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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 0812-B-0087
「第三者のためにする契約」方式を利用した「無名契約」による所有権移転と瑕疵担保責任の有無

 売主業者がその所有する物件を売却するに当たり、瑕疵担保責任免責特約を付けたい。ついては、最初の買主を宅建業者とする「第三者のためにする契約」方法を用いて、第2の契約を「無名契約」とすることにより、最初の売主業者も、次の中間業者もエンドユーザーに対する瑕疵担保責任を免れることができるか。

事実関係
 当社は主に高額物件を取り扱う宅建業者であるが、このたびある資産家から、都内某所にある旧高級分譲マンションをどうしても手に入れたいので「条件に合う物件を是非探して欲しい」と言われた。
そこで、入居者に個別に当たったところ、「売ってもよいが、瑕疵担保責任は負いたくない」という売主が現われた。

 ところが、その売主は宅建業の免許のある法人だったので、「同業の貴社(つまり、当社)になら売ってもよい」ということになり、条件交渉の結果、依頼者である資産家の言う条件に収まりそうなってきた。
 そこで、当社がその物件を一旦買うかたちにしたいが、当社が買って転売をするということになると同じことになるので、購入の仕方を「第三者(依頼者である資産家)のためにする契約」(民法第537条)という方法をとることにより、事実上の転売をしたいと考えている。
 
第三者のためにする契約
質問
 この「第三者のためにする契約」の第2の契約を「他人物売買」というかたちにした場合、宅建業法第33条の2の規定(他人物売買の制限規定)については一定の措置を講ずること(所有権の移転先に「当社(第1の契約の買主)を含む」というかたちをとること)によりクリアできるとしても、同法第40条の瑕疵担保責任免責の制限規定は免れることはできないと考えられるので、「無名契約」のかたちにすれば、売主業者が瑕疵担保責任を負わないことはもとより、中間業者である当社もエンドユーザー(資産家)に対し瑕疵担保責任を負うことはないと考えられるが、どうか。
回答
 
1. 結論
 第2の契約が「無名契約」であっても、貴社とエンドユーザー(投資家)との間に何らかの対価(たとえば、本件投資家が所有権移転先として指名されることによる対価)が授受される「有償契約」である場合には、貴社とエンドユーザー(投資家)との間に瑕疵担保責任を負わないという特約がない限り、貴社には瑕疵担保責任が発生すると考えられる(民法第559条)。
 したがって、貴社にエンドユーザー(投資家)に対する瑕疵担保責任を負担する覚悟があれば、「他人物売買」のかたちで行うこともできるし、「無名契約」で行うこともできる。ただし、「無名契約」で行う場合には、貴社に宅建業法上の重要事項説明義務などが一切適用されないことになるので、それらのリスクについて、エンドユーザー(投資家)に対し、事前に十分説明をしたうえで契約(無名契約)を締結するか、せめて重要事項説明だけはしたうえで契約を締結すべきであろう(後記「平成19年7月10日国総動第19号国土交通省不動産業課長通知」参照)。
 
2. 理由
(1)  第2の契約を「無名契約」とした場合、「他人物売買」の場合と同様に、元売主とエンドユーザー(投資家)との間には契約関係はない。したがって、元売主にはエンドユーザー(投資家)に対する瑕疵担保責任は発生しない。
(2)  第2の契約が「他人物売買」の場合には、通常のケースであれば、第2の契約の売主である貴社がエンドユーザー(投資家)に対し瑕疵担保責任を負う代わりに、貴社(第1の契約の買主)も、元売主に対し瑕疵担保責任を追及することができるという構図になるが(しかし、本件の場合は元売主が免責を希望しているので、その方法はとれない)、「無名契約」の場合には、そもそも第2の契約が売買ではないので、瑕疵担保責任そのものが発生しないのではないかという問題が生じる。
 
参照条文
  ○民法第537条(第三者のためにする契約)
(1)  契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
(2)  前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
 
○同法第559条(有償契約への準用)
 この節(売買)の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
 
参照資料
  ○ 国土交通省による不動産業界あて通知
国総動第19号
平成19年7月10日

各業界団体の長 殿

国土交通省総合政策局不動産業課長

いわゆる「中間省略登記」に係る不動産取引の運用改善について

 標記に関し、平成19年5月30日に規制改革会議において決定された『規制改革推進のための第1次答申』を踏まえ、今般、別添1の通り『規制改革推進のための3か年計画』が平成19年6月22日に閣議決定されたところである。
 これを踏まえ、宅地建物取引業法の適用関係に関し、下記事項について、貴団体加盟の業者に対する周知及び指導を行われたい。

 甲(売主等)、乙(転売者等)、丙(買主等)の三者が宅地又は建物の売買等に関与する場合において、実体上、所有権が甲から丙に直接移転し、中間者乙を経由しないことになる類型の契約である「第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移転」又は「買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転」については、乙が宅地建物取引業者で丙が一般消費者であるとき、契約形態の違いに応じ、宅地建物取引業法の適用関係について次の点に留意すること。

1.甲乙間の契約を第三者のためにする契約とし、かつ、乙丙間の契約を他人物の売買契約とする場合において、乙が他人物の所有権の移転を実質的に支配していることが客観的に明らかである場合には宅地建物取引業法第33条の2の規定の適用が除外されることとなるよう、別添2の通り、宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)第15条の6の規定を改正したこと(平成19年7月10日公布・施行)。

2.乙丙間において買主の地位の譲渡を行う場合、又は甲乙間の契約を第三者のためにする契約とし乙丙間の契約を無名契約とする場合は、乙丙間の契約は民法上の典型契約たる宅地建物の売買契約とは異なるため、乙が宅地建物取引業者であっても売買契約に関する宅地建物取引業法の規律を受けない。
 一方、この場合には、乙丙間の契約について乙に重要事項説明や瑕疵担保責任の特例等の宅地建物取引業法上の規制が及ばず、また、不適切な行為があった場合に宅地建物取引業法違反の監督処分を行えないため、丙は消費者保護上不安定な地位にあることから、そのような契約形式による場合には、宅地建物取引業者乙に宅地建物取引業法上の重要事項説明や瑕疵担保責任の特例等の規制が及ばないことや、瑕疵担保責任については個別の合意に基づく特約によることなど、丙が自らの法的地位を十分に理解した上で行うことが前提となる。
 このため、丙との間に契約当事者である乙は、そのような無名契約の前提について、丙に対して十分な説明を行った上で、両当事者の意思の合致のもとで契約を締結する必要があることに留意すること。

(別添1、2略)

 
監修者のコメント
 本ケースの問題点は、第1の契約が宅建業者間の売買であるため、瑕疵担保の免責特約は有効であり(宅建業法第78条2項)、また第2の契約を無名契約とした場合は、その実質的な売主が宅建業者であっても、宅建業法の売買に関する各種の規制の適用がなく、たとえ物件に瑕疵があっても、エンドユーザーは、その責任を追及する相手がいないということである。

 法的には【回答】のとおりであるが、第2の契約について、エンドユーザーが「それでよい」と十分納得した上でなければ、紛争が生ずる可能性が高い取引であるといえよう。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」
“スコア”テキスト丸ごと公開! 「他人物売買」

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