不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 0710-B-0041
宅地建物取引業を行う上で、特に注意すべき登記

賃貸の媒介をする場合には、抵当権等の担保権の有無をチェックすることが重要であるが、売買の媒介をする場合には、どのような登記のチェックが重要か。

事実関係
 昨年宅地建物取引業を開業し、まず賃貸の媒介から営業を開始したが、徐々に売買の領域にまで手を伸ばしていきたい。
質問
1.  賃貸の場合には、特に抵当権などの担保権の登記に注意する必要があるが、売買の場合は、どのような登記に注意して媒介をしたらよいか。
2.  その中でも、特に注意すべき登記はどのような登記か。
回答
 
1.  結論
(1)  質問1.について
まず第1に注意するのは、(当然のことながら)所有権に関する登記である。と同時に、その所有権の行使を阻害する要因となる登記(甲区における所有権の仮登記のほか、差押え・仮差押え・仮処分等の登記や乙区における用益権・担保権等の登記)の内容を調べることが重要である。
(2)  質問2.について
所有権の仮登記である。
2.  理由
(1)  について
 不動産売買契約は、その所有権を買主に移転することを目的とする契約であるから、媒介業者がその所有権に関する調査をするのは当然のことであり、万一その登記名義人と真の所有者が異なっていた場合には、買主に所有権を移転することができないので、余程のことがない限り、媒介業者の注意義務違反は免れない。
 その意味で、媒介業者には、所有権の登記名義人と売主が同一人であるかどうか、もし同一人でないとすれば、なぜそのようになっているのか、所有権を売主の名義にして、そのうえで買主に所有権を移転することができるのか、担保権の存在や差押えの有無などについての調査義務があるといえる。
 したがって、媒介業者の調査が不十分なため、決済・引渡しまでに、所有権の登記名義が回復できなかったり、担保権の抹消や差押えの解除ができなかった場合には、媒介業者も、そのために買主が被った損害を賠償しなければならないということになる。
(2)  について
 所有権の仮登記には2種類あり、1つは登記すべき物権変動がすでに生じている場合の仮登記で、これを一般に「1号仮登記」と言い(不動産登記法第105条第1号)、もう1つは、登記すべき物権変動がまだ生じていない場合の仮登記で、これを一般に「2号仮登記」と言っている(同法同条第2号)。
 しかし、この2つの仮登記は、いずれも順位番号の付いた「主登記」の形式でなされ、また、所有権の登記は移転があっても抹消されない(アンダーラインが付かない)ために、仮登記が付いたまま所有権が転々譲渡された場合には、最後の1人や2人の登記名義人やその移転の経過などを調べただけでは、仮登記の存在を発見することができないことがある。
 したがって、もし媒介業者の不注意で、仮登記の存在を発見できないまま売買をした場合には、買主はその仮登記付きの所有権を取得したことになり、後日、仮登記権利者がその仮登記に基づいて本登記をしたときには、その仮登記後に転々譲渡された所有権の登記は、すべて登記官が職権で抹消してしまうので(不動産登記法第109条第2項)、買主はその物件については無権利の状態になってしまうことになるからである。
 
参照条文
 
○  不動産登記法第105条(仮登記)
仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。
 第3条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、(中略)第25条第9号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供できないとき。
 第3条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(中略)を保全しようとするとき。
○  同法第109条(仮登記に基づく本登記)
(1)  (略)
(2)   登記官は、前項の規定による申請(仮登記に基づく本登記の申請)に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。
 
監修者のコメント
 注意すべき登記は、【回答】欄のとおりであるが、その際に注意すべきは直近の登記を閲覧することである。所有者の売買に向けての動きの情報を察知した債権者等が、急いで仮差押、仮処分の登記をしてくることもある。したがって、慎重を期すためには、午前中の契約締結であれば前日の午後に、午後の契約であれば当日午前中に登記簿を見ることが望ましい。
 登記簿についてウッカリミスをした媒介業者は、それに起因して生じた買主の損害について賠償責任を免れることは不可能と考えて業務を進められたい。

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