不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

2206-R-0248
法人契約をした借主会社の合併・事業譲渡と賃貸借契約の行方

 法人契約をしている借主会社が合併をするという。このような場合、賃貸管理業者としてどのように対応したらよいか。
 事業譲渡の場合と対応が異なるのか。その場合の知識として、どのようなことを知っていなければならないか。

事実関係

 当社はある会社の借上げ社宅を管理しているが、その会社から、近日中に合併するという連絡を事務員が受けた。そこでその事務員に、「その後の契約の名義をどうするのか」を会社の人に聞いたのかと質したところ、会社の人は、「あとで電話を下さい」というだけで、何も言っていなかったということであった。

質 問

1.  このような場合、賃貸管理業者としてどのように対応したらよいか。その場合の知識として、どのようなことを知っていなければならないか。
2.  似たようなケースで、以前に同業者が、事業譲渡をした会社の社宅契約を管理していたことがあるが、そのケースと合併のケースでは対応が異なるのか。

回 答

 質問1.について ― とりあえず、その会社に電話をして、契約の名義がどうなるのか、すなわち合併契約の内容が吸収合併の場合には「存続会社」の商号、新設合併の場合には新しく設立される「新設会社」の商号を確認する。そしてそのうえで、いつの時点で契約書を存続会社名または新設会社名のものに切り替えるかを確認する。もちろん、すぐに切り替える必要はなく、契約更新の際に切り替えるということでも全く問題はない。ただ、賃料の振込会社名や口座番号等が変わるとすれば、その旨の通知と存続会社または新設会社の登記事項証明書等の関係書類の交付は受けておく必要がある。
 なお、その際の知識として知っておくべきことは、合併の場合には、吸収合併・新設合併いずれの場合にも、その消滅会社(新設合併の場合は両社。以下同じ。)の財産(権利義務)はすべて存続会社または新設会社に包括的に承継されるということと(会社法第2条第27号・第28号)、消滅会社の株主は存続会社または新設会社の株主になるため、会社は解散するが、清算手続は行わないという程度の知識は必要であろう(会社法第475条第1号)。
 質問2.について ― 合併の場合と事業譲渡の場合では、対応が異なる。その理由は、合併の場合は、前記(1)で述べたとおり、消滅会社の財産(権利義務)が包括的に存続会社または新設会社に承継されるのに対し、事業譲渡の場合には、その事業譲渡は通常の取引法上の契約と解されているので、事業譲渡契約で定めた範囲の財産(権利義務)が個別に譲受会社に移転することになり、そのための個々の移転手続が必要になるからである。つまり、合併の場合には移転する事業財産(権利義務)の一部除外はできないが、事業譲渡の場合にはそれができるということである。
 したがって、事業譲渡の場合には、その譲渡契約において社宅を譲渡対象から除外したときは、その社宅に関する賃貸借契約は譲受会社に承継されないので、賃貸管理業者としては、譲渡会社がその社宅を残さない限り、賃貸借契約を解約しなければならないということになる。

参照条文

 会社法第2条(定義)
   この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
    ~二十六 (略)
    十七 吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
    十八 新設合併 2以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。
  (以下省略)
 会社法第471条(解散の事由)
   株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
    ~三 (略)
     合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
    ・六 (略)
 会社法第475条(清算の開始原因)
   株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
     解散した場合(第471条第4号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
    ・三 (略)

監修者のコメント

 会社の合併の場合、吸収合併でも新設合併でも、存続会社、新設会社に権利義務が承継されるが、法人契約の場合、賃借人がどんな会社でもよいというわけにはいかないので、賃貸借契約において合併による契約上の地位の承継を賃貸人の承諾・同意にかからしめたり、解除原因の一つとしているケースもある。したがって、まず賃貸借契約の条項をチェックする必要がある。
 なお、事業譲渡の場合は、賃借人の交替と同視し、賃借権の譲渡と同じ法律関係と考えてよい。

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