂し、売主が媒介契約を解除すると通知してきた場合、当社は、媒介契約を更新する前の広告費用相当額を、売主に償還請求することができるか。なお、当社は媒介契約の締結に当たっては、国土交通省が作成した標準媒介契約約款を用いている。
  •  今回の価格を下げて行った2回目の広告は、売主からのたっての希望で行ったものであるが、そのような経緯がある場合には、少なくともその部分についての広告費用の償還請求は可能だと思うが、どうか。

回答

1.   結 論
 質問1.について ― 貴社の行った広告が、媒介契約の更新を前提に行ったものであればともかく、そうでない場合には請求はできないと解される。
 質問2.について ― 売主が再度の値下げ広告を希望するに当たり、それが時期的に見ても、媒介契約の更新を前提に依頼したことが明らかであるといえるのであれば、その部分についての広告費用の償還請求は可能であると解される。
2.   理 由
 媒介業者からの費用の償還請求は、標準媒介契約約款によれば、その媒介契約の有効期間内に、媒介業者の責めに帰すことができない事由によって媒介契約が解除されたときに、(それまでに)媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができるということであるが(約款第12条)、媒介契約が更新された後に依頼者の都合で媒介契約が解除された場合、媒介業者が更新前に要した費用の償還請求ができるかどうかについては、約款上明らかではない。
 一般的な解釈としては、通常媒介業務は、媒介契約に基づく3か月を1つの営業単位として成約に向けて努力をしていくものと考えることができるので、当該媒介契約の期間内に投下した費用について、当該媒介契約の期間内に契約が解除されたときに償還請求することができると解釈するのが素直な解釈であろうが、たとえば売主が、期間が満了する直前になって広告を打って欲しいと言ってきたような場合には、媒介契約の更新が前提になって行われた広告費の投下であると考えることができるので、そのような場合には、更新後に媒介契約が解除されたときは、その期間満了直前の広告費用の償還請求ができると解釈してもおかしくはない。なぜならば、その更新前に投下された広告費用は、更新後の媒介契約の履行のために要した費用といえるからである。
 そのように考えてくると、本件の2回目の値下げ広告の費用については、もし時期的に見て、その更新後の媒介契約の履行のために要する費用として投下されたと考えることができるのであれば、媒介業者側に媒介契約を解除されるような特段の事情がない限り、売主には媒介業者の投下した費用の償還請求に応ずべき義務があるといえよう。

参照条文

専属専任媒介契約約款第12条(費用償還の請求)
   専属専任媒介契約の有効期間内において、乙の責めに帰すことができない事由によって専属専任媒介契約が解除されたときは、乙は甲に対して、専属専任媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。
   前項の費用の額は、約定報酬額を超えることはできません。

参照資料

宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)
第34条の2(媒介契約)関係-抄-
3(3)標準媒介契約約款の運用について
   履行に要した費用について
 宅地建物取引業者が契約の履行に要した費用を請求するに当たっては、現地調査に要する費用として、交通費、写真代、権利関係等調査に要する費用として、交通費、謄本代、販売活動に要する費用として、新聞・雑誌等の広告費、通信費、現地案内交通費、契約交渉に要する費用として、交通費、その他当該媒介契約の履行のために要した費用として明細書を作成し、領収書等で金額を立証して請求するものとする。

監修者のコメント

 更新後の媒介契約も更新前のものと一連の媒介契約と解し、更新前における広告費も償還請求ができるとの解釈も可能と思われるが、慎重を期して回答のような考え方に基づいて処理したほうが無難であろう。
 注意して頂きたいのは、本ケースはあくまでも媒介業者の責めに帰す事由がないのに、依頼者が一方的に媒介契約を解除した場合の話であって、解除でなく、成約せずに単に媒介契約期間が満了したという場合は、原則として広告費等の履行費用の請求ができないことである。媒介業者が成約いかんに拘わらず、別途請求できるのは、依頼者から「特別の依頼」のあった広告費と「特別の依頼」のあった遠隔地への出張費用のみである。

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