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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1604-B-0213
数量指示売買における面積増減による代金清算の可否

 過去の実測図面(分筆図面)による面積と公簿面積が一致している場合に、その一致している面積で行った土地売買契約において、引渡し後面積の減少が判明したときは、売主に瑕疵担保責任が発生するか。もし面積が増加していたときは、売主は買主に売買代金の増額を請求できるか。

事実関係

 当社は、約40年前に地主が切り売りした分譲地の古家付土地を、更地渡しで売買する土地売買契約を媒介した。
 その際の売買代金は、売主が当時の測量図面(分筆図面)を所持していたため、それによる土地面積を売買契約書に記載し、そのうえで当社が提案していた坪単価に基づく㎡単価を土地面積に掛けて算出した代金で売買契約を締結した。ところが土地の引渡し後、買主が家を建てるために土地を再測量したところ、その面積が約0.5㎡減少していることが判明した。その原因は、どうやら当時の図面との比較で、その後の隣地境界近くにおける花壇の設置工事か樹木の成育が境界標を移動させたのではないかと考えられた。
 なお、本件の土地売買にあたっては、その土地がすでに実測されており、公簿とも一致していることから、後日測量をするとか清算をするといった特約は一切していない。
 また、公簿売買とする旨の条項も特に定めてはいない。

質 問

1.  このような場合、売主に瑕疵担保責任が発生するか。
2.  本件の場合に、もし逆に面積が増加していたら、売主は買主に対し売買代金の増額を請求することができるか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 売主には瑕疵担保責任は発生しないが、買主は、民法第565条の規定により、売買代金の減額請求ができる。
 質問2.について ― 売買代金の増額請求はできないと解される。
2.  理 由
⑵について
 本件の瑕疵は、その土地の品質や性能に関する瑕疵(隠れた瑕疵)ではなく(民法第570条)、また本件の売買はいわゆる「数量指示売買」といって、売主が買主に対しその売買契約書に記載された土地面積があることを保証したうえで、それを買主に引渡す趣旨の契約である。したがって、本件の土地の面積がその約束した面積に不足していれば、売主は買主に対しその不足分を隣地から取得してでも買主に引き渡すか、その不足分相当額の代金を買主に返還しなければならない(民法第415条、第565条、後記【参照判例①】参照)。
 しかし、逆に面積が増えたからといって、売主が買主に対し当然に代金の増額を請求できるものでもない(後記【参照判例②】参照)。

参照条文

 民法第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
 民法第563条・564条(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
 第563条
 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。
 第564条
 前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ1年以内に行使しなければならない。
 民法第565条(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)
 前2条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。
 民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

参照判例①

 最判昭和43年8月20日民集22巻8号1692頁(要旨)
 いわゆる数量指示売買とは、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するためその一定の面積・容積・重量等を売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金が定められた売買をいう。
   土地の売買において、目的たる土地を登記簿記載の坪数をもって表示したとしても、これでもって直ちに売主がその坪数のあることを表示したものというべきではない。

参照判例②

 最判平成13年11月27日民集55巻6号1380頁(要旨)
 民法565条はいわゆる数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失する場合における売主の担保責任を定めた規定に過ぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合には、買主において超過部分の代金を支払う旨の合意が認められるときは、売主は追加代金を請求することができるが、右の合意がないときに、民法565条の類推適用により売主が代金の増額を請求することはできない。

監修者のコメント

 坪または㎡当たりの単価を基礎に面積を乗じて売買代金を決定した売買を「数量指示売買」といい、算定に当たって基礎とした面積より実際は少なかった場合について「権利の瑕疵」の一態様として民法565条が規定している。この場合でも、面積に相違があっても代金の増減をしない旨の特約があれば特約が優先することはもちろんである。
 反対に面積が増加している場合について、判例は民法565条を類推して代金の増額を請求することはできないとしているが、565条はあくまでも売買の権利の瑕疵の一種として買主の保護を図った規定だからである。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」
“スコア”テキスト丸ごと公開! 「公簿売買」

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