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売買事例 0805-B-0068
売主が個人で、買主が業者の場合の手付金の額の
制限超過取引

 売主が一般の個人で、買主が宅建業者の売買で、手付金の額が、売買代金の額の20%を超えても、宅建業法上問題ないか。

事実関係
当社は媒介業者であるが、このたび当社が媒介する土地の売買は、売主が一般の個人で、買主が宅建業者である。
質問
1. このような取引で、手付金の額が売買代金の額の20%を超えるが、宅建業法上問題ないか。
2. この売買代金の額の20%を超える手付について、その性格を解約手付のほかに、違約手付の性格も併せもつこととすることはできるか。
回答
 
1. 結論
(1) 質問1.について — 問題ない。
(2) 質問2.について — できる。
2. 理由
(1)について
 宅建業法第39条が手付金の額について制限をしているのは、あくまでも業者が売主になる場合で、かつ、買主が一般の個人(いわゆる「消費者」)の場合であって、本件のように売主が一般の個人であったり、買主が宅建業者の場合には、本条の適用はない。
 
その理由は、本条の趣旨が、過去に、宅建業者が消費者と売買契約を締結した際に、買主からの手付解除を封じるため、買主から法外な手付をとり、買主との間で紛争が激増した時期があったために、そのような取引を防ぐために設けられたからなのである。したがって、本件のケースにおいては、手付金の額が高額になったために、手付解除がしにくくなったとしても、それだけで本条の規定に抵触するということはない。
(2)について

 宅建業者が、一般消費者との間でみずから売主となる売買契約を締結する場合、その手付を解約手付以外の性格の手付すなわち違約手付、証約手付の性格と合意したとしても、必ず解約手付性をもつことになる。すなわち、当事者の一方(相手方)が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、宅建業者はその倍額を支払って、契約を解除することができるようになる(業法第39条第1項)。そして、その規定に反する特約で、買主に不利なものは無効とされる(同法同条第2項)。
 ところが、この解約手付としての性格のほかに、別途、違約手付としての性格も併せもつことができるとすると、その契約の拘束力を強めることができるので、そのような特約をすることが可能かどうかが問題となる。すなわち、違約手付としての性格も併せもたせるとすると、たとえば、買主が契約違反をした場合、売主にとっては、その手付を「違約罰」として没収できるほかに、さらに損害があれば、その損害についても賠償請求をすることが可能になるという関係になるからである。

 
そこで、宅建業法は、「宅建業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはならない。」とし(同法第38条第1項)、さらに、「前項の規定に反する特約は、代金の額の10分の2を超える部分について、無効とする。」と定めている(同法第38条2項)。
 つまり、業者が売主となり、業者以外の者が買主となる宅地建物の売買においては、その契約違反の場合の損害賠償の額を予定したり、違約金を定める場合には、(手付の額の制限と同様に)売買代金の額の20%以内としなければならないということであるから、本件のように売主が一般の個人であったり、買主が業者であるようなケースにおいては、本条の適用はないということになる。
 
監修者のコメント
 宅建業法との関係は、【回答】のとおりであり、付け加えるべきことはない。

 なお、一つの手付金について、「解約手付」と「違約手付」の両方の性格をもたせることができるか、という問題がある。なぜなら、解約手付は、相手方が履行に着手するまでは、特に理由もなく解除権の行使ができるという意味で契約の拘束力を弱めるものであるのに対し、違約手付は違約した場合、その金額の損害を被るという意味で契約の拘束力を強めるものであり、一つの手付が両方の性格を併せもつというのは、理論的に一見矛盾するように考えられるからである。
 これについて最高裁判例は、両者の性格が併有する手付を認めている(最判昭和24年10月4日)。

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