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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
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賃貸事例 1408-R-0136
成人した入居者(学生)からの解約申入れの有効性

 未成年者である学生のためにその親が賃借した部屋を、成人した学生が解約したいと申し入れてきたので、当社(賃貸媒介業者兼管理業者)はその旨を貸主に伝え、次の借主を手配し、明渡しを求めたところ、その学生は、「親が反対している。自分は希望を述べただけで、正式な書面による解約申入れはしていない。」と言って、前言を翻した。
 なお、この入居者(学生)との間においては、その親からの要請もあり、入居者の成人を機に、契約上のことはすべてその入居者(学生=成人)との間で行っている。
 このような場合、その入居者(学生=成人)からの解約申入れは、意思表示としては、正式なものと考えてよいか。その申し出が「書面」によるものであった場合には、どうか。このようなトラブルに対し、どのように対応したらよいか。

事実関係

 当社は賃貸借の媒介業者兼管理業者であるが、当社の管理物件の中に学生が入居している部屋がある。この部屋は、契約の締結はその学生の両親との間で行ったが、その後の学生の成人を機に、親からの要請もあり、契約上のことはすべてその学生(成人)との間で行っている。
 そのような状況の中で、成人した学生が、「来月中に部屋を明け渡したい。」と言ってきたので、その旨を貸主に伝え、次の借主の募集に入った。そして、次の借主(希望者)が決まったところで部屋の明渡しを求めたところ、「親が反対している。自分は、自分の希望を述べただけで、正式な書面による解約の申入れはしていない。」と言って、前言を翻した。
 なお、この契約においては、借主からの解約申入れは、解約日の1か月前までに「書面」で行うことになっており、本件の入居者(成人した学生)からの申入れは、「書面」による申入れにはなっていない。

質問

1.  このような場合の入居者(成人した学生)からの解約申入れは、約定の「書面」による申入れにはなっていないが、その申入れが「成人」からの申入れである以上、解約の意思表示としては、法的に有効な申入れと考えてよいか。これが「書面」による申入れであった場合は、どうか。
2.  本件のトラブルは、どのように解決したらよいか。当社が、もし次の入居者から敷金や賃料を預かっていた場合には、どのように対応すべきか。

回答

1.  結 論
 質問1.について ― 解約申入れは「書面」によらなければならないと定めている以上、書面以外による申入れは、いかに「成人」からの申入れであっても、正式な解約申入れとは認められない。
 質問2.について ― 契約の当事者である両親に、再度入居者(学生)の意向を確認してもらい、それでも両親が解約をしないというのであれば、それ以上の対応は難しいと考えられる。
 なお、その際貴社がすでに次の入居者から敷金等を預かっているのであれば、その入居希望者に対し、直ちにその預り金を返還し、そのうえで、貴社としても契約当事者(両親)の意思を確認しなかった落ち度があるので、その入居希望者が負担した交通費等の実費のほかに、多少の詫び料の支払いはすべきであろう。
   
2.  理 由
  ⑴について
   本件の場合の解約申入れは、その申入れが契約の当事者(両親)からの申入れではなく、入居者(学生=成人)からの申入れであるため、その入居者の行為を仮に両親の代理人としての行為と考えたとしても、またその申入れが「書面」でなされたとしても、現に両親が解約に反対している以上、その入居者は無権代理人といわざるを得ず、したがってその場合においても、本人である両親がその無権代理人の行為を追認しない限り、法的に有効な代理行為にはならないからである(民法第113条)。
 なお、本件のケースにおいては、入居者(学生)が成人した後は、契約上のことはすべて入居者(成人した学生)が行っていたとのことであるが、その借主(両親)からの要請によって貸主が入居者(学生=成人)を事実上の借主とみなし、すべての契約上の対応をしていたとすれば、あるいは違った見方が生じる可能性が考えられるが、本件の解約問題を見る限り、本件の入居者(学生=成人)が契約の解除とか解約といった「法律行為」についてまでの包括的な権限を有していたとは考えにくいからである。
  ⑵について
   (略)

参照条文

 民法第5条(未成年者の法律行為)
 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
   (略)
 民法第113条(無権代理)
 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
   (略)

監修者のコメント

 本件で、「入居者(学生)が成人した後は、契約上のことは、すべて入居者(成人した学生)が行っていた」とのことであるが、裁判になれば、その事実関係をどう評価するかが最も大きな争点となると思われる。たとえ、契約書の名義を書き換えなくても、貸主、両親、入居者(子)の黙示の合意で契約当事者を入居者本人に変更したとも解釈ができるからである。
 しかし、いずれにせよ、約定において「書面」による申入れでなければならないとなっている以上、口頭による申入れは効力を有しないと解して差し支えない。

より詳しく学ぶための関連リンク

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