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売買事例 0808-B-0078
建物の経年劣化部分についての瑕疵担保責任免責条項の有効性

 「建物の経年劣化部分については、売主は瑕疵担保責任を負わない。」という特約は有効か。付帯設備についても、瑕疵担保責任は負うのか。

事実関係
 最近、築年数を相当経過した物件を媒介することが多く、特に売買の場合の瑕疵担保責任について、売主から瑕疵担保責任を負いたくないと言われることが多い。
質問
1.

 最近の顧客からの質問の中で一番多いのは、経年劣化部分についてはもともと責任がないのではないかということであるが、もし、宅地建物取引業者が売主で、一般個人が買主となる売買において、次のような特約を付した場合、その特約は有効といえるか。
  「売主は、建物の経年劣化部分については、瑕疵担保責任を負わないものとする。」

2. そもそも、建物の経年劣化部分については、瑕疵担保責任の対象にはならないと思うが、どうか。
3. 経年劣化は、建物本体だけでなく、付帯設備についても考えられるが、この付帯設備については、もともと瑕疵担保責任の対象にはならないと思うが、どうか。
回答
 
1. 結論
(1)   質問1.について — ケースバイケースによる。したがって、もし、売主が経年劣化部分のすべての部位について瑕疵担保責任を負わない趣旨であると認識しているとすれば、特約が無効とされる可能性がある。
(2)  質問2.について — 経年劣化部分であっても、その劣化部分が、本来建物が有すべき性能・品質等に係わる部分(たとえば、屋根の雨漏りを防止すべき部分など)である場合には、かなりの築年数を経ているものであっても、瑕疵担保責任の対象になると考えられる。ただし、その判定においては、当該劣化部分の状況と建物の価格、契約時における当事者の意思(たとえば、買主が、そのままの状態で(修理をしないで)建物を継続使用するつもりであったのかどうかなど)等を総合的に評価したうえで判断されることになると考えられる。
(3)  質問3.について — 付帯設備についても、売買の対象にした以上、当然瑕疵担保責任の対象になる。つまり付帯設備であっても、契約時にすでに不具合が発生しているものであれば、瑕疵担保責任を負うことになる。
2. 理由
(1)  不動産の売買において「瑕疵がある」というのは、たとえば、新築の住宅であれば新築なりに、中古の住宅であれば中古なりに、その住宅が通常有すべき品質・性能を欠いている状態をいう。したがって、本問のように、建物の築後年数が経過したものであればあるほど、その品質・性能面での状態が悪化してくるのは当然のことである。
(1)  しかし、そうは言っても、建物を建物として売買した以上、建物としての機能が備わっていなければならないのは当然で、その意味で、「瑕疵」の有無を判断するためには、売買の当事者が、その建物をどのような目的で売買したのか、たとえば、買主がそのままの状態で使うのか、それとも一定の修理・改装をしたうえで使うのかなどについて、どのように認識し合意したのかが、ポイントになる。
  
 したがって、本問の「経年劣化」しているという部位が、建物の機能面において、どのような影響を与える個所なのかによって、その建物に「瑕疵」があるか否かの判断が分かれることになる。つまり、その建物が住宅であれば、屋根や土台、外壁など、雨水の侵入を防止する部分や建物の構造耐力上主要な部分であるか否かによって、その判断が分かれることになるものと考えられる。
 
参考資料
  住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、「新築住宅」について10年間の瑕疵担保責任を義務づけられる部位
 (木造住宅の場合)
   <雨水の浸入を防ぐ部分>
  屋根、外壁、開口部
 <構造耐力上主要な部分>
  基礎、壁、柱、小屋根、土台、斜材、床版、屋根版、横架材
同法に基づく「新築住宅」の定義(同法第2条第2項)
「この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。」
   
監修者のコメント
 経年劣化」という意味が、時間的経過によって自然にその効用・機能が減少していく現象で、かつ、その目的物の通常の使用に支障をきたさないものということであれば、経年劣化部分について瑕疵担保責任を負わないというのは、むしろ当然のことであって、その特約は有効と解される。なぜなら、「瑕疵」というのは、【回答】のいうように、「その物が通常有すべき品質、性能、性状を有しないこと」であって、たとえば、築後20年を経過した住宅であれば、通常あり得る経年劣化といえる現象は、そもそも瑕疵の概念に含まれないからである。したがって、理論的にいう限り「経年劣化部分については瑕疵担保責任を負わない」旨の特約の「経年劣化部分」が客観的にそう認定できるものであることを前提にすれば有効と解される。ただ、問題は実際に起きた具体的な不具合が、その「経年劣化」といえることかどうか、当事者の主観に食い違いが生じてしまうことであるが、どうしても折り合いがつかなければ、裁判等によらざるを得ない。

より詳しく学ぶための関連リンク

ザ・ライブラリー 松田先生

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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