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賃貸事例 1006-R-0077
始期付賃貸借契約の場合の報酬請求権の発生時期

 学生向けの賃貸マンションの場合は、毎年定期的に始期付の賃貸借契約が発生する。このような始期付の賃貸借契約の場合は、始期(期限)が到来するまでは媒介手数料を受領することができないのか。

事実関係
   当社は賃貸専門の媒介業者で、当社が扱う賃貸物件の中には学生専用のマンションもあるので、毎年定期的にかなりの件数の始期付賃貸借契約が発生する。
 
質問
 ある業者の話では、停止条件付の賃貸借契約を締結した場合、その契約の効力は停止条件が成就するまでは生じていないことになるので、有効な契約が成立していないことになり、媒介手数料を受領することはできないという。

 そうなると、今回の学生向け賃貸マンションの場合も、始期付の賃貸借契約になるので、始期が到来するまでは契約の効力が生じていないことになり、契約時に媒介手数料を受領することができないということになるが、本当に受領できないのか。
 
回答
   そのようなことはない。始期付の賃貸借契約の場合であっても、報酬請求権の発生時期についての特約がない限り、契約時に報酬請求権が発生するのが原則なので、媒介手数料を受領しても特に問題になることはない(商法第512条、民法第648条)。そのため、国土交通省が定めた「賃貸住宅標準契約書」においても、その書式のうえではそのことについて何も定めていないのである(注)
(注) 売買契約の場合の標準媒介契約約款では、停止条件付の契約について、停止条件が成就した場合にのみ報酬請求ができると定めている。
 
参照条文
  ○ 民法第648条(受任者の報酬)
(1)  受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
(2)  受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第624条第2項の規定を準用する。
(3)  委任が受任者の責めに帰すことができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
 
○ 商法第512条(報酬請求権)
 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。
 
監修者のコメント
 媒介契約は、民法上の準委任契約(同法第656条)であるが、宅地建物取引業者は、商法上の商人であるから準委任契約に基づく受任者として委任事務を履行することにより報酬請求権を取得する(商法第512条)。そして、受任者は、報酬を受ける場合には、「委任事務を履行」した後に、初めてこれを請求できることとされているが(民法648条第2項)、その「委任事務の履行」とは、不動産の媒介契約においては、媒介の目的である売買や賃貸借の契約を成立させることである。したがって、その契約が始期付であろうが、条件付であろうが、報酬請求権発生時期の特約がない限り、目的である売買等の契約の成立によって報酬請求権が発生し、全額の請求ができる。むろん、始期付でも条件付でも、その効力の発生した時に報酬請求をするという特約のほうが望ましいと思われるが、そのことについて宅地建物取引業法は特別な規定を置いていないので、そうしなければならないということではなく、民法の一般原則によれば、目的である売買等の契約成立によって、媒介手数料は請求できると解される。

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