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1806-B-0245
案内所等の設置に伴う宅建業法第50条第2項の届出について

 宅建業者である当社は、新築分譲を初めて行うが、事務所以外の場所で案内所を設置して営業活動をするには、宅建業の免許権者に対し届出をしなければならないとされているが、どのようなときに届出が必要か知りたい。

事実関係

 当社は宅建業者であるが、初めて自社の戸建の建売分譲を行う。販売戸数は8区画である。現在、モデル住戸を建築中であるが、モデル住戸が完成する1か月後に、分譲区画の一部にプレハブ造の案内所を設置して、販売活動を行う予定である。案内所では、建売住宅の案内と購入希望者からの購入申込書を取得することにしているが、売買契約の締結は営業所で行う予定である。案内所で営業活動をする場合の宅建業法第50条第2項の届出に関する手続を知りたい。

質 問

1.  宅建業者が、事務所以外の場所に案内所を設置して自社の新築物件の営業活動をする場合、必ず宅建業法第50条第2項の届出が必要か。
2.  宅建業法第50条第2項の届出をする必要がある場合、届け出る専任の宅地建物取引士は営業所(事務所)に登録している者が兼務してもよいか。
3.  他の宅建業者と合同で、事務所以外の会場を利用して不動産フェアを実施する場合、当社は賃貸仲介の物件のみを紹介するが、売買物件でないので、第50条第2項の届出は不要と考えてよいか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 事務所以外の案内所等で、宅地建物分譲の営業活動を行う場合、原則、宅建業法第50条第2項の届出を要する。ただし、案内所等で売買契約の締結をせず、また契約申込も受けない、単なる分譲物件の案内や宣伝広告をするだけであれば、届出は不要である。なお、売買契約締結又は契約申込を受ける場合でも、全体計画が10区画又は10戸未満の分譲であれば、届出は不要である。貴社の戸建分譲は、8区画であり、届出は不要である。
 質問2.について ― 第50条第2項の届出の際の、案内所に置く専任の宅地建物取引士は、他の事務所等に登録されている専任の宅地建物取引士が兼務することはできない。
 質問3.について ― 不動産の売買に限らず、貸借の代理、媒介についても、10区画又は10戸以上、かつ契約締結又は申し込みを受けるのであれば、第50条第2項の届出が必要である。
2.  理 由
⑵⑶について
 宅建業者が営業を行うためには、継続的に業務を行うことができる設備を備えた事務所が必要(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 第3条第1項関係)であるが、事務所以外の場所の現地案内所、不動産フェア・相談会等の展示場等で不動産の売買、賃貸の営業活動を行うことが可能である。
 案内所等の事務所以外の場所で営業活動をするためには、免許権者と案内所等の所在地を管轄する都道府県知事(国交大臣免許の業者及び他の都道府県知事免許の業者も同様)に届け出なければならない(宅建業法第50条第2項)。ただし、全ての案内所等を届け出なければならないわけではない。
 届出の必要な案内所等は次のものである。①継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの(出張所、現場事務所等の特定の物件のみを扱い、契約締結権限を有する者が設置されていない場所) ②宅建業者が売主である一団(10戸又は10区画以上)の宅地建物の分譲をする場合の案内所 ③他の宅建業者が売主である一団の宅地建物の分譲について、代理または媒介を行う案内所等 ④宅建業者が業務に関し展示会その他これに類する催しをする場合の開催場所(宅地建物取引業法施行規則第15条の5の2。宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 第31条の3第1項関係)。届出を要する業務は、宅地建物の売買、代理、媒介をするもの及び貸借の代理、媒介で、契約締結又はこれらの契約の申込みを受けるものが該当し、単なる物件の案内や宣伝広告するだけであれば、届出は不要である。
 なお、中古マンションの媒介業者が、いわゆる1物件を対象にオープンルームを実施することがあるが、室内に他の媒介物件を含め10戸以上の営業活動をする場合は、第50条第2項届出対象の案内所等に該当するので届出が必要となるので注意を要する。
 第50条第2項の届出の必要な案内所等には、1人以上の専任の宅地建物取引士を設置する必要があるが、他の事務所等に登録されている専任の宅地建物取引士は、当該案内所に置く専任の宅地建物取引士を兼務することはできない(同法第31条の3第1項、第50条第2項)。
 複数の宅建業者が合同で、宅地建物の取引や媒介契約の申込を受ける不動産フェア・相談会等の展示会等を行う場合には、各宅建業者は、それぞれ届出が必要であり、宅建業者ごとに1人以上の専任の宅地建物取引士を置かなくてはならない。ただし、同一の物件について、売主である宅建業者及び媒介又は代理を行う宅建業者が同一の場所において業務を行う場合には、すべての宅建業者が届出を行う必要があるが、専任の宅地建物取引士は、いずれかの宅建業者が1人以上置けばよいとされている。
 また、別荘販売等の週末にのみ契約締結権者が出張して申込の受付や契約の締結を行う案内所等についても届出が必要で、当然ながら、専任の宅地建物取引士の設置が必要である(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 第31条の3第1項関係)。
 なお、第50条第2項届出の案内所等で業務のできる期間は、最長1年である(宅建業法の解釈・運用の考え方 第50条2項関係)。

参照条文

 宅地建物取引業法第31条の3(宅地建物取引士の設置)
 宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第50条第1項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
  ・③ (略)
 同法第50条(標識の掲示等)
 宅地建物取引業者は、事務所等及び事務所等以外の国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
   宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、あらかじめ、第31条の3第1項の国土交通省令で定める場所について所在地、業務内容、業務を行う期間及び専任の宅地建物取引士の氏名を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
 宅地建物取引業法施行規則第15条の5の2(法第31条の3第1項の国土交通省令で定める場所)
   法第31条の3第1項の国土交通省令で定める場所は、次に掲げるもので、宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。以下この項において同じ。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受けるものとする。
   継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
   宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この条、第16条の5及び第19条第1項において「一団の宅地建物の分譲」という。)を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
   他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
   宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場合にあつては、これらの催しを実施する場所
 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
 第3条第1項関係
1  令第1条の2第1号に規定する「事務所」について
   本号に規定する「事務所」とは、商業登記簿等に登載されたもので、継続的に宅地建物取引業者の営業の拠点となる施設としての実体を有するものが該当し、宅地建物取引業を営まない支店は該当しないものとする。
 なお、登記していない個人にあっては、当該事業者の営業の本拠が本店に該当するものとする。
2  令第1条の2第2号に規定する「事務所」について
 「継続的に業務を行なうことができる施設」について
 宅地建物取引業者の営業活動の場所として、継続的に使用することができるもので、社会通念上事務所として認識される程度の形態を備えたものとする。
 (略)
 第31条の3第1項関係
1  事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所について(規則第15条の5の2関係)
 規則第15条の5の2各号に掲げる場所における「契約の締結」について
 本条各号に掲げる場所において、宅地建物の売買若しくは交換の契約又は宅地建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結する際には、当該場所で取り扱う物件について、契約を締結する権限の委任を受けた者を置くものであるか、又は契約締結権限を有する者が派遣されているものとする。
 「契約の申込み」について
 「契約の申込み」とは、契約を締結する意思を表示することをいい、物件の購入のための抽選の申込み等金銭の授受を伴わないものも含まれることとする。
 規則第15条の5の2第1号関係
 本号に該当する場所は、令第1条の2と同等程度の事務所としての物的施設を有してはいるが、宅地建物取引業に係る契約締結権限を有する者が置かれない場所であり、特定の物件の契約又は申込みの受付等を行う場所、特定のプロジェクトを実施するための現地の出張所等が該当し、不特定の物件の契約を行う等継続的に取引の相手方に対して契約締結権限を行使する者が置かれることとなる場合は、令第1条の2第2号に規定する「事務所」に該当するものとする。
 規則第15条の5の2第4号関係
 本号に該当する場所は、宅地建物の取引や媒介契約の申込みを行う不動産フェア、宅地建物の買い換え・住み替えの相談会、一時に多数の顧客が対象となる場合に設けられる抽選会、売買契約の事務処理等を行う場所その他催しとして期間を限って開催されるものとする。
 その他
 複数の宅地建物取引業者が設置する案内所について
 同一の物件について、売主である宅地建物取引業者及び媒介又は代理を行う宅地建物取引業者が同一の場所において業務を行う場合には、いずれかの宅地建物取引業者が専任の宅地建物取引士を1人以上置けば法第31条の3第1項の要件を満たすものとする。
 なお、不動産フェア等複数の宅地建物取引業者が異なる物件を取り扱う場合には、各宅地建物取引業者ごとに1人以上の専任の宅地建物取引士を置くものとする。
 臨時に開設する案内所について
 週末に宅地建物取引士や契約締結権者が出張して申込みの受付や契約の締結を行う別荘の現地案内所等、週末にのみ営業を行うような場所についても、専任の宅地建物取引士を置くものとする。

監修者のコメント

 業法第50条2項は、免許権者と物件所在地を管轄する知事が監督を適切に行うためのものであるが、その対象となるものは、回答のとおり、かなり複雑であるので、遺漏のないようにされたい。
 その届出は、「業務を開始する日の10日前まで」であり(施行規則第19条3項)、その意味は「中10日」であるので注意されたい。すなわち6月15日に業務を開始する場合は、6月5日までではなく、6月4日までである。
 また、届出先は、所在地を管轄する都道府県知事と免許権者であるが、たとえば、甲県知事免許業者が乙県内に案内所を設置する場合は、甲県知事と乙県知事に届け出るが、国土交通大臣免許業者が乙県内に案内所を設置する場合の免許権者である大臣への届出は乙県知事を経由して行うことになっている(業法第78条の3第2項)。
 いずれにせよ、届出書は施行規則でその様式が決まっている(同規則第19条3項)。
 なお、「10区画又は10戸以上」の判断は、今回分譲するものの数が基準ではなく、全体の計画が10以上かどうかで決まる。したがって、たまたま今回は8戸の分譲であっても、当該分譲地が10戸以上の計画のものであれば、8戸の分譲であっても届出をしなければならないことに注意されたい。施行規則第15条の5の2第2号の「一団の…」というのは、そういう意味である。

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
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専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

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