当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。
専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)
相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)
<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。
ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。
== 更に詳しい相談を希望される方は、当センター認定の全国の資格保有者へ ==
ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。
売買事例 0811-B-0085掲載日:2008年11月
投資家からのマンション一括取得・転売と宅建業法
ある投資家からマンション3戸の一括買取りをする。その後これを転売するが、その際、投資家にも転買人に対する瑕疵担保責任を負わせても、業法上問題ないか。
|
当社は、ある投資家から中古マンション3戸を一括して買い受ける。そして、これをリフォームして売却に出すが、瑕疵担保責任の問題については、当社が投資家から取得する際に、その条件として、売主である投資家も転買人に対し責任を負うようにしたい。 |
|
|
(1) |
当社のこの投資家からのマンション一括取得は、業法上問題になるか。 |
(2) |
元売主である投資家に対し、当社が転売物件の瑕疵担保責任を負わせることは、業法上問題になるか。 |
|
|
回答 |
|
|
|
1. |
結論 |
(1) |
質問1.について — 投資家が他にも同様の取引をしていたり、本件の物件についての取得に係る契約が複数回にわたって行われたものであるような場合には、業法第12条の無免許事業の幇(ほう)助とみなされる可能性がある。 |
(2) |
質問2.について — 貴社が転買人に対し、瑕疵担保責任に関する一義的な責任を回避しない限り、問題になることはないと考えられる。 |
|
2. |
理由 |
(1)について
宅地または建物の取引を不特定多数の者を相手に、反覆または継続して行う行為は宅地建物取引業とされ(東京高判昭和50年7月24日東京高判刑事時報26巻7号126頁)、これを営もう(注)とする者は、宅地建物取引業の免許を受けなければならない(宅地建物取引業法第3条第1項)。
ところで、本件の取引は、3戸一括の取引であるから、たった1回の取引であるかのように見えるが、実は、本件の投資家がこれらの物件を取得した際、3戸の物件を一括で取得していたとしても、今回の「売り」で合計2回の取引をすることになるし、まして、1戸ずつ別々の所有者から取得していたということになると、合計で4回の取引をするということになる。したがって、この投資家が今回の売却物件をどのような方法で取得したのかをまず確認し、そのうえで、ほかにも同様の取得・売却を行っているようであれば、まずは宅建業の免許を取得するように勧めるべきであろう。 (注)「営む」には、「営業目的」を必要とするというのが最高裁の決定である(最決昭和48年7月7日判時715号111頁、最決昭和49年12月16日刑集28巻10号833頁)。 |
|
(2)について
宅地建物取引業法第40条第1項は、宅地建物取引業者みずからが売主となって、宅地建物取引業者以外の者に物件を売却する場合には、その瑕疵担保責任の期間を引渡しの日から2年以上とする特約をする場合を除き、民法第570条において準用する同法第566条第3項に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないと定めている。 したがって、本件の場合にも、転買人に対する瑕疵担保責任の期間が引渡しから2年以上で、かつ、一義的な責任が売主(貴社)にあり、そのうえで、元の売主である投資家に費用負担させることもできるような内容になっているのであれば、業法に抵触することはない。
|
|
|
|
参照条文 |
|
|
|
○宅地建物取引業法第12条(無免許事業等の禁止) |
(1) |
第3条第1項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。 |
(2)(略) |
|
○同法第40条(瑕疵担保責任についての特約の制限) |
(1) |
宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。 |
(2)前項の規定に反する特約は、無効とする。 |
|
○民法第570条(売主の瑕疵担保責任) |
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。(以下、略) |
|
○民法第556条(売買の一方の予約) |
(1)〜(2)(略) |
(3)前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知ったときから1年以内にしなければならない。 |
|
○国土交通省ガイドライン第2条(用語の定義)第2号関係 |
「宅地建物取引業」について |
□ |
本号にいう「業として行う」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は、次の事項を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。 |
□ |
判断基準 |
1.取引の対象者 |
2.取引の目的 |
3.取引対象物件の取得経緯 |
4.取引の態様 |
5.取引の反復継続性 |
|
転買人に対する瑕疵担保責任を投資家にも負ってもらうという合意は、契約自由の原則の範囲内のことで、宅建業法に抵触するものではないが、それにより宅建業者が転買人に対する瑕疵担保責任を負わないということであれば、転買人との関係で業法第40条に違反し、転買人に対する関係で責任を免れるものではない(同条第2項)。宅建業者が売主となる売買である以上、そのような結果にならざるを得ない。 どうしても、宅建業者が瑕疵担保責任を負わず、投資家に負わせたいというのであれば、転売ではなく、媒介・代理にするしかない。その場合は、当然媒介報酬額の制限(業法第46条)を受けることになる。 |
より詳しく学ぶための関連リンク
・“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」