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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 1606-R-0159
賃貸マンションにおける第三者の同居防止と同居後の対応

 建物賃貸借契約において、単身者専用と定められているにもかかわらず、借主が無断で他人を同居させてしまうことがある。
 ついては、借主にこのようなことをさせないようにするためには、どのような契約方法をとったらよいか。もし婚約者が同居し、そのまま結婚したり、子供が産まれてしまった場合には、貸主は借主に対し建物の明渡しを求めることができるか。その場合、貸主は借主に対し、民法第541条の催告をしなければならないか。

事実関係

 当社は賃貸借の媒介業者兼管理業者であるが、最近単身者用のワンルームマンションに他人が同居したり、単身者用として募集したにもかかわらず、あとから婚約者と称する者が同居してしまうケースがある。もしそのような状況の中で子供でも産まれたりしたら、果して借主に建物を明け渡してもらえるか、甚だ心配である。
 しかし、そのようなことは、何もワンルームマンションに限らず、1LDKや2DKクラスのマンションにもあることなので、この際第三者の同居の場合の対応について、基本的なことを知っておきたい。

質 問

1.  借主に第三者との無断同居をさせないようにするためには、どのような契約方法をとったらよいか。
2.  単身者用として募集したにもかかわらず、婚約者と称する者が同居し、そのまま結婚でもしたら、貸主は借主に対し建物の明渡しを求めることができるか。子供が産まれてしまった場合は、どうか。
3.  貸主が無断同居の2人に建物の明渡しを求めるためには、建物賃貸借契約を解除する必要があるが、その場合、貸主は借主に対し、まず民法第541条の規定に基づいて同居をやめるように催告する必要があるか。

回 答

 質問1.について ― ワンルームマンションのような単身者用のマンションの場合には、たとえば建物賃貸借契約書の入居者条項に、「入居者は、借主1名限りとする。」と明記し、その第2項として、「前項の入居者制限条項に借主が違反した場合には、貸主は、借主に対し何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる。この場合、借主は貸主に対し、本契約解除の日から建物の明渡しが完了する日まで、本物件の原状回復費用とは別に、賃料の○倍相当額の遅延損害金を日割り計算で支払わなければならない。」と定めておく方法が考えられる。しかし、1LDKや2DKのような間取りの物件については、その第2項として、たとえば、「前項の規定にかかわらず、借主が入居後に婚約者または親族等との同居を希望する場合には、あらかじめその関係を証する書面を貸主に提出し、その承諾を得て同居しなければならない。その場合、貸主はその同居する期間に制限を設けることができるとともに、賃料、共益費および敷金について、借主に対し、それぞれ同居者1名につきその10%増しの賃料等の請求をすることができ、借主はこれに応じなければならない。」と定めた方が、多様なニーズに応えられるのではないかと考えられる。
 質問2.について ― 当該建物賃貸借契約書に、その使用目的が、たとえば「本マンションは単身者専用につき、入居者は借主1名限りとする。」というように明確に定められているのであれば、貸主は、原則として当該契約を解除し、借主および同居者(子供を含む。)に対し建物の明渡しを求めることができる。なぜならば、本件のような借主の契約違反(用途違反=付随義務違反)の場合には、その違反の内容が契約目的の達成に重大な影響を与えるようなものであれば、貸主は契約を解除することができると解されており(最判昭和43年2月23日民集22巻281頁)、本件のように建物全体の維持管理の面から、貸主が単身者用として賃貸することをその経営方針としているにもかかわらず、借主がその貸主の経営方針に反する使用方法をとった場合には、その借主の違反行為が貸主の契約目的達成に重大な影響を与えるものになると考えられるからである。
 質問3.について ― 原則として、貸主は借主に対し同居をやめるよう催告する必要がある。なぜならば、賃貸借契約書に無断同居禁止の定めがあるにもかかわらず、借主が無断同居をしたという場合、前記⑵で述べたとおり、原則として貸主は賃貸借契約を解除することができるのであるが、その場合に、貸主が借主に対し無催告解除をすることができるのかどうかについては、判例によれば借主側に催告をしなくても不合理とはいえないような事情があれば、無催告解除ができるとしているので(最判昭和43年11月21日民集22巻12号2741頁、判時542号48頁、判夕229号145頁)、少なくとも催告によって同居をやめる可能性がある間は、催告をする必要があると解すべきだからである。

参照条文

 民法第541条(履行遅滞等による解除権)
 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

監修者のコメント

 本件のマンションが、「単身者専用」と明確にされているものであれば回答のとおりの対応が適切で、付け加えるべきことはない。
 なお、注意していただきたいのは、それが明らかにされていないのに「ワンルームマンション」だから当然単身者用だという言い分は必ずしも通用しないこと、夫婦あるいは男女2人の同居を容認しながら、「子供が産まれたときは貸主は契約解除ができる。」旨の特約条項は、民法90条(公序良俗違反)により無効と解されていることである(もちろん「有効説」もあるが少数説である)。

より詳しく学ぶための関連リンク

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