不動産相談

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不動産のプロフェッショナル

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1908-B-0263
水道局での調査と異なる引込管が埋設されていた場合の責任の所在

 更地渡しの土地の売買の媒介で、水道局で調べて説明した引込管の口径(20mm)と異なる口径(13mm)の引込管が埋設されていた場合、現地の水道メーターが撤去されていたために現地での口径調査をしなかった媒介業者に重要事項説明義務違反があるか。買主は20mm管での引き込みを要求しているが、その要求には誰が応えるべきか。

事実関係

 当社は、長い間売主が住んでいなかった築40年の古家付の土地の売買を、売主の更地渡しを条件に媒介した。土地の引渡しは順調に行われたが、その後になって買主が土地を調べたところ、水道管の口径が、当社が重要事項として説明した20mm管になっておらず、13mm管のままになっているという苦情が持ち込まれた。
 なお、当社は重要事項の説明にあたり、水道管の口径を市役所で調べたが、そのときは水道局の管理図面の上でも20mm管になっていたため、何の心配もないと思い、また現地においてもすでに水道メーターが撤去されていたため、特に口径についての現地調査は行わなかった。

質 問

1.  当社に重要事項説明義務違反があるか。
2.  買主は、水道管の口径が20mmでないと水道メーターを取り付けることができないので、20mm管にしてほしいと言っているが、その要求に応える必要があるか。あるとすれば、誰がその要求に応えるべきか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 貴社の水道局での調査が万全であれば、現地の水道メーターが撤去されている以上、現地での口径調査が省略されていたとしても、それだけで貴社に調査義務違反があったとまではいえない。しかし、現に苦情が持ち込まれている以上、媒介業者としては改めて現地での「引込管」の口径調査をし、本当に「引込管」の口径が13mm管になっているのであれば、その費用負担について何らかの解決策を見い出すよう努力すべきであろう。
 質問2.について ― 貴社に調査義務違反がないとすれば、売主が水道メーターを撤去した責任として買主の要求に応えるべきか、それとも買主が現状で物件を引き取るべきか、いずれにしても難しい問題なので、現地を調査しなかった貴社もその費用の一部を負担する方向で円満解決を図るべきであろう。
2.  理 由
 貴社の水道局での調査が万全であるか否かは、その地域における一般的な口径調査ではなく、当該土地における具体的な引込管の口径が何ミリであるかを、水道局備え付けの「給水分岐管管理図」によって調査したか否かで判断されると考えてよいであろう。なぜならば、本件のような土地の場合は、新たに水道管を引き込む場合には20mm管でなければならないが、過去に引き込まれた水道管の場合には、従来の13mm管のままで引き込まれている可能性があり、正確なところは、その具体的な土地に引き込まれている分岐管の口径を管理図面で調査しなければわからないからなのである。
 したがって、本件の場合には、現地に築40年の建物が建っていたわけであるから、貴社の調査で、本当に市の管理図面に20mm管で引き込まれていると図示されているとすれば、過去の増改築等の際に、本来であれば20mm管で引き込み直しをしなければならないものを、何らかの手違いで従前の13mm管のままで工事が行われたということも考えられ、もしそうであれば、貴社には調査義務違反があったとまではいえないであろうし、その結果として、その土地には「隠れた瑕疵」があると判断されることもあろう。
 ただ、その後土地をよく調べてみたら、水道本管から宅地までの引込管は20mm管であるが、宅地内の配管は13mm管でジョイントしてあるというようなことだとすれば、水道メーターが撤去されている状況では、媒介業者は通常その違いに気づかないので(宅地内配管の口径は水道メーターのふたの上に表示されているのが普通である)、その違いを説明し得なかった媒介業者に調査義務違反があるとまではいえないであろう。

参照条文

 民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
   売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
 同法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
   売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
   前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
   前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

監修者のコメント

 宅建業法における「重要事項説明義務」も過失責任である。すなわち、故意又は過失により説明義務を怠ったということが必要であって、決して無過失責任(結果責任)ではない。したがって、本ケースの場合も、他に疑うべき事情がなかったというのであれば、回答のとおり義務違反はないと考えてよいと思われる。次に売主の瑕疵担保責任の問題については諸事情を考慮しなければならず、一概に責任ありと判断することはできない。

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