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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
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売買事例 0710-B-0040
方位についての情報図面の誤記と損害賠償

自社で作成した情報図面の方位に約13度の誤差があった。買主から、その誤差についての損害を賠償せよと言われているが、賠償しなくてはならないか。

事実関係
 当社は媒介業者であるが、当社が売主から売却の依頼を受けて作成した土地の情報図面の方位に誤りがあった。誤りの内容は、方位がほぼ真南ということで作成したが、実際はそれより東に約13度ずれている。そして、そのことを知らずに買主を現地に案内し、その1週間後に契約を締結した。
 ところが、その契約締結後、買主が建築業者を伴い現地を訪れたところ、建築業者が方位の誤りに気づいたため、買主から当社に対し、その損害を賠償せよと言ってきた。
質問
 当社はその損害を賠償する責任があるか。あるとすれば、どの程度の損害を賠償することになるのか。
回答
 
1.  結論
 貴社の過失を否定する特別の事情がない限り、貴社にはその損害を賠償する責任があると考えられる。その損害額の算定にあたっては、ひとつの考え方として、次のような計算方法が考えられる。
賠償額=(土地価格×5%(注))×  13度
90度
(注) 南面の物件が東面の物件に対し、5%増しの価格と評価した場合
2.  理由
(1)   情報図面は、買主が物件の購入にあたり、その情報図面に基づいて現地を視察し、購入意思を固めていく重要な情報であるため、その内容については、媒介業者の善管注意義務の範囲内で責任を負うことになる。したがって、その記載内容に誤りがあり、その結果、買主が損害を被ったとすれば、その損害は情報図面を作成した媒介業者が負うのは当然のことである。しかし、その誤差については、買主が現地を見て契約をするという手順もあるため、必ずしも完全な正確さを求められているというものではなく、特に、方位については、その物件が東西南北のどの方向に向いているかというおおよその方位を示すものであるとも考えられるので、ある程度の誤差が生じるのはやむを得ないものと考えられる。
(2)   しかし、本件のような約13度という誤差については、社会通念上、許容限度を超えるものとして、損害賠償の対象になると考えられる。しかし、その損害額の算定は必ずしも容易ではなく、個々の具体的なケースごとに決めざるを得ないが、ひとつの考え方として、【回答】1. 結論に記したような方法もあるのではないかと考えられる。
 
参照条文
 
○  民法第644条(受任者の注意義務)
 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
○  民法第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。(以下(略))
○  民法第709条(不法行為による損害賠償)
 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
 
監修者のコメント
 本件のようなケースは、特段の事情のない限り、媒介業者の注意義務違反になる行為であることは間違いない。しかし、それを根拠とする損害賠償の問題として考えるとき、大変難しい問題に当面する。なぜなら、購入者にとって心情的な不満は十分理解できるが、現実的な損害額はいくらか、もっと言えば、そもそも損害が発生しているのかが争点となるからである。
 本件では、真南より東に約13度ずれているというのが、その土地の客観的事実であり、それを前提に土地の価格が決定され、購入したというのであれば、買主に経済的損害はなく、単なる方位の誤記にすぎない。しかし、土地の価格が真南を前提に評価決定され、買主がその売買代金を支払ったが、東に約13度ずれているために、それより土地の客観的価値が減価するというのであれば、その減価分が買主の損害ということになる。【回答】における計算方法は、後者のケースにおける一つの考え方と思われる。

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