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売買事例 1112-B-0144
計画決定段階の土地区画整理事業地内の土地売買と重要事項説明

 このたび市が施行する計画決定段階の土地区画整理事業地内の土地の売買を媒介するが、そのような計画決定段階の土地であっても、重要事項説明をする必要があるのか。組合施行の土地の場合には、どの段階から重要事項説明をする必要があるのか。その場合の重要事項説明の内容はどのようなものか。

事実関係

 当社は媒介業者であるが、このたび市が施行する土地区画整理事業の計画決定がなされた段階の施行区域内の土地を、一般の個人地主から一般の個人消費者に売却する。

質問

  •  このような計画決定段階の土地を取引する場合にも、土地区画整理事業に関する法令上の制限について重要事項説明をする必要があるのか。
  •  もしこの事業が組合施行の土地区画整理事業であるとしたら、どのような段階から土地区画整理事業に関する法令上の制限についての重要事項説明をする必要があるのか。
  •  このような仮換地指定がなされる前の土地区画整理事業地内の土地を媒介する場合、買主に対し、どのような内容の重要事項説明をしたらよいか。

回答

1. 結論
   質問1.について ― 説明をする必要がある。
   質問2.について ― 組合設立の認可の公告または事業計画の変更の認可の公告後の取引から当該法令上の制限についての重要事項説明を行う必要がある。
   質問3.について ― 少なくとも宅地建物取引業法第35条第1項第2号の規定に基づいて、同法施行令第3条第1項第6号に掲げられている該当事項を説明するが(後記【参照条文】参照)、いずれの該当事項を説明するにしても、その前提として、当該土地が土地区画整理事業地内の土地であることから、当該取引対象となっている土地が換地処分後には面積減(減歩)となることと、その換地処分時点での所有者に対し、清算金の徴収または交付がなされることがあることの2点については、施行者から入手した計画図面なり説明書を添付したうえで、しっかりと説明しておくことが必要である(仮換地の売買等の取引については、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第35条第1項関係)二参照)。
2. 理由
    ⑴について
     市が施行する土地区画整理事業においては、その事業計画の決定の公告または事業計画の変更の公告がなされた日以降の事業地内の土地取引について、都市計画事業として行う場合の都市計画制限と同様の規制がはたらくことになっており(土地区画整理法第76条第1項第4号、都市計画法第53条第1項)、そのため宅地建物取引業法においても、その公告がなされた日以降の取引について、その規制の内容を重要事項として説明するよう義務付けている(同法第35条第1項第2号、同法施行令第3条第1項第6号)。
    ⑵について
     組合施行の土地区画整理事業においては、【回答】の結論で述べたとおり、組合の設立の認可等の公告がなされた日以降の取引から規制にかかるので(土地区画整理法第76条第1項第2号)、宅地建物取引業法においても、その認可等の公告があった日以降の取引について、重要事項説明を要するものとしている(同法第35条第1項第2号、同法施行令第3条第1項第6号)。
    ⑶について
     (略)

参照条文

宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明等)
   宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない
  (略)
   都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
  ~十四(略)
  ~⑤(略)
同法施行令第3条(法第35条第1項第2号の法令に基づく制限)
   法第35条第1項第2号の法令に基づく制限で政令で定めるものは、宅地又は建物の貸借の契約以外の契約については、次に掲げる法律の規定(これらの規定に基づく命令及び条例の規定を含む。)に基づく制限で当該宅地又は建物に係るもの及び(中略)で当該宅地又は建物に係るものとする。
    一~五(略)
   土地区画整理法第76条第1項、第99条第1項及び第3項、第100条第2項並びに第117条の2第1項及び第2項
    七~三十三(略)
  、③(略)
土地区画整理法第76条(建築行為等の制限)
   次に掲げる公告があった日後、第103条第4項の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくはたい積を行おうとする者は、国土交通大臣が施行する土地区画整理事業にあっては国土交通大臣の、その他の者が施行する土地区画整理事業にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない。
 個人施行者が施行する土地区画整理事業にあっては、その施行についての認可の公告又は施行地区の変更を含む事業計画の変更(以下この項において「事業計画の変更」という。)についての認可の公告
 組合が施行する土地区画整理事業にあっては、第21条第3項の公告又は事業計画の変更についての認可の公告
 区画整理会社が施行する土地区画整理事業にあっては、その施行についての公告又は事業計画の変更についての認可の公告
 市町村、都道府県又は国土交通大臣が第3条第4項又は第5項の規定により施行する土地区画整理事業にあっては、事業計画の決定の公告又は事業計画の変更の公告
 機構等が第3条の2又は第3条の3の規定により施行する土地区画整理事業にあっては、施行規程及び事業計画の認可の公告又は事業計画の変更の認可の公告
  ~⑤(略)
都市計画法第53条(建築の許可)
   都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
 政令で定める軽易な行為
 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
、五(略)
  、③(略)

監修者のコメント

 本ケースは、もちろん宅建業法にいう「宅地」の売買であることを前提の質問であると思われる。そうであれば、土地区画整理事業地内の土地であっても、どの段階であろうとも、媒介に当たって重要事項説明の必要がある。どの段階にあるかによって、回答のとおり「法令上の制限」に関する説明事項が異なるだけである。

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