不動産相談

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

== 更に詳しい相談を希望される方は、当センター認定の全国の資格保有者へ ==

不動産のプロフェッショナル

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1910-B-0265
宅建業者が売主となる売買契約における手付なし契約の問題点

 宅建業者が売主で一般の会社が買主となる売買契約において、売主の希望により、買主の手付解除を防ぐために手付なし契約の媒介をした場合、その行為(契約)は宅建業法第47条第3号の信用供与の禁止規定に抵触するか。買主の手付解除を封ずるための手付なし契約は、同法第39条(手付の額の制限等)の制限規定に抵触するか。

事実関係

 当社は不動産売買の媒介を主業務とする宅建業者であるが、宅建業者が売主で一般の会社が買主となる宅地建物の売買の媒介において、売主である宅建業者が、買主からの手付解除を封じるために、手付なし契約の締結を希望してきた。そこで当社は、その旨を買主に伝えたところ、買主がこれに応じたので、売主の希望どおり売買代金の20%相当額の内金を授受することで合意した。
 ところが、よく考えてみると、このような契約の仕方は、宅建業法第39条(手付の額の制限等)の規定に抵触し、さらに第47条第3号の信用供与の禁止規定にも抵触するのではないかと考えられたため、念のため宅建業法に詳しい人に照会をした。

質 問

1.  その業法に詳しい人は、「そのような契約の仕方は、宅建業法第47条第3号の信用供与の禁止規定に抵触する可能性がある。」と回答してきたが、本当に抵触することになるか。
2.  買主の手付解除の権利を奪う本件の売買契約の仕方は、宅建業法第39条(手付の額の制限等)の規定に抵触することにならないか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 抵触することにはならない。
 質問2.について ― 抵触することにはならない。
2.  理 由
について
 本件の売買契約においては、宅建業法第47条第3号の信用供与の禁止規定には抵触しない。なぜならば、売主がいかに買主からの手付解除を封じるために手付なし契約を希望したといっても、本件の売買契約は、本件の事実関係を見る限り、あくまでもお互いに手付解除をしないための売主・買主間の合意に基づいて締結される売買契約になっており、法が禁止している手付けについて信用の供与をすることにより契約の締結を誘引するための手付なし契約にはなっていないからである。
について
 本件の手付なし契約は、宅建業法第39条(手付の額の制限等)の規定には抵触しない。なぜならば、本条の規定で制限をしているのは、(手付なし契約を制限しているのではなく、)あくまでも当事者が「手付を授受した場合」に、買主の手付解除の権利が、売主の契約の履行の着手の時期まで留保されるようにしなければならないとしているものだからである(同条第2項、第3項)。

参照条文

 宅地建物取引業法第39条(手附の額の制限等)
   宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二をこえる額の手附を受領することができない。
   宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
   前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
 同法第47条(業務に関する禁止事項)
   宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
  、二 (略)
   手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為

監修者のコメント

 宅建業法第39条は、宅建業者が売主となる場合に受領する手付が、証約手付、違約手付という趣旨のものであったとしても、必ず解約手付の性格をもたせることとして、買主が手付解除により契約から離脱できる道を保障したものである。しかし、契約自由の原則から手付金の額がいくらでもよいとして、売買代金の額の3割とか4割のものを認めると、手付放棄する金額が高すぎて手付解除が容易にできなくなるので、代金の2割に制限したのである。そのほか、宅建業法は手付について、その信用供与という手段による契約締結の誘引行為を禁止しているが(第47条3号)、それ以外に関係規定はなく、売買に当たっては手付を授受しなければならないなどの制限規定はない。
 なお、手付なしの契約は、売主・買主のいずれも手付解除ができないのであり、公平である。

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

更に詳しい相談を希望される方は、
当センター認定の全国の資格保有者へ

不動産のプロフェッショナル

過去の事例(年別)

  • 賃貸
  • 売買

ページトップへ

single