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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1504-R-0145
保証人付建物賃貸借契約における賃借権の譲渡と保証債務の随伴性

 保証人付きの建物賃貸借契約において、借主が貸主の承諾を得て賃借権を第三者に譲渡した場合、保証人は新たな借主の債務についても、保証債務の随伴性により、保証しなければならないか。

事実関係

 当社は賃貸借の媒介業者兼管理業者であるが、先日、店舗の借主が貸主の承諾を得て賃借権を第三者に譲渡した。
 ところが、店舗の賃貸借契約には保証人が定められており、借主がその保証人に何の通知もしなかったために、保証人は、「そのような見ず知らずの人のために保証人になることはできない。」と言って、保証人になることを断ってきた。しかし貸主は、「借主が、保証債務の随伴性により、現在の保証人が法律上当然に保証人になると言ったからこそ、賃借権の譲渡を認めたのだから、その保証人が引き続き保証人にならないというのであれば、この話は白紙に戻す。」と言ってきた。
 しかし、借主はすでに居抜きによる賃借権の譲渡により、その対価の支払や敷金の返還を受け、それを借財の返済に充ててしまっているので、白紙に戻そうとしても手元にはあまり資金がない状態になっている。

質 問

1.  このような場合、貸主と保証人との間の保証契約は、保証債務の随伴性により、引き続き新たな借主(主たる債務者)の債務についても効力を有し、存続していくことになるのか。
2.  もし保証契約が存続していかないとした場合、本件の賃借権譲渡の承諾は、貸主の錯誤により無効となるか。元に戻せる何か良い方法はないか。

回答

1.  結 論
 質問1.について ― 存続していくことにはならない。
 質問2.について ― 無効となる可能性がないとはいえないが、貸主が、保証人の問題だけをクリアにすれば譲渡を認めるというのであれば、それに代わる方法として、保証人の代わりに保証会社を利用するとか、本件の勘違いによる迷惑料も含めた譲渡承諾料を別に支払うといった方法が考えられるが、やはり筋としては、新しい借主に対し、新しい保証人を立てるということで当事者がよく話し合うことであろう。
2.  理 由
について
 保証債務は、「主たる債務」に対して「随伴性」を有するので、主たる債務に対する債権が移転したときは、これとともに移転する。しかし、主たる債務について「債務引受け」が行われたときは、保証人の意思を問う必要があるので、当然には随伴しない。すなわち、本件の賃借権の譲渡は賃借人の地位の移転(契約の引受け)であるから、そこには当事者間にいわゆる「免責的債務引受け」が行われるので、保証人がこれを承諾しないときは、保証債務は消滅すると解されるからである。
 このように、保証債務の随伴性は付従性から派生する性質であるが、当事者がこれを否定することができるのが付従性との違いである。したがって、随伴が否定されれば、保証債務は担保すべき主たる債務を失い、付従性により消滅することになる。
について
 本件の賃借権の譲渡に対する貸主の承諾は、いわばボタンの掛け違いで、借主が、保証債務の「随伴性」を間違って貸主に伝えたことから生じたものであるから、これを元に戻し、極力新しい借主が新しい保証人を立てるという方向で話を進めるべきである。
 つまり、借主は本件の賃借権の譲渡をオーナーチェンジの場合の「貸主の地位の譲渡」と同じだと勘違いし、保証契約もそのまま同一条件で随伴する(後記【参照判例】参照)と伝えたところに間違いがあったのだから、これを貸主に素直に詫びて、回答のような方向で話を戻すべきであろう。

参照条文

 民法第612条(賃借権の譲渡および転貸の制限)
 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その貸借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
 (略)

参照判例

 大判昭和6年5月29日新聞329号18頁(要旨)
 賃貸不動産の所有者に変更があった場合、特約がない限り、賃借人・新所有者間に従来の賃貸借関係がそのまま移転・存続する。

監修者のコメント

 保証債務の随伴性というのは、回答のとおり、債権が譲渡された場合、すなわち貸主が賃貸物件の所有権を譲渡し、貸主が変わった場合、保証人は、新貸主に対して保証債務を負うということであって、賃借権の譲渡の場合、新賃借人の債務の保証人になることはない。
 賃借権の譲渡について、貸主が承諾するに当たって、その保証人が続くということが大きな要素であったことの立証ができれば、要素の錯誤(民法第95条)を根拠に承諾の無効を主張できる可能性が高い。しかし、それは理論上のことであって、現実的には、回答のような対応が妥当と思われる。

より詳しく学ぶための関連リンク

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