公益財団法人不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター) > 不動産相談 > 売買 > 媒介契約書を作成しないまま直接契約が行われた場合の
報酬請求

不動産相談

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

== 更に詳しい相談を希望される方は、当センター認定の全国の資格保有者へ ==

不動産のプロフェッショナル

ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
掲載にあたっては、プライバシーの保護のため、相談者等の氏名・企業名はすべて匿名にしてあります。
また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 0709-B-0036
媒介契約書を作成しないまま直接契約が行われた場合の
報酬請求

買いの媒介契約書を作成・調印しないまま商談が進行し、契約の日時まで決めたが、買主が約束を反古にし、売主と直接契約を成立させた。このような場合、媒介業者は、媒介契約書がなくても媒介報酬の請求ができるか。

事実関係
 当社は、ある顧客から戸建住宅の買受けの媒介委託を受けた。そして、物件案内もし、条件交渉も買主の希望条件で折り合いがついたので、売買契約の締結日時を決定した。 ところが、買主(依頼者)は、その後間もなく断りの電話を入れてきた。理由は、「事情があって」と言うだけで、言えないという。そのため、当社としては、やむを得ず「わかりました」と返事をしたが、その3か月後にその物件の前を通りかかったところ、表札が買主(依頼者)の名前に変っていた。
 そこで、買主(依頼者)にその間の事情を聞いたところ、一旦は物件の購入を諦めたが、再度欲しくなって、直接売主のところへ行って交渉し、当初の条件で契約を成立させたのだという。
 なお、本物件の所有権の登記が買主(依頼者)に移転した日は、当社に断りの電話を入れた10日後になっている。
質問
 当社は、この依頼者と媒介契約書を取り交していないが、媒介手数料の請求はできるか。できるとすれば、どの程度の額を請求できるか。
回答
 
1.  結論
 媒介業者は、(媒介契約書の有無にかかわらず)申込書などにより、媒介契約の成立を立証することができる限り、本件の契約(直接契約)の成立に寄与した割合に応じた手数料の額を請求することができる。
  なお、具体的な額については、最終的には裁判所が判断することになるので、ここでは回答できないが、媒介業者が物件案内もし、売買契約も当初の条件で成立していることから見て、それ相応の額の請求が可能と判断される。
2.  理由
 委任者が媒介業者を排除して、直接相手方と取引した場合においても、媒介業者は、当該委任者に対し、民法第130条(条件成就妨害の法理)または商法第512条(商人の行為の有償性)等を根拠に、媒介手数料を請求することができる(後記【参照判例】参照)。
 
参照判例
 
○  最判昭和45年10月22日民集24巻11号1599頁(要旨)
(条件の成就を妨害したと判断された例)
 宅地建物取引業者に仲介を依頼した者が、仲介活動の進行中にこれを排除して直接相手方と売買契約を締結した場合には、契約成立の時期が右の仲介活動の時期と近接しており、売買価格が右業者と買主との下相談した価格をわずかに上回っていたにすぎない等の事情の下では、報酬の支払に係る条件の成就を妨げたものとして、右業者に対する報酬支払義務を免れない。
 
参照条文
 
○  民法第130条(条件の成就の妨害)
 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
○  商法第512条(報酬請求権)
 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当の報酬を請求することができる。
 
監修者のコメント
 媒介契約は、委任者(依頼者)と受任者である宅建業者の口頭の合意で成立し、書面の作成・調印は契約の成立にとって必要ではない。法定の事項を記載した書面を依頼者に交付しなかったときは、宅建業法(第34条の2)違反にはなるが、媒介契約の成否とは無関係である。
 本件のような依頼者の直接取引をめぐる仲介報酬請求の訴訟においては、仲介報酬請求権の前提として、媒介契約が成立しているかどうかが、大きな争点になることがほとんどである。その場合、宅建業法上の書面の交付義務を遵守しているケースでは、その書面により、媒介契約の成立を容易に証明(立証)できるが、交付義務を果していない場合は、媒介契約の成立を証明することに困難を伴う。宅建業法を守っていないと、このような場面でそのツケがまわってくる。

当センターでは、不動産取引に関するご相談を
電話にて無料で受け付けています。

専用電話:03-5843-208110:00~16:00(土日祝、年末年始 除く)

相談内容:不動産取引に関する相談(消費者、不動産業者等のご相談に応じます)

<ご注意>
◎ たいへん多くの方からご相談を受け付けており、通話中の場合があります。ご了承ください。
◎ ご相談・ご質問は、簡潔にお願いします。
◎ 既に訴訟になっている事案については、原則ご相談をお受けできません。ご担当の弁護士等と協議してください。

ホームページに掲載しています不動産相談事例の「回答」「参照条文」「参照判例」「監修者のコメント」は、改正民法(令和2年4月1日施行)に依らず、旧民法で表示されているものが含まれております。適宜、改正民法を参照または読み替えていただくようお願いいたします。

更に詳しい相談を希望される方は、
当センター認定の全国の資格保有者へ

不動産のプロフェッショナル

過去の事例(年別)

  • 賃貸
  • 売買

ページトップへ

single