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賃貸事例 0805-R-0035
ペット無断飼育者に対する明渡し請求の可否

犬・猫などのペット飼育禁止特約があるのに、無断でペットを飼っている借主に対し、部屋の明渡しを求めることができるか。

事実関係
 当社は、賃貸マンションの管理業者で、以前から犬・猫等のペット飼育禁止特約を定めて契約しているのであるが、知らない間に、入居者の1人が子犬を飼ってしまい、そのうちにもう1人の入居者も、同じような子犬を飼ってしまった。
 
これでは、契約書にペット飼育禁止特約を入れても意味がなくなるので、早急に飼育をやめさせたい。
 
質問
 犬を飼っている借主に対し、早急に飼育を中止しなければ、契約を解除する旨の内容証明郵便を出したいが、契約の解除は、法的に認められるか。
 
回答
1.結 論
 再三の警告にもかかわらず、警告に従わないなどの事情があれば、原則として、認められる。しかし、ペットの飼い方いかんによっては、契約の解除が認められない可能性もある。
 
2.理由
1.  最近の賃貸マンションの賃貸借契約書には、ペットの飼育を禁止する特約を入れることが多い。これは、ペットが部屋をキズつけたり、吠えたり、またペットの臭いなどが、明渡しの際や、入居者あるいはあとから入居する人との間でトラブルになることが多いからである。そのため、判例も、このような禁止特約は「有効」であるとしている(東京高判昭和55年8月4日、東京地判平成7年7月12日など)。
 
2.  しかし、注意しなければならない点は、特約が「有効」だからといって、すべてのケースにおいて、ただちに違反者に対する契約の解除が認められるとは限らないということである。
 つまり、同じペットといっても、そのペットが部屋の利用や明渡しに影響を与えることのないようなペットであったり、飼育の仕方いかん(たとえば、飼育用のカゴに入れて飼うなど)によって、それらの影響を排除することが可能な場合には、必ずしも契約の解除が認められるとは限らないということである。すなわち、たとえ犬や猫を飼っている場合であっても、貸主と借主との間の信頼関係が損なわれない限り、必ずしも契約の解除が認められるとは限らないということなのである。
 
3.  したがって、逆に、ペットの飼育禁止特約がない場合であっても、貸主に回復し難い損害(建物を汚す、キズをつける、近隣に迷惑をかけるなど)を与え、当事者間に信頼関係が破壊されたと認められれば、ペットの飼育が賃貸借契約における「用法違反」にあたるとして契約の解除が認められることもあるし(東京地判昭和62年3月2日)、仮に、飼育の仕方に注意を払っていたとしても、「特約違反」を理由に、当事者の信頼関係が破壊されたとして、貸主からの賃貸借契約の解除が認められることもあるということである(東京地判平成7年7月12日)。
 
監修者のコメント
 賃貸借契約の解除については「信頼関係の破壊」理論が確立している。すなわち、契約解除をするには、単なる形式的な債務不履行(契約違反)という事実のみでは足りず、当事者間の信頼関係が破壊される程度に至ったということが必要である。ペット飼育禁止違反のケースも、この法理がそのまま当てはまる。したがって、「ペット飼育禁止特約」があるからといって、違反した者に直ちに解除が認められるのではなく、何回か警告、中止の申入れをしたにもかかわらず、何ら聴き入れないといった事実が必要であろう。
 なお、本件では、犬が問題のようであるが、ペットにも犬・猫以外にいろいろなものがあるので、その禁止の範囲を明確にしておくことも必要である。

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