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売買事例 1406-B-0182
宅地建物の「青田売り」の定義と外構工事との関係

 建売住宅を青田で販売している際に、建物は完成したが、車庫や門塀などの外構工事が残った場合、それが「青田売り」になるのか、それとも「完成売り」になるのかの判断に迷うことがある。このような場合の判断は、何を基準に行うのか。建物の手直し工事が残っている段階での建物は、「青田売り」になるのか。

事実関係

 当社は、年に何棟かの建売住宅を青田で販売しているが、中には建物本体は完成したが、外構工事が未了のまま販売を継続することがある。
 このような場合に、外構工事の中に、門塀や車庫などを設置する際の「土工事」が残っていたときは、「青田売り」としての宅建業法上の措置を講じなければならないのかどうか判断に迷うことがある。

質問

1.  宅地建物取引業法第41条第1項に規定されている「工事の完了前」の販売すなわち「青田」売りになるか否かの判断は、何を基準に判断するのか。
2.  たとえば、過去に宅地造成工事を行った土地上の建売住宅で、その外構工事の内容が、門塀やカーポートのように宅盤(宅地の地盤面)だけを中心にした「土工事」が残っていた場合には「完成売り」になり、擁壁の一部を取り壊して車庫をつくるような「土工事」が残っていた場合には宅地自体の工事が未完成なものとして、「青田売り」ということになるのか。
  3.  建物について、内覧会に向けての全棟一斉の手直し工事が残っている段階での販売は、「青田売り」になるか。

回答

1.  結 論
 質問1.について ― 「青田売り」になるか否かの判断は、宅建業法上の考え方としては、国土交通省のガイドライン(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)における「建物」についての判断基準からみて、「宅地」についても、その宅地の利用(建物の建築)が可能な状態にまで工事が仕上がっているか否かで判断されるものと解されるが、手付金等の保全機関の実務においては、「完成売り」の場合には、原則として工事の「完了検査済証」の提示が必要とされている。
 質問2.について ― 前者の工事の場合には「完成売り」でよいが、後者の工事の場合には、その工事の内容と工事の進捗状況のいかんにより、「青田売り」か「完成売り」かの判断が分かれると解される。
 質問3.について ― 「青田売り」にはならないと解される。
   
2.  理 由
  ⑴について
   宅地建物取引業法第41条第1項の「工事の完了前において行う云々」という規定の趣旨は、あくまでも取引の対象になっている「宅地」または「建物」の工事が完了しないうちに取引する場合の規制であるから、「宅地」または「建物」以外の部分に工事の未了があっても、本条の対象にはならない。したがって、本条の対象になるかならないかの判断は、まずその外構工事の内容が、取引の対象になっている「宅地」の造成または「建物」の建築と一体もしくはその構成部分としての工事なのか、それとも別の工事なのかで判断され、そのうえでその一体もしくは構成部分としての外構工事を含めた「宅地」または「建物」の工事が、それぞれ「宅地」または「建物」として建物を建築し、または居住することができる程度にまで完了しているか否かで判断されることになると解される。
 なお、「建物」の工事について、国土交通省のガイドライン(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)は、「工事の完了とは、単に外観上の工事のみならず内装等の工事が完了しており、居住が可能である状態を指すものとする。」としており、この考え方からすれば、「宅地」の工事についても同様に、建物の建築が可能な状態にまで工事が仕上がっている状態を指すものと解されるが、手付金等の保全実務においては、「完成売り」の場合には、原則として「検査済証」の提示が必要とされている(都市計画法第36条、建築基準法第7条・第88条第1項、同法施行令第138条第1項第5号)。
  ⑵について
   前者の門塀やカーポートの設置工事については、一般にその工事が「宅地」の造成や「建物」の建築と一体もしくはその構成部分としての工事とは認められないので、「完成売り」になると解されるが、後者の工事については、その工事の内容と進捗状況のいかんにより、「青田売り」か「完成売り」かの判断が分かれることになると解され、特に、本件の後者の工事には擁壁の解体工事が含まれているので、その擁壁の高さいかんによっては(高さが2m超の場合には)その車庫自体が工事の完了検査を必要とする「工作物」とされる可能性があり(建築基準法第88条第1項、同法施行令第138条第1項第5号)、また車庫内部への前面道路からの水道管の引込みや電気工事などもあり得るので、車庫はもとより、本件の車庫によって土留めされている「宅地」そのものがまだ使用できない状況にあるとの判断から、宅地の「青田売り」とされる可能性があるからである。
  ⑶について
   一般に、内覧会に向けての手直し工事が終っていなくても、内装工事を含めた建物本体の工事は完了しているのであるから、そのままでも人が居住することは可能であり、「建物」としての工事完了の検査も受けられるし、登記もすることができるからである(不動産登記規則第111条)。

参照条文

 宅地建物取引業法第41条(手付金等の保全)
 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、次の各号の一に掲げる措置を講じた後でなければ、買主から手付金等(中略)を受領してはならない。(以下、略)
一、二 (略)
②~⑤ (略)
 都市計画法第36条(工事完了の検査)
開発許可を受けた者は、当該開発区域(中略)の全部について当該開発行為に関する工事(中略)を完了したときは、(中略)、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
   都道府県知事は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、(中略)検査し、(中略)検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければならない。
   都道府県知事は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、(中略)、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。
 建築基準法第7条(建築物に関する完了検査)
   建築主は、第6条第1項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。
  ②~④ (略)
   建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、(中略)、当該建築物の建築主に対して検査証済を交付しなければならない。
 同法第88条(工作物への準用)
   (中略)擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(中略)については、(中略)第7条(中略)の規定を準用する。
  ②~④ (略)
 同法施行令第138条(工作物の指定)
   (中略)、擁壁その他これら類する工作物で法第88条第1項の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(中略)とする。
一~四 (略)
五 高さが2メートルを超える擁壁
  ②、③ (略)
 不動産登記規則第111条(注)(建物)
   建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。
   (注) 本条は、建物の表示登記を申請する場合の規定である。

監修者のコメント

 「工事の完了前」すなわち「青田売り」か、「工事の完了後」すなわち「完成売り」かの区別は、宅建業法の当該規定の立法趣旨に基づいて判断すべきであるが、工事完了前の物件を対象としている同法第33条(広告開始時期の制限)、第35条第1項第5号(未完成物件における重要事項説明項目)でも関係するが、そのいずれかで宅建業者の義務内容が異なってくるのは、第41条と第41条の2のどちらが適用されるかであろう。その点については、回答にあるとおり、業法のガイドラインが一応の基準を示しているが、「建物」については「内装等の工事が完了しており、居住が可能である状態」であることはともかく、「宅地」について「居住が可能である状態」ということはあり得ないので、「建物」と平仄を合わせれば、予定されていた宅地造成工事が完了し、建物建築が直ちに可能な状態を指すものと解される。その観点からも質問の結論は回答のとおりとなる。

より詳しく学ぶための関連リンク

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