不動産相談

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

== 更に詳しい相談を希望される方は、当センター認定の全国の資格保有者へ ==

不動産のプロフェッショナル

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1710-R-0179
残置エアコンの修理義務に関するトラブルとその未然防止策

 当社は賃貸借の媒介業者兼管理業者であるが、当社が1年半前に媒介した借主から、エアコン(12年程度使用)が故障したので、修理をして欲しいという連絡を受けた。ところが、貸主はそのエアコンは従前の借主が残置したもので、自分(貸主)のものではないので、修理はできないと言ってきた。このような場合の修理費用は誰が負担するのか。今後このようなトラブルを防止するためには、どのような措置をとったらよいか。

事実関係

 当社は、賃貸借の媒介業者兼管理業者であるが、当社が管理をしている賃貸マンションに備え付けられたエアコン(12年程度使用)が故障した。そのため、借主からエアコンの修理の申し出がなされたが、貸主がこれを拒否した。その理由は、そのエアコンが従前の入居者の「残置物」だったからである。
 なお、この借主は約1年半前に当社の媒介で入居したが、当社は、その借主に対する重要事項説明や賃貸借契約の締結に際し、そのエアコンが「残置物」だという説明をしていないし、貸主からも従前の管理業者からもその旨の説明がなかったので、単に「付帯設備」として、「エアコン有り」としか説明していない。

質 問

1.  このような場合、エアコンの修理費用は誰が負担すべきか。
 なお、貸主は「自分のものではないので、自分には修理義務はない」と言っており、本件の賃貸借契約書には「残置エアコン」であることによる修理費用の分担に関する特約はもとより、「付帯設備」全般に関する修理費用の分担についての特約も一切定めていない。
2.  当社が、今後このような設備の修理に関するトラブルを防止するためには、どのような措置をとったらよいか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 貸主が負担すべきである。
 質問2.について ― たとえば、入居時の「物件状況確認リスト」の中に別欄を設け、付帯設備ごとの修理分担区分を記載するなり、取り付け時からの経過年数や修繕履歴などを記載するなりして、それを管理台帳兼用で、重要事項説明書にその写しを添付したり、入退居時や更新時ごとにチェックをしていくという方法が考えられる。したがって本件のような「残置エアコン」についても、あらかじめ「物件状況確認リスト」の中に「残置物」の欄を設け、残置物がある場合にはそのリストによって修理分担等の管理をしていくということである。
2.  理 由
について
 本件の「残置エアコン」の所有権は、従前の入居者が放棄したものと考えることができる。したがって、それをいかに貸主が「自分のものではないから」と言っても、それが「付帯設備」として建物と一緒に賃貸されている以上、賃貸借の目的物の一部を構成するものとして、当事者間に特約でもない限り、貸主が修繕義務を負担するというのが民法の規定の趣旨であると解されるからである(民法第606条、第559条、第560条)。
について
 (略)

参照条文

 民法第606条(賃貸物の修繕等)
 賃貸人は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う。
   (略)
 民法第559条(有償契約への準用)
 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
 民法第560条(他人の権利の売買における売主の義務)
 他人の権利を売買の目的にしたときは、売主は、その権利を取得し買主に移転する義務を負う。

監修者のコメント

 本件のエアコンは、前の借主の残置物だとしても、前の借主が持っていくつもりの物でなく、意識して残していった物である限り、建物と一体となった造作設備であり、賃貸建物の対象を構成するので、貸主の主張は正しくない。貸主がそう主張できるのは、賃貸に当たり「このエアコンは、前の借主が置いていった物で、今後はあなたの所有物です。」と告げ、その借主がそれを了承した場合だけである。

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

更に詳しい相談を希望される方は、
当センター認定の全国の資格保有者へ

不動産のプロフェッショナル

過去の事例(年別)

  • 賃貸
  • 売買

ページトップへ

single