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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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賃貸事例 0912-R-0070
借地借家法35条により借地上の建物賃借人が保護されるケースとは

 借地借家法35条の「借地上の建物の賃借人の保護」の規定が適用されるケースというのは、どのようなケースがあるのか。定期借地の場合にも適用があるのか。

事実関係
 当社は借地借家についての業務を行っている宅建業者であるが、このたび当社で管理している土地の借地人から、次の借地借家法第35条第1項の条文(借地上の建物の賃借人の保護の規定)についての問い合わせがあった。
 「借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がなされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその1年前まで知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。」
 
質問
1.  この借地借家法第35条第1項の規定が適用されるケースとして、普通借地の場合には、原則として、貸主に「正当の事由」がない限り、期間の満了によって借主が土地を明け渡さなければならないことにはならないので、借地上建物の賃借人が土地を明け渡す必要があるケースというのは、どのようなケースが考えられるか。
2.  前記質問1.の場合に、借地人が借地借家法第13条の「建物買取請求権」を行使した場合には、借地権設定者(土地の所有者)と借地上建物の賃借人との関係はどのようになるのか。
3.  定期借地の場合には、本条(35条1項)の規定の適用はあるのか。
 
回答
  (1)  質問1.について — 普通借地の場合には、貸主に「正当の事由」があるなしにかかわらず、借主が土地の賃貸借契約を更新しない場合に、本条の適用がある。つまり、借主がみずから更新しないという途を選んだ場合に、本条の適用があるということである。したがって、借主の債務不履行により契約が解除される場合や、合意解約により契約が終了する場合には、本条の適用はない。

 なお、この場合の「本条の適用はない」という意味は、契約が解除される場合には、建物の賃借人も即時に建物を明け渡さなければならないので、当然本条の適用はないが、合意解約による場合には、建物の賃借人はもともと建物を明け渡す必要がないので、本条の適用がないという意味である(後記【参照判例】(1)参照)。
(2)  
質問2.について — 借地人は、貸主に「正当の事由」があるなしにかかわらず、期間の満了によって契約を終了させることができる。そして、その場合に、借地人が借地権設定者(以下「土地の所有者」という。)に対し建物買取請求権を行使した場合には、土地の所有者が建物の所有者になるので、その土地上の建物賃貸借はそのまま土地の所有者に承継されることになる(後記【参照判例】(2)(3)参照)。したがって、借地上の建物の賃借人との間においては、土地の明渡しの問題は生じないということになる。
(3)  質問3.について — 定期借地の場合には、期間の満了によって土地の賃貸借は当然に終了するのであるが、その場合にも、当該借地上の建物を賃貸しているケースもあるので、本条の適用がある。ただし、建物譲渡特約付借地権の場合には、借地権が消滅しても、土地所有者が建物所有権を取得することに伴い、建物の賃貸人たる地位も承継するので(後記【参照判例】(2)(3)参照)、本条の適用はない。
参照条文
  ○ 借地借家法第13条(建物買取請求権)
(1)  借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
(2)(3)(略)
 
参照判例
  (1)最判昭和38年2月21日民集17巻1号219頁(要旨)
   「建物賃借人は、当該建物の使用に必要な範囲において、その敷地の使用収益をなす権利を有するとともに、この権利を土地賃貸人に対し主張し得るものというべく、右権利は土地賃借人がその有する借地権を放棄することによって勝手に消滅せしめ得ないものと解するのを相当とする。」
(2)最判昭和39年8月28日民集18巻7号1354頁
(3)最判昭和46年2月19日民集25巻1号135頁
 
監修者のコメント
 借地借家法第35条1項の規定は、借地契約の終了を知らなかった建物賃借人に突然建物から退去せよというのは酷だと考えたからであって、どのような建物賃借人であっても借地契約の終了に伴って保護しようとするものではない。したがって、地主の立場に立てば、借地契約の終了予定のことを、できれば内容証明文書で通知しておくことが必要である。
 なお、借地契約の終了を知らなかったからといって、建物賃借人が当然に1年間そのまま占有を続けられるということではない。あくまでも、裁判所に期限の許与の申立ができるということである。

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