不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

2308-B-0322
宅建業者間の他人物売買における買付証明書と売渡承諾書の交換

 当社(宅建業者=売主)は、マンションデベロッパーを買主とする土地の他人物売買を行うが、当社は、土地の所有者との間で取得のための売買契約を締結する前に、買主に対し重要事項説明をしても問題ないか。そのような状況の中で、買主は、当社に対し買付証明書を交付したいと言うが、当社も買主に対し売渡承諾書を交付しても問題ないか。

事実関係

 当社はマンションデベロッパーからの依頼で、マンションの建設用地の買収や売買の媒介をしている宅建業者であるが、このたび当社がマンションデベロッパーに紹介しようとしている土地は、通常の媒介では用地の取りまとめが難しいので、当社が一旦土地を買い取り、そのうえでデベロッパーに土地を売り渡そうと考えている。ところが、デベロッパーとしては、その土地がかなり良い土地なのですぐにでも欲しいということで、先に重要事項説明をして欲しいと言ってきた。しかし、当社はまだ土地の所有者との間で、取得のための土地売買契約を締結していない。

質 問

1.  このような状況にある土地(他人物)について、当社がその取得のための売買契約を締結する前に重要事項説明をしても、宅建業法上問題ないか。
2.  マンションデベロッパーが買付証明書を当社に交付したいと言うので、当社も売渡承諾書を交付したいと考えているが、この時点で売渡承諾書を交付することは何か問題になるか。その売渡承諾価額を売渡予定価額と記載した場合にも問題となるか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 問題ない。
 質問2.について ― いずれの場合も宅建業法上問題となることはないが、買付証明書に買受希望価額が記載され、売渡承諾書に売渡承諾価額が記載されている場合には、その売渡承諾価額が予定価額として記載されていたとしても、当事者間の意思いかんによっては、売買予約などの法的効果が生じる場合もあるので、貴社の取得のための土地売買契約が予定どおり成立しなかったり、予定どおり契約の履行がなされなかった場合には、貴社の債務不履行あるいは契約締結上の過失などを理由に、損害賠償請求などがなされる可能性がある。したがって、そのようなトラブルを避けるためには、貴社が交付する売渡承諾書に、「正式な売買契約の締結は、当社が目的物件を取得する契約を締結した後に、貴社と細目を協議した上で行うものとする。」というような文言を記載しておくなどの配慮が必要であろう。
2.  理 由
について
 重要事項説明は、契約の締結前に行うものであるから、他人物売買の場合であっても、その取得のための売買契約の締結前に説明することが宅建業法上問題となることはない。
について
 本件の他人物売買は、宅建業者間の売買であるから、宅建業法第33条の2の制限規定に直接抵触することはないが(同法第78条第2項)、今回貴社と買主との間で交換される売渡承諾書と買付証明書は、契約の当事者が直接交換するものであるから、その交換の結果、当事者間の意思いかんによっては、売買の予約あるいは停止条件付の売買ないしその予約が成立する可能性がある。したがって、もし貴社の取得のための土地の売買契約が予定どおり成立しなかったり、予定どおり契約の履行がなされなかった場合には、その当事者間で交換された売渡承諾書と買付証明書に記載されている文言いかんによっては、貴社に債務不履行などの問題が生じる可能性がある。

参照条文

 民法第560条(他人の権利の売買における売主の義務)
   他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
 宅地建物取引業法第33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)
   宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
   宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときその宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令で定めるとき。
   (略)
 同法第78条(適用の除外)
   (略)
   第33条の2及び第37条の2から第43条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。

監修者のコメント

 重要事項説明は、買主、借主等が契約締結後に「そういうこととは知らなかった」ということを防止しようという趣旨の制度であるので、契約締結前であればいつでもよく、また他人物売買でも変ることはない。ただ、あまり早い段階では、物件のことはともかく違約金や瑕疵担保責任など取引条件に関する事項が未だ決まっていないことがあるので、内容によっては、契約締結前に改めて補充的な重要事項説明をする必要があることに注意されたい。
 また、買付証明書や売渡承諾書の交付(交換)については、当事者が自由に決定できる事柄であるが、裁判例の傾向としては、それらの書面は「買う意思がある」「売ってもよい」という意思の表明にすぎず、買主が単に金融機関に提出するために発行することもあることから、その交換のみでは、特別の事情がない限り、売買契約は成立しないとみるものが多い。

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