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売買事例 0802-B-0055掲載日:2008年2月
共同不法行為者(不真正連帯債務者)間の賠償金の求償
汚染土地に関する重説不十分の責任をとった買主側媒介業者が、自らの判断で損害を賠償したあとに、本来の責任は売主側業者にあるとして、売主側媒介業者に求償することはできるか。
事実関係 | |
(1) | 当社は、準工業地域内にある土地の所有者から、その土地の売却の依頼を受けた媒介業者であるが、物件が準工業地域内にあるということから、この地域に強い地元業者に客付けを依頼した。 そして、間もなく買客(従前の土地所有者(工場経営者)と同業者)も決まり、契約、決済・引渡しと順調に進んだが、その後、その土地は、以前に土壌汚染の調査をしたことがある土地であることがわかり、しかも、その調査結果が、汚染土地として土壌汚染対策法上の指定区域の「指定」まではされなかったが、かなり汚染度の高い土地であることがわかった。 |
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(2) | にもかかわらず、その土地が汚染度の高い土地であることがわからなかったのは、約10年前に土地の所有者が建物(工場)を解体したのち、暫らく駐車場として利用しており、しかも、一旦その所有権が第三者に移っていたからである。しかし、反面、今回の買主側の業者が地元の業者ということからすれば、買主側の業者については、その土地の使用履歴からも、汚染についてはある程度推測がつく状況にあったといえなくもないという面もある。 | |
(3) | そしてその後、買主は、当初は我々両業者に対し、契約の解除をするとか、損害賠償の請求をするとかといった構えを見せたが、買主側の業者が自らの判断で、媒介手数料の全額を買主に返還することにより、事なきを得た。 その理由は、この土地はもともと準工業地域にある土地なので、「「指定」はないが、土壌汚染の可能性はある」ということだけは重説し、そのために、価格も買主が希望する価格まで下げていたからである。 ところが、その後、買主側の業者は、当社に対し、今回の重説不十分による責任は、もともと売主側業者が行うべき調査を十分行っていなかったことから発生したものであるから、自分達(買主側業者)が買主に返還した媒介手数料の半分を支払えという請求をしてきた。 |
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質問 | |
1. | この買主側業者の主張は、正しいか。 | |
2. | そもそも物件に関する調査義務は、売主側業者だけにあるのか。 | |
3. | この場合の両業者の責任分担は、どのようにするのが適当か。 | |
4. | 本件のように、一方の媒介業者が損害の賠償をした場合には、その賠償をした業者は、他の媒介業者に当然に求償することができるのか。 | |
回答 | ||||||||||||||||||||||
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参照条文 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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監修者のコメント | |
本事案の判断は、微妙である。買主側の業者が、重説不十分の責任をとったというが、買主側業者が汚染されている土地であることを知りながら、その旨の説明をしなかったというのであればともかく、土壌汚染対策法の「指定区域」ではないが、土壌汚染の可能性があると説明し、しかも、そのために価格も買主が希望する価格まで下げていた、というのであるから、そもそも、本事案に「隠れた」瑕疵があるといえるかも問題である。 共同媒介の場合の責任分担は、両業者の立場、調査の程度、買主の購入目的の知・不知その他の諸要素を総合勘案してケースごとに判断せざるを得ない。 |