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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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売買事例 0709-B-0034
瑕疵担保責任を負わない特約付売買における引渡し前の瑕疵の除去

個人間の古家付土地売買で、瑕疵担保責任を負わない特約付で、更地渡しを条件に売買契約を締結した。この場合、建物解体時に従前の建物のコンクリート塊が大量に発見されたが、その旨を買主に告げれば、そのまま引渡しても問題ないか。

事実関係
 当社は媒介業者であるが、個人間の古家付土地売買の媒介で、更地渡しの条件で、かつ、土地について瑕疵担保責任を負わない特約を付けて売買契約を成立させた。
  ところが、古家を解体したところ、古家の基礎の下に、大量のコンクリート塊があることが判った。調べてみると、そのコンクリート塊は、従前の建物の地下室部分の残骸であることが判った。
質問
1. この場合、売主は瑕疵担保責任を負わないので、媒介業者としては、買主にコンクリート塊があることを告げれば、そのまま土地を引渡しても問題ないと思うが、どうか。
2. コンクリート塊の存在は、「隠れた瑕疵」に当たるので、媒介業者に責任はないと思うが、どうか。
回答
 
1.  結論
(1)  質問1.について
 問題がある。「売主は、瑕疵担保責任を負わない」という特約があったとしても、それがいかなる場合でも有効というわけではないので、媒介業者としては、その特約が原則として効力があることと、コンクリート塊の存在を買主に説明し、納得させた上で、引渡しをすべきである。
(2)  質問2.について
「隠れた瑕疵」についての担保責任は、売主の責任であるが、媒介業者の調査・説明義務の問題になり得ることはある。ただ、本件では瑕疵があってもその責任を売主に問わないことになっているので、売買契約締結時に媒介業者がコンクリート塊の存在を知っているのに、言わなかったというのでない限り、責任を負わないと考えてよい。
2.  理由
(1)  について
   物件に「隠れた瑕疵」が存在するかどうかの判断基準時は、売買契約締結時であるから、本件では「隠れた」瑕疵か否かは別として、大量のコンクリート塊が契約締結時に存在したことは客観的事実であり、やはり「瑕疵」と解さざるを得ない。
  しかし、本件では、たとえ隠れた瑕疵があったとしても売主は瑕疵担保責任を負わない旨の特約が付いているので原則的には売主は免責されることになるが、民法上、そのような免責特約がある場合でも、売主が知りながら告げなかったときは、責任を免れることはできないことになっている(第572条)。本件では、これに該当する可能性もないわけではない。つまり、本件のようなケースにおいては、売主が建物(今回の古家)を建てる際に、建築会社等から地中のコンクリート塊の存在を知らされたうえで、その上に基礎を置くという設計に同意している可能性があるからである。それだからこそ、売主は責任を負わない、とわざわざ特約を付けたのではないか、と買主が主張することも十分に考えられる。
 媒介業者としては、契約締結後、引渡しまでに、このような瑕疵が顕在化した以上、買主に対して、コンクリート塊の存在の事実を告げ、契約中の瑕疵担保を売主が負わない特約のこと、売主もこれを知らなかったのであれば、知らなかったことを説明し、納得の上で引渡しがなされるよう努力すべきである。ただ、買主が納得しない、という場合は、売主の知・不知の一点が争いの対象となり、非常に難しい問題であるので専門家に委ねるのも一方法である。
(2)  について
   媒介業者は、土地の「隠れた瑕疵」については、業者としての調査(たとえば、地歴=更地であれば、元工場跡地であったか否か、埋立地か否か、過去に冠水の事実があったか否かなど)をひと通り行っている限り、原則として責任を負わない。
 しかし、媒介業者は媒介契約(準委任契約)上の善管注意義務を負っており(民法第644条)、その義務の一内容として、委任者(依頼者)に不測の損害を与えないようにするための調査・説明義務がある。問題は、物件の瑕疵について、どこまで媒介業者が調査・説明義務を負うのかであるが、宅建業者としての一般的・平均的注意をすれば知り得たかどうかを基準にケースごとに判断せざるを得ない。
 ただ、売主の免責特約が付いていたとしても、媒介業者がその瑕疵の存在を知っていた以上は、説明(告知)義務があると考えるべきである。
参照条文
 
○  民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
○  民法第572条(担保責任を負わない旨の特約)
 売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
監修者のコメント
 瑕疵担保の免責特約を付ける売買契約は多いが、その場合でも【回答】欄にあるような民法572条の適用のある例外があるほか、売主が知らなかったケースでも、免責特約をそのまま効力を認めることが当事者間の公平を害すると考えられるものについて、特約の適用範囲を制限したり、そもそもその効力を認めない裁判例もある。後日の紛争回避のために免責特約を付けることは、それなりに意味はあるが、それにより、すべて売主は免責されると考えるのは正しくない。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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