不動産相談

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ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

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不動産のプロフェッショナル

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

2204-B-0302
一般事業者が不動産業者から顧客紹介料を継続的に受領することの違法性の有無。

 宅建業者である当社に宅建業免許のない建築会社から、顧客紹介の業務提携の申し入れがあった。建築会社は、事業として顧客の紹介業務を反復継続して行い、収益源として成長させたいと考えている。

事実関係

 当社は不動産の媒介業者である。当地は、新線の延長により人口の増加が見込まれる地域である。地元の建築業者から顧客紹介提携の申入れがあった。建設業者は長年当地で営業しているが、流入人口増をとらえて、住宅建設を主要業務としたい考えを持っている。住宅建築を予定している顧客は、同時に土地を探している者も多く、宅建業免許のない建築業者は、当社に「土地なし顧客」を紹介し、紹介料の受領を目論んでいるほか、買換え顧客も取り込むことも視野に入れている。ゆくゆくは、紹介業を事業の一つとしたいと積極的である。
 当社としても、不動産需要が高まることが予測される地域であり、この建築業者以外にも一般事業法人と、社員やその取引先従業員の顧客紹介に関する業務提携先の拡大を考えている。

質 問

 宅建業免許のない一般事業法人と当社が顧客紹介を目的とする業務提携契約を締結し、その法人に顧客紹介料を反復継続して支払うことが違反・違法行為にならないか。

回 答

1.  結 論
 一定の条件により、紹介料を受領する一般法人及び支払者である貴社の両者とも違反・違法行為にあたらないと解する。
2.  理 由
 宅建業法上、個人または事業者が不動産に関する一定の行為を「業として行う」には免許を受けなければならない(宅地建物取引業法第2条)が、「業として行う」ことは、一般の者を対象に取引し、また、反復継続的に取引することは事業性が高く、宅建業免許が必要な行為とされている(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方第2条第2号関係参照)。
 一般事業法人が福利厚生目的で、不動産購入または売却希望がある社員を、宅建業者に紹介する例は多いと思われる。福利厚生目的である場合、社員が成約した際に、新築価格または媒介報酬額を割り引くことが一般的であろう。しかし、一般事業法人等の事業者や個人が宅建業者に顧客紹介を反復・継続して行い、紹介料や謝礼名目の金銭を受領する行為は、顧客の斡旋行為(媒介行為)の対価との疑義もあり、業法に抵触するか否かの明確な判断基準がなかった。
 このような疑義、いわゆるグレーゾーンの取引行為に対して、事業として利益目的で紹介行為を行っても、宅建業法に抵触しない旨の判断がされた。経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化することが重要であるとして、産業競争力強化法によるグレーゾーン解消が制度化された。同制度は、事業に対する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度で、新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について、政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について、回答するもの(産業競争力強化法第7条)。
 事業者が、業として不動産売買や賃貸借を希望している顧客の情報を宅建業者に提供し、顧客が希望する場合には両者の初回面談に同席し、契約が成立した際に、不動産業者から手数料(顧客紹介料等名目の金銭)を収受する行為が宅建業に該当するか否かの判断を求めたのに対し、「物件の説明、契約成立に向けた取引条件の交渉・調整の行為は、顧客と不動産業者との間で直接行い、事業者は一切関与しない」場合は、宅建業には該当しないとの判断がなされた(「経済産業省『グレーゾーン解消制度』の活用結果」参照)。
 この判断により、不動産取引の情報提供ビジネスに関する宅地建物取引業法の適用範囲がより明確化され、新たなサービスの創出及び拡大に繋がることが期待されるとしている。

参照条文

 宅地建物取引業法第2条(用語の定義)
   この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
     (略)
     宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
     宅地建物取引業者 第3条第1項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう。
     (略)
 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
 第2条第2号関係
  1 .「宅地建物取引業」について
     本号に言う「業として行う」とは、宅地建物の取引社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。
     判断基準
       取引の対象者
 広く一般の者を対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
      〜④ (略)
       取引の反復継続性
 反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い。
 (以下、略)
 産業競争力強化法第1条(目的)
   この法律は、我が国経済を再興すべく、我が国の産業を中長期にわたる低迷の状態から脱却させ、持続的発展の軌道に乗せるためには、経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化することが重要であることに鑑み、産業競争力の強化に関し、基本理念、国及び事業者の責務を定めるとともに、規制の特例措置の整備等及びこれを通じた規制改革を推進し、併せて、産業活動における新陳代謝の活性化を促進するための措置、株式会社産業革新投資機構に特定事業活動の支援等に関する業務を行わせるための措置及び中小企業の活力の再生を円滑化するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
 同法第7条(解釈及び適用の確認)
   新技術等実証又は新事業活動を実施しようとする者は、主務省令で定めるところにより、主務大臣に対し、その実施しようとする新技術等実証又は新事業活動及びこれに関連する事業活動(以下この項及び第十四条において「新事業活動等」という。)に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令(告示を含む。以下この節及び第百四十七条第一項において同じ。)の規定の解釈並びに当該新技術等実証又は新事業活動等に対するこれらの規定の適用の有無について、その確認を求めることができる。
   前項の規定による求めを受けた主務大臣は、遅滞なく、当該求めをした者に理由を付して回答するとともに、その回答の内容を公表するものとする。
 経済産業省「グレーゾーン解消制度」の概要
   産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」は、事業に対する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度です。
 事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について、政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について、回答するものです。
 経済産業省「グレーゾーン解消制度」の活用結果(平成28年12月15日回答)
   今般、事業者より、不動産の売買や賃貸借を検討している顧客の情報を、同意を得て不動産業者に提供し、顧客が希望する場合には両者の初回面談に同席し、売買契約が成立した際には不動産業者から手数料を収受する行為が、宅地建物取引業法第2条第2号の「宅地建物取引業」に該当するか否か照会がありました。
 関係省庁が検討を行った結果、照会のあった事業においては、物件の説明、契約成立に向けた取引条件の交渉・調整の行為は、顧客と不動産業者との間で直接行い、事業者は一切関与しないことから、「宅地建物取引業」には該当しない旨の回答を行いました。
 これにより、不動産取引の情報提供ビジネスに関する宅地建物取引業法の適用範囲がより明確化され、新たなサービスの創出及び拡大に繋がることが期待されます。
 *本件の場合、事業所管大臣は経済産業大臣、規制所管大臣は国土交通大臣。

監修者のコメント

 宅建業の免許を有しない者が、宅建業者に顧客を紹介し、成約した場合に紹介料を受領することを反復継続して行うことが、宅建業法に抵触しないかどうかは、回答の経産省の「グレーゾーン解消制度」の回答結果により、明確になった。このような業務提携を行う場合は、その提携契約の内容について曖昧さが残らないように詳細かつ明確な取り決めが必要である。

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