不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 1202-R-0099
所有者が異なる複数の土地を一体で事業用定期借地にする場合の留意点

 当社は事業用定期借地契約の媒介をするが、借地する土地が道路に接している土地(A地)だけでは足りないので、奥の道路に接していない別の所有者の土地(B地)も借地する。このような場合、事業用定期借地は、A・B両地を別々に契約し、公正証書も別々に作成すればよいか。それともA・B両地を一括して契約し、公正証書も一本で作成すればよいか。その場合の事業用定期借地契約における留意点は何か。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、このたびある企業の倉庫用地として借地する事業用定期借地契約の媒介をする。その際、借主としては借地する土地が下図のような道路に接している土地(A地)だけでは足りないので、奥の道路に接していない別の所有者の土地(B地)も借地する。

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質問

  •  このような場合、事業用定期借地契約は、A・B両地についてそれぞれの貸主と契約し、それぞれの契約について公正証書を作成すればよいか。それとも、A・B両地について一括して契約を締結し、公正証書も一本で作成すればよいか。
  •  このような事業用定期借地契約(覚書)を作成するうえで、注意する点は何か。

回答

1. 結 論
 質問1.について ― A・B両地を一括して契約し、一本の公正証書にする方法も考えられるが、公証人によっては当事者が異なることを理由にそれを認めないこともあり得るし、保証金や賃料の額が異なるなどの理由で当事者が一本化をためらうこともあり得るので、A地・B地別々に公正証書にする方がスッキリすると考えられる。
 質問2.について ― A・B両地について、一括して借地契約を締結するにしても、別々に借地契約を締結するにしても、いずれの場合もA・B両地が借主の倉庫利用のために一体として使用されることを、A・B両地の貸主が互いに確認し合う条項が定められていることが必要である。たとえば、A地の方には専ら車両が出入りし、B地の方には倉庫が建築されるとしても、そのA・B両地が一体で建物所有を目的とする事業用定期借地の対象になっているということを互いに確認し、あとになってA地の貸主が、A地は建物所有を目的としていないなどと主張したり、B地の貸主が、B地は接道義務を満たしていないので倉庫は建てられないなどと主張することがないように、あらかじめ借主が建築する建物配置図などの土地利用図面を添付したうえで、事業用定期借地契約(覚書)を締結することが必要である。
 問題は、契約締結後、借主が賃料の支払いを滞ったり、何らかの債務不履行をした場合の取扱いであるが、この場合は、たとえばA・Bいずれの土地について賃料の不払い等があった場合であっても、貸主は、一定の場合にはみずからの貸地についての借地契約を解除することができ、その場合は、もう一方の借地契約も自動的に解除になるようにしておくなどの措置が必要となろうが、他方、借主が借地契約期間中に借地権をA・B一体で第三者に譲渡するような場合には、その譲渡を両貸主が認めることにより、第三者との間で土地利用が継続できるようにしておくなどの配慮も必要となろう。なお、本件の場合は、土地の利用に当たって、A・B地のいずれかに建物を建てるということも考えられるので、そのためにもA・B両地について事業用定期借地権の登記をしておくことが望ましいであろう(不動産登記法第81条第7号=後記【参照条文】【参考書式(記載例)】参照)。

参照条文

借地借家法第23条(事業用定期借地権等)
 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
 前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
不動産登記法第81条(賃借権の登記等の登記事項)
 賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 賃料
 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
 敷金があるときは、その旨
 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
 前号に規定する場合において建物が借地借家法第23条第1項又は第2項に規定する建物であるときは、その旨
 借地借家法第22条前段、第23条第1項、第38条第1項前段若しくは第39条第1項又は高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)第56条の定めがあるときは、その定め

参考書式(記載例)

⑴ 借地借家法第23条第1項の事業用定期借地権(土地)

⑵ 借地借家法第23条第2項の事業用定期借地権(土地)


監修者のコメント

 複数の物件を一人の借主に貸与する場合は、物件ごとではなく、一括した賃貸借契約で締結するほうが適切であるが、本件のように別々の所有者と借地契約を締結する場合は、一体的な利用であっても、当事者ごとの別々の契約にするほうがよいと考える。一体的利用であっても必ずしもすべての契約条件が全く同じではないことがあり得るし、例えば債務不履行解除の意思表示の発信者はどうなるのか、借主からの意思表示の受領者はどうするのか、という一つをとっても、一本の契約では契約の条文がかなり複雑化するからである。ただ、両契約が相互に依存しており、その一体性を両方の契約で明確にしておくことが肝要である。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「接道義務」
“スコア”テキスト丸ごと公開! 「事業用定期借地」
“スコア”テキスト丸ごと公開! 「敷金」

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