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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 0801-R-0025
資材置場のための土地賃貸借と借地借家法の適用

資材置場として土地を賃貸するが、資材格納用の建物の建築を認めた場合には、借地借家法の適用があるか。

事実関係
 当社は媒介業者であるが、このたびある地主が所有する土地を、建築会社の資材置場として賃貸する。
賃貸の条件としては、(1)土地約300m2(約90坪)、(2)賃料:月10万円(保証金100万円)、(3)期間10年(更新は協議のうえ可)、(4)資材格納用の建物建築可(ただし、契約終了時に解体・撤去)というものである。
 
質問
このような条件で賃貸した場合、借地借家法の適用の可能性はあるか。
 
回答
1.結 論
   本件の賃貸借が、「一時使用」目的の賃貸借であることが明らかでない限り、「建物」の構造・仕様のいかんによっては、借地借家法の適用があるものと判断される可能性はある。
 
2.理由
(1)  借地借家法は、「建物の所有」を目的とする地上権または土地の賃借権について、その権利の存続期間と効力等について特別の定めをしている法律である(借地借家法第1条)。したがって、借地借家法の適用がある土地の賃貸借というのは、まず第一に、その賃貸借が「建物の所有」を目的とする賃貸借であるかどうかで判断されるということになる。
 しかし、すべての建物がその対象となるわけではなく、少なくとも「建物」とは、「工作物」よりは狭く、住居・営業・物の貯蔵などの目的に使用される「独立性」のある「建造物」を意味し、その物が、「建物」にあたるか否かは、その物を法の保護の対象とすべきかどうかという考慮によって定まる(鈴木禄称・借地法〔改訂版〕125頁、ほか)。
 したがって、過去の裁判例の中には、トタン・テントの屋根、南と東が既存の他人の壁、北と西が取外し可能な戸板風の板囲いで、土台も床柱・柱もなく、面積も約2平方メートルにすぎない露店設備などは建物にあたらない(京都地判昭和60年10月11日金商745号41頁)とする反面、既存のレンガ塀を土台・支柱兼壁として利用し、屋根をふき、内部に天井・壁面・コンクリート床などを設けた建物(大分地判昭和34年9月11日下民集10巻9号1933頁)、鶏舎ないし犬小屋であるが、頑丈な3階建の建物で人も居住できるようなもの(東京高判昭和43年4月26日東高民時報19巻4号92頁)などは建物にあたるとする例がある。
 
(2)  次に、その建物を所有する「目的」で契約をしたのかどうかが判断のポイントになる。
 この点については、たとえばゴルフ練習場として使用する目的で土地の賃貸借が行われた場合に、その借地上にゴルフ練習場の経営に必要な事務所を建てても、借地法の適用はないとされた例(最3 判昭和42年12月5日民集21巻10号2545頁)がある反面、自動車学校経営のための土地賃貸借契約が、自動車運転教習コースのみならず、経営に不可欠な建物の所有を主たる目的として締結された場合には、借地法の適用がある(最2 昭和58年9月9日判時1092号59頁)とされた例があるので、借地の主目的が建物の所有であるか否かは、賃貸借契約の解釈によって定まるが、土地使用の現況も有力な判断資料となる(星野英一・借地・借家法9頁)と考えられる。
 
参照条文
  ○  借地借家法第1条(趣旨)
   この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
 
○  借地借家法第25条(一時使用目的の借地権)
   第3条から第8条まで、第13条、第17条、第18条及び第22条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。
 
監修者のコメント
 「建物の所有」の目的かどうかについては、【回答】にもあるとおり、裁判で争われることも多いが、借地借家法の適用の有無が決定されるのであるから当事者双方にとって重大問題である。
 
 
本ケースでは、「資材格納用」の建物として、貸主と借主がどのようなものを想定し、認識していたか、また現に建てられた建物がどのようなものかが大きな決定要素になる。
 
 なお、契約書中に「本件契約は、資材置場としてのものであるから、どのような場合でも借地借家法の適用はない。」という一ヵ条を設けたからといって、当然にそのような効力が認められるわけではないので注意されたい。

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