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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1408-B-0184
業者間売買における「付帯設備」の瑕疵担保責任

 宅建業者間で中古住宅の「現状有姿売買」を行った場合、売主に建物の「付帯設備」についての瑕疵担保責任が生じるか。もし生じるとした場合、それはどのような場合か。

事実関係

 当社は買取り転売業者であるが、このたび当社が買い取った中古住宅を、宅建業を兼業する建築業者に「現状有姿売買」で売却した。その際、当社からは「付帯設備」についての説明は一切しなかった。
 ところが、物件の引渡し後になって、買主から当社に対し、「付帯設備のあちこちに不具合がある。付帯設備についての重要事項説明をしなかったのは宅建業法違反であるから、その修理費用を負担せよ。」と言ってきた。

質 問

1.  建物の「付帯設備」についての重要事項説明というのはあるのか。それは宅建業法上の義務か。
2.  本件はいわゆる業者間の売買であるから、売主が瑕疵担保責任を負わないという特約(「現状有姿売買」という特約)は有効であり、したがって、売主は「付帯設備」の修理費用を負担する義務はないと思うが、どうか。
3.  そもそも、建物の「付帯設備」に対する瑕疵担保責任というのはあるのか。もしあるとすれば、それはどのような場合か。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 「付帯設備」についての説明義務は、宅建業法上の義務として独立してあるわけではないが、付帯設備も建物と一緒に売買している以上、現状有姿売買といえども、現に不具合などがあれば、それは当然「重要な事項」として説明義務(宅建業法第35条・第47条第1号)の対象になる。
 質問2.について ― 本件の売買はいわゆる業者間の売買であり、売主が瑕疵担保責任を負わない特約は有効である(宅建業法第78条第2項、第40条)。
 しかし、本件の「現状有姿売買」という特約は、「隠れた瑕疵」(民法第570条)についても担保責任を負わないという趣旨の特約ではないので、「建物」はもとより、「付帯設備」についても、「隠れた瑕疵」があれば当然担保責任の対象になる。
 質問3.について ― 建物の「付帯設備」の隠れた瑕疵に対する担保責任は、その瑕疵が、「建物」としての瑕疵になるのか、それとも建物以外の「独立した設備」についての瑕疵になるのかについて判然としないものもあるが、少なくとも建物に組み込まれている設備については、「建物」そのものとみることができるので、その瑕疵については宅建業法第40条の瑕疵担保責任についての特約の制限の規定の適用を受けるものと解される。したがって、それ以外の「建物から独立した付帯設備」についての瑕疵については、民法の一般規定等の宅建業法以外の規定が適用されるものと解される。
 つまり、建物に組み込まれた設備は「建物」としての瑕疵担保責任の対象となり、それ以外の「独立した付帯設備」については、「建物以外の瑕疵」としての担保責任の対象になるということである。

参照条文

 民法第570条(売主の瑕疵担保責任)
   売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。(以下、略)
 宅地建物取引業法第40条(瑕疵担保責任についての特約の制限)
 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法(明治29年法律第89号)第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
   前項の規定に反する特約は、無効とする。
 同法第78条(適用の除外)
 (略)
   33条の2及び第37条の2から第43条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。

監修者のコメント

 不動産の業界で、意外に誤解されている事柄の一つに「現状有姿売買」の用語の意味がある。その用語は、元々は山林の売買において、木は伐採せずにそのまま山林を引渡すというときに使用されたようであり、何も手を加えずに引渡しするという意味であって、瑕疵があっても責任を負わないという意味はない。瑕疵担保責任を負わないのであれば、「売主は、本物件に隠れた瑕疵が存在しても、その責任は負わない」と明確に契約書に書く必要がある。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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