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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

2406-B-0333
後見人選任前の被後見人所有財産についての停止条件付処分の可否

 認知症とおぼしき父親の財産を息子が後見人になって処分するが、その後見人選任前に、息子が後見人になること停止条件として売買契約を締結したい。

事実関係

 当社は不動産取引の媒介業者であるが、当社の管理物件の中の1つで、認知症とおぼしき父親が所有しているアパート(自宅は他にある)を、息子が売却したいと言ってきた。売却の理由は、父親の今後の治療費などを捻出するためだという。父親はすでに自筆で委任状が書ける状態にはない。

質 問

 息子が後見人になって本件アパートを売却したいと考えているが、後見人に選任される前に、息子が後見人に選任されることを停止条件として、息子との間で、売買契約を締結することは可能か。

回 答

1.  結 論
 法理論的には可能であるが、実務としては、裁判所による後見人の選任をまってから取引を行うべきである。
2.  理 由
 後見人は、すべて家庭裁判所により選任される(民法第843条)。成年後見人の職務内容は、成年被後見人の療養看護、生活全般にわたる配慮、財産の管理および法定代理などである(同法第858条、第859条)。そして、そのような重要な職務を行うために、後見人と被後見人の利益相反行為は認められず、そのような場合には特別代理人を選任しなければならないが、後見監督人が選任されているときは、その後見監督人が特別代理人の行為を行うことになっている(同法第860条)。このように、後見人は任意の機関である後見監督人のほかに、一定の行為については家庭裁判所の監督にも服することになっている(同法第863条)。
 後見人にはかなり厳しい制約があるため、その選任に当たっては、必ずしも息子が選任されるとは限らず、別の者が選任されることも十分あり得る。
 したがって、今回のような被後見人所有の財産処分に当たっては、より慎重な対応が求められなければならず、まして後見人の選任前の処分であるから、いかに息子が行うにしても、また、停止条件付の契約をするといっても、万一の場合には、その財産についても損害を与える可能性が全くないとはいえず、あくまでも他人の財産であることからも、その処分には最大限の慎重な対応が求められなければならないであろう。

参照条文

 民法第858条(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
   成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
 同法第859条(財産の管理及び代表)
   後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
   (略)
 同法第860条(利益相反行為)
   第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
 同法第863条(後見の事務の監督)
   後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
   家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。

監修者のコメント

 本ケースにおける息子の契約締結行為は、あくまでも無権代理行為であって、もし息子が成年後見人に選任されなかったときは、停止条件が成就せず、売買の効力が生じないことになる。そして、売却の理由が治療費を捻出するためというのであるから、後見人選任前に治療費の支出が必要という事情があるようである。売買契約締結に際して買主は代金を支払うが、もし条件が成就しなかった場合、代金は買主に返還されるであろうか。

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