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賃貸事例 1004-R-0073
借主の建物明渡し完了と原状回復までの賃料相当損害金の請求

 借主が期間満了日ギリギリまで入居していたために、原状回復のための現場確認が期間満了後になった。この場合、その間の賃料相当損害金を借主に請求できるか。

事実関係
   当社は賃貸の管理業者であるが、このたび管理物件の明渡しに際し、入居者が1か月前の予告をしたうえで、期間満了日ギリギリまで住んでいたために、引越しは完了したが、原状回復のための現場確認や打合せが期間完了後となった。そのために、当社が期間満了後の賃料相当の損害金を敷金から差し引く旨を入居者に伝えたところ、「明渡しはすでに済んでいるのだから、そのようなものは支払えない」と言ってきた。
 
質問
1.  当社としては、「明渡しの完了」というのは、原状回復のための「現場確認と費用分担についての合意が成立した時」と考えているが、その考え方は正しいか。
2.  
借主は、「明渡しの完了」というのは、「引越しの完了」のことをいうと主張するが、この考え方は正しいか。
 
回答
  1. 結論
 質問1、2.について — いずれの考え方も正しくない。
 
  2. 理由
 建物の「明渡し」は、中の荷物(家財道具など)を全部搬出して、部屋を空室にしたうえで、鍵を買主に返還することによって完了する。したがって、本件の場合に、借主が引越し日に合わせて鍵を貴社なり貸主に返還しているのであれば、借主の明渡しはすでに完了しているといえる。しかし、「現場確認」の際に鍵を返還するという約束になっているとすれば、明渡しはその時点で完了することになる。
 なお、貴社の主張する「費用分担についての合意が成立した時」というのは、「現場確認」の際に合意が成立するのであれば、その時点で明渡しが完了したといえるので特に問題になることはないが、「後日の業者の見積もりを見たうえで」とか、「後日改めて協議したうえで」というような合意であれば、これは費用分担についての最終的な合意ではないので、仮に、その際に鍵の返還がなされていたとしても、貴社にとっては明渡しが完了していないということになるため、貴社の主張は、借主(消費者)の利益を著しく害するものとなり、消費者契約法の趣旨からも無効の可能性がある主張ということになる(同法10条)。
 
参照条文
  ○ 消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
 
監修者のコメント

 建物賃貸借契約の終了による借主から貸主への建物の返還すなわち「明渡し」とは、借主がその建物の占有を解いて貸主が占有し得る状況にすることである。そして、一般には「鍵」の返還を重要なメルクマールとするが、それも絶対的な要件ではない。貸主が鍵の受領を不当に拒絶していることを考えれば明らかである。
 「現場確認と費用分担の合意が成立した時」に明渡しの完了とみて、それまでの賃料相当額を敷金から控除するというのは、回答のとおり、消費者契約法10条に照らして無効と解される可能性が高いが、消費者契約法の対象となる契約(個人が居住用のものを借りる契約)でなくても、民法90条(公序良俗違反)などの一般条項により無効とされる余地がある。なぜなら、その「費用分担の合意」の「費用」とは、おそらく原状回復費用のことであると思われるが、その合意の成立まで、ということであれば、貸主が費用分担の内容を了承しない限り、いつまで経っても賃料相当の損害金を借主が負担しなければならないことになり、極めて不当な結果になるからである。

より詳しく学ぶための関連リンク

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