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売買事例 0706-B-0021
仮換地の売買の媒介における「清算金」の帰属先

土地区画整理事業地内の仮換地上の戸建住宅の売買の媒介にあたり、「清算金」の帰属先を誰にしたらよいか。

事実関係
   当社は媒介業者であるが、このたび区画整理事業地内の仮換地上に建てられた中古の戸建住宅の売買を媒介する。
 媒介する物件は、売主が数年前に大手の分譲会社から購入した建売住宅であるが、その当時の売買契約書を見ると、「清算金」の帰属先が買主(つまり、今回の売主)になっており、まだその徴収・交付は終わっていないという。
質問
  1. 今回の売買においても、その清算金の帰属先を「買主」とすべきか、それとも「売主」とすべきか。
  2. 区画整理事業における本来の清算金の帰属先は、もともとの「地主」にあると思われるが、その点については問題ないのか。
  3. そもそも、「仮換地」の売買というのは、法的にはどういう売買になるのか。
回答
  1.結論
 
(1) 質問1.について
 「買主」にした方が清算手続が円滑にいくと考えられる。
  (2) 質問2.について
 (施行者への確認は必要であるが)問題はないと考えられる。
  (3) 質問3.について
 法的には、「従前地」の売買であり、従前地の権利移転に対応して、その譲受人が仮換地の使用収益権を取得するという売買になる(最判昭和43年9月24日民集22巻9号1959頁)。
 
2.理由
 
(1) について
福岡高判昭和56年9月30日行裁例集32巻9号1731頁(要旨)
   「換地処分確定前の仮換地の売買による所有権の移転の場合には(中略)、清算金に関する権利義務は、当事者間においては公平の見地等から買主に承継されず、売主に帰属すべきものと解される場合があるとしても、土地区画整理事業施行者に対する関係においては事業の円滑な運営のために買主に承継されると解すべきである。」
最判昭和48年12月21日民集27巻11号1649頁(要旨)
 
「清算金は、仮換地または換地の売買がなされた場合でも、施行者に対する関係では換地処分時点の権利者に帰属する。」
  (2) について
 区画整理事業が本件のように事業の途中で仮換地を売却するような大規模プロジェクトの場合には、仮換地を指定し、または従前地の使用収益を停止させた段階で、施行者が必要と認めるときは、清算金の徴収または交付の方法に準じて「仮清算」をすることができるとされており(土地区画整理法第102条)、その場合は、換地処分時に確定した清算金と仮清算金との間に差額があるときは、清算時にその差額を徴収または交付することとされている(同法第110条第1項後段)。
 そして、そのような大規模プロジェクトの場合には、通常工区ごとに造成工事を完了し、その1区画ごとの測量も正確に行われていくので、もし仮清算が行われているのであれば、少なくとも地主との関係においては、この仮清算の段階でかなりの精度での清算が行われ、あとの微妙な誤差については、分譲会社と分譲物件の買主との間で、その帰属先を定めていくということになると考えられる。
 しかし一方、最近の実務においては、地主から分譲会社へ一括卸しをするというよりも、地主から分譲会社へ販売の業務委託をするという手法がとられることが多く、この業務委託契約の段階で、換地処分後の清算についてその差額(徴収金)を地主(委託者)が負担するように取り決め、その旨を施行者に確約することで、最終の買主に大きな負担がかからないようにしている。したがって、法的には換地処分後の清算義務は「買主」に生じるが、内部的にはこのような方法を講じることにより、清算金の帰属先を「買主」にしても、特に問題が生じないようにしている。
  (3) について
(略)
監修者のコメント
 仮換地の売買においてはもちろん、土地区画整理事業地内の土地に関与する場合は、その権利関係について徹底的に調査する必要がある。不明な点は、施行者あるいは専門家に問い合せる労を惜しまないことが肝要である。

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