不動産相談

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ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 0708-R-0015
駐車場付倉庫の賃貸借における貸主からの駐車場
一部解約の可否

トラック2台分の駐車スペース付倉庫の賃貸借において、貸主が1台分の駐車スペースの
土地賃貸借を一方的に終了させることができるか。

事実関係
   当社は、ある地主からその所有する土地・建物の賃貸と管理をまかされている。そして、その賃貸物件の中の1つに倉庫があるが、その倉庫については、借主からの要望で、トラックの出し入れとトラック2台分の駐車ができるスペースの土地も含めて賃貸しており、その土地代ももらっている。つまり、土地部分については、建物と一体で土地建物賃貸借契約というかたちで契約を締結している。
 ところが、最近倉庫の需要が増えてきているので、地主としては、その現在の借主に駐車スペース1台分の土地を返してもらい、隣接地と合わせてさらに1棟分の倉庫を建設したいと考えている。
 
質問
 
1. この場合の土地部分の賃貸借には、借地借家法の適用があるのか。
2. この土地建物賃貸借契約の期間は2年で、更新できるようにはなっているが、この地主の要求は法的に認められるか。
 
回答
 
1.  結論
(1)  質問1.について
 土地部分の賃貸借には借地借家法の適用はない。
(2)  質問2.について
 当事者間に特段の事情(特約など)がない場合には、借主の同意が得られない限り、難しいと考えられる。
2.  理由
(1)  について
 本件の賃貸借契約は、建物については借地借家法の適用はあるが、土地部分については、「建物の所有」を目的とする賃貸借ではないので、借地借家法の適用はない(借地借家法第1条)。
 しかし、建物の賃借人は当該建物使用の目的の範囲内においてその敷地利用権を有する(最1判昭和47年3月30日民集26巻2号294頁)ので、借主は、本件契約の目的の範囲内で、駐車スペースも含めた土地の利用ができる(後出【参照判例】参照)。
(2)  について
 本件土地部分の賃貸借には借地借家法の適用がないので、地主の希望する駐車場1台分の土地の明渡しは、民法の規定に基づいて行うことになる。つまり、地主としては、土地部分の賃貸借について当事者間に特約がない限り、民法第617条〜第619条の規定に基づいて契約を終了させるということになる。
 しかし、いかに民法の規定により賃貸借契約を終了させることができるといっても、もし駐車場が1台分だけでは、借主が倉庫を借りた意味をなさないということになれば、その部分の土地の切り離しは信義則上許されないというべきであるから、当事者間に特段の事情がない場合には、最終的には借主の同意がない限り、部分解約は難しいと考えざるを得ない。
 
参照判例
 
○ 最1判昭和47年3月30日民集26巻2号294頁(要旨)
 一般に、建物の賃借人は、建物賃貸借契約の性質上当然に、当該建物使用の目的の範囲内において敷地利用権を有するものと解すべきであるから、(中略)建物の賃貸人としては、特段の事情がない限り、賃借人の右のような範囲内における敷地利用権を制限する行為は許されないというべきである。
○ 民法第618条(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用(注)する。
(注)  「期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する」とは、たとえば契約の期間が2年とか3年と定めていても、その期間内に「いつでも解約することができる」というような権利を留保する定めをしたときは、「土地」の賃貸借であれば申入れ後1年、「建物」の賃貸借であれば申入れ後3か月を経過した時に契約が終了するということである(民法第617条)。
 しかし、この第617条・第618条の規定はいずれも任意規定であるから、「申入れ後、直ちに契約が終了する」という定めをすることもでき、その場合はその申入れの時点で契約が終了することになる。したがって、本件の場合に、当事者間にそのような特約があればそれに従うことになるが、そのような特約がなければ、上記【回答】1.結論(2)のような結論になるということである。
 
 
監修者のコメント
 本相談事案のケースは、建物と土地部分を一体の賃貸借契約として締結している側面からみれば、両賃貸借は密接不可離のものとして取り扱うことが当事者の意思であったと考えられるが、反面、土地部分の契約期間を敢えて2年としている以上、建物の賃貸借とは別に取り扱う趣旨とも解され、判断は必ずしも容易ではない。しかし、本件のような賃借人の使用形態の場合、駐車用土地の賃借期間を倉庫の賃貸借と同一とする、すなわち倉庫の賃貸借が終了するまで、土地の賃貸借は継続する旨の特約をしなかったのであるから、当事者の意思解釈としては、後者の考え方のほうに分(ぶ)があると解される。そうすると、土地の期間満了によって契約は終了し、あとは1台分の土地の再契約をするかどうかの問題となる。
 ただ、契約設定時における当事者の話合いの内容いかんによっては、【回答】にあるように、貸主の主張が信義則に反し、認められないこともあり得る。

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