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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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賃貸事例 1108-R-0092
連帯保証人の死亡による後任の連帯保証人の選定

 建物賃貸借契約の期間中に借主の連帯保証人(父親)が死亡した。借主(息子)は、その後任の連帯保証人に死亡した連帯保証人の配偶者(母親)を希望したが、貸主は、後任の母親の資力不足を理由に反対している。このような場合、そもそも貸主にはそのような反対をする権利があるのか。賃貸管理業者としてはどのように対応したらよいか。

事実関係

 当社は賃貸の媒介業者兼管理業者であるが、このたび当社の管理物件の中の賃貸マンションで、借主の連帯保証人が死亡した。
 借主は連帯保証人の息子で、借主(息子)としては、すぐに代わりの連帯保証人を見つけることができないので、とりあえず連帯保証人の配偶者である母親にしたいと申し出たが、貸主は、母親では資力に乏しいので、もっと資力のある人にして欲しいと言ってきた。

質問

  •  貸主には、本件のような賃貸借の期間中に、借主に対し、「もっと資力のある者を連帯保証人にして欲しい」などという権利があるのか。
  •  このような場合、賃貸管理業者としてはどのように対応したらよいか。
     なお、後任の連帯保証人となる母親は、家は相続したのであるが、特に職業をもっているわけでもなく、いわゆる「年金生活者」ということである。

回答

   質問1.について ― 貸主は、賃貸借の期間中であっても、たとえば保証人の相続人が未成年者であったような場合には、【質問】にあるような請求をすることができるであろうが(民法第450条第2号、第2項)、本件のようなケースの場合には、一概に相続人(母親)に資力がないというのは問題であろう。
 なお、この保証人の資力についての請求は、あくまでも賃貸借契約上の保証人設置契約に基づいて貸主が借主に対し請求できるのであって、貸主が保証人との間の保証契約に基づいて、その相続人である母親に対してできるというものではないので、注意が必要である。
   質問2.について ― 本件の場合は、母親は死亡した連帯保証人の相続人であるから、母親はすでに保証債務を相続しており、すでに保証人になっている(注)わけであるから、貸主がその保証人に資力がないというのであれば、貸主みずからがその保証人に資力がないことを立証する必要があり、法的にはやや面倒なことにもなりかねない。
 したがって、本件のケースにおいては、管理業者としてはとりあえず母親を連帯保証人とし、その後において連帯保証人としての適格性や対応に問題が生じたときに他の方法を考えるということで、双方が納得のいくようなかたちで対応するのが望ましいであろう。
  (注)  人が死亡すると、その人の財産は子や配偶者に相続される。民法はそのことを、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」といっている(民法896条)。
その一切の権利義務というのは、単に具体的な権利義務だけでなく、権利義務として具体的に発生するに至っていない法律関係ないし法的地位、たとえば契約の申込みを受けた地位や売買契約を締結したあとの売主としての担保の責に任ずる地位なども承継される。したがって、本件のような保証人としての保証契約上の地位も当然子や配偶者に承継(相続)されることになる。

参照条文

  民法第450条(保証人の要件)
   債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
    一 行為能力者であること。
    二 弁済をする資力を有すること。
   保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
   前2項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。
  民法第896条(相続の一般的効力)
     相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

監修者のコメント

 判例は、賃借人のための保証は相続性がある、すなわち保証人が死亡した場合は、その相続人が保証債務を承継する、としている(大審院(現在の最高裁判所に当たる)昭和9年1月30日)。したがって、本ケースでは、連帯保証人の相続人である妻と子が保証債務を承継することになるが、子自身は主たる債務者であるため、保証人の地位と相容れず、結局、妻(借主の母)のみが保証人となる。しかし、事実関係にあるように、母親が無職で年金生活者とのことであるが、その一事をもって民法450条の「保証人の要件」を欠くと決め付けることは微妙な問題である。主たる債務は、多額の借金ではなく、月々の家賃であることを考えると、「弁済の資力」を有しないと一概に言えるか疑問だからである。借主にそれまで家賃の滞納がまったくなかったという事情があるならば、なおさらである。

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