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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
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賃貸事例 1008-R-0081
賃貸媒介に係る賃貸借契約書への記名押印の義務者いかん

 当社は、ある大手企業から店舗の賃貸借契約の媒介を引き受けているが、今まで成約した賃貸借契約書に取引主任者や代表者の記名押印をしてこなかった。これは宅建業法違反か。記名押印は代表者も必要か。重要事項説明書の場合はどうか。

事実関係
   当社は、ある大手企業の店舗の賃貸借契約の媒介を引き受けているが、先日この大手企業の担当者から、貴社の作成した賃貸借契約書には取引主任者の記名押印がないので、宅建業法違反になるのではないかと言われた。
 
質問
1.  当社の考えは、書面は確かに当社が作成したものではあるが、そのあとは契約の当事者が記名押印する契約書になるわけだから、当社の取引主任者が記名押印するのは失礼になると思い、今までも記名押印をしていなかった。これは宅建業法違反になるのか。
2.  宅建業法違反になるとした場合、その契約書には、当社の取引主任者以外に代表取締役などの代表者の記名押印も必要となるのか。重要事項説明の場合とは違うのか。
 
回答
  (1)  質問1.について — 契約書をもって、業法37条の書面に代用しているのであれば、宅建業法違反になる(宅地建物取引業法第37条第3項)。
(2)  質問2.について — 契約書については、取引主任者のほかに、代表取締役またはその取引主任者が勤務する事務所の代表者(支店長など)も記名押印するのが望ましいが、法は、明文でそこまでは要求していない。
 しかし、貴社の社名が併記されていないと、どこの業者の取引主任者であるかわからないので、少なくとも貴社の社名・所在地・免許番号のほかに、取引主任者の勤務する事務所名や取引主任者としての登録番号などが併記されていることが望ましいし、契約書に貴社の然るべき立場にある人の記名押印があることが、貴社の報酬請求権についての証拠書類ともなり得ることからも、代表取締役または取引主任者が勤務する事務所の代表者の記名押印は必要と考えておいた方がよいであろう。
 なお、重要事項説明書の場合には、その説明義務が業者にあるだけに、作成主体も業者ということから、代表取締役またはその取引主任者が勤務する事務所の代表者(支店長など)も記名押印する必要があるものと解される(同法第35条第1項本文)。
 
参照条文
  ○ 宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明)
(1)  宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各事業者(中略)に対して、(中略)、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(中略)を交付して説明をさせなければならない。
一 〜 十四 (略)
(2)〜(4)(略)
(5)  第1項から第3項までの書面の交付に当たっては、取引主任者は、当該書面に記名押印しなければならない。
 
○ 同法第37条(書面の交付)
(1)  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各事業者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 〜 十二(略)
(2)  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の貸借に関し、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 〜 三(略)
(3)  宅地建物取引業者は、前2項の規定により交付すべき書面を作成したときは、取引主任者をして、当該書面に記名押印させなければならない。
 
監修者のコメント
 宅建業者が契約の当事者となる場合あるいは媒介・代理をする場合に、その契約書に取引主任者が記名押印しなければ宅建業法違反になると思っている人がかなり多い。しかし、宅建業法の正確な解釈としては正しくない。なぜなら、宅建業法では「契約書」に取引主任者が記名押印せよ、とはどこにも書いていないからである。宅建業法第37条は、重要な権利義務や取引条件が、いくら民法上、口頭の合意でも効力があるからといって、それを書面化しないのは紛争のもとだと考えて、宅建業者に法定の事項を記載した書面の交付義務を定めたのである。そして、この書面の責任の所在を明らかにしておくことが適切と考えて取引主任者の記名押印を義務付けたのである。しかし、この37条書面の記載事項は、ほとんどが実務上、契約書に定められる事項であるため、業者がどうせプロとして作成する契約書とこの37条書面を交付するのは同じことの二度手間となってしまう。そこで、かつての旧建設省通達、現在では「宅建業法の解釈・運用の考え方」(いわゆる「ガイドライン」)で、「37条の規定に基づき交付すべき書面は、同条に掲げる事項が記載された契約書であれば、当該契約書をもってこの書面とすることができる。」とされている。したがって、業界では契約書をもって、この37条書面としており、それがゆえに、取引主任者が記名押印しているのが実態というわけである。

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