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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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2110-B-0296
業法第38条の損害賠償額の予定等の意味とその違約金条項の定め方

 宅建業法第38条の規定を見ると、売買契約における契約違反の場合の違約金条項には、2つの違約金を定めることができるように読めるが、それはなぜか。
 損害賠償額の予定としての違約金以外に、たとえば違約罰としての違約金を定めた場合、それは法的にどのような意味をもつのか。
 2つの違約金を定める場合の違約金条項は、具体的にどのように定めるのか。

事実関係

 宅建業法第38条第1項の規定を見ると、売買契約の当事者の債務不履行により、その相手方が契約を解除したときの違約金の定め方として、損害賠償額の予定としての違約金と、たとえば違約罰としての違約金の2つの違約金を定めることができるように読めるが、この点について、次の点を確認したい。

質 問

1.  そもそも1つの契約で、損害賠償額の予定と違約金の2つを定めることができるのか。宅建業法は、なぜそのような規定になっているのか。
2.  仮に2つの違約金を定めることができるとした場合でも、契約違反による損害賠償としては、損害賠償額の予定としての違約金を定めるだけで十分だと思うが、違約罰というのは、法的にどのような意味をもつものなのか。
3.  宅建業者が売主で宅建業者以外の者が買主となる売買契約においては、その2つの違約金の額の合計が売買代金の20%相当額以内の額に収まっているのであれば、宅建業法上も民事的にも問題ないとされているが(宅建業法第38条)、これは一般の個人間の売買契約などにおいては、それらの違約金の額やその両方の合計額が売買代金の20%相当額を超えていても法的に問題ないということか。
4.  このような2つの違約金を定める違約金条項というのは、具体的にどのような定め方になるのか。

回 答

 質問1.について ― 1つの契約で、損害賠償額の予定と違約金の2つを定めることはできる。なぜならば、損害賠償額の予定をすることができることは民法の定めるところであり(民法第420条第1項)、また違約金の定めは損害賠償額の予定と推定されているだけで(同条第3項)、その損害賠償額の予定としての違約金以外の違約金として、たとえば違約罰を別途定めることにより契約違反を抑止しようとすることは、当事者にとって契約自由の範囲内のことだからである。
 しかし、この契約自由の原則を歯止めなく認めた場合には、消費者の保護に欠けることになるので、宅建業法は、宅建業者が売主で宅建業者以外の者が買主になる取引の場合には、「契約を解除する際の損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるとき」は、これらを合算した額が代金の10分の2を超えることとなる定めをしてはならないと定めたのである。
 質問2.について ― 違約罰というのは、いわゆる罰金(ペナルティ)のことであり、損害の賠償とは異なるものである。
 しかし、その罰金(ペナルティ)の額がいくらでもよいということではなく、そのために宅建業法は、宅建業者が売主で宅建業者以外の者が買主となる売買契約においては、その両方の合計額が売買代金の20%相当額の範囲内にある場合に、法的に有効であるとしている(同法第38条第2項)。
 質問3.について ― 基本的にはそのとおりであるが、かと言ってその額がいくらでもよいというわけではなく、通常予想される損害の額を著しく超えるような定めをした場合には、いかに個人間の売買契約であるといっても、暴利行為などを理由にその定めが無効とされることがあり得る(民法第90条)。
 質問4.について ― 損害賠償額の予定としての違約金と違約罰としての違約金を定める場合の違約金条項の定め方は、おおよそ次のようなものとなろう。
  (特約)
  1.  この売買契約においては、売主または買主は、その相手方がこの契約に定める債務を履行しないときは、その相手方に対し、標記損害賠償額の予定としての違約金(○)のほかに、売買代金の○%相当額の違約罰としての違約金を請求することができるものとする。
  2.  この場合、売主または買主は、この違約罰としての違約金についても、売買契約第○条に定める違約金条項に準じて請求または支払いを行うものとする。

参照条文

 民法第90条(公序良俗)
   公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
 民法第420条(賠償額の予定)
   当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
   賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
   違約金は、賠償額の予定と推定する。
 宅地建物取引業法第38条(損害賠償額の予定等の制限)
   宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
   前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。

監修者のコメント

 損害賠償額の予定と違約金とは、法律概念としては、まったく異なる。損害賠償額の予定とは、債務不履行の場合に不履行をした者が支払うべき賠償額をあらかじめ定めておくことをいう。これに対して、違約金とは、債務不履行の場合に違約した者が相手方に支払うことを約した金銭で、当事者の契約によって種々のものがある。例えば、賠償予定額とは別にその金額を支払うもの、現実に生じた損害額とは別に単純な制裁金として支払うもの、あるいは損害賠償の最大限又は最小限を取り決めたものなどもあり、また損害賠償額の予定を単に違約金と称しているものもあり、これが殆んどである。そのように損害賠償額の予定とは別に違約金を定めることが可能であるため、宅建業法第38条は、消費者保護の見地から合算額について制限したのである。
 なお、現実の取引において違約金と称しているものは、前述のとおり、損害賠償額の予定であることが多いため、民法第420条第3項でその推定規定を置き、損害賠償額の予定ではないと主張する者が、そのことを立証しなければならないこととしている。

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