不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1006-B-0118
「留置権目録」が付いている競売物件の入札

 競売物件の物件明細書に「留置権目録」が付いている。この物件に入札しようと思うが、競落した場合は、この「留置権目録」に記載されている金額を直接債権者に支払う必要があるのか。留置権を完全に消滅させるためには、どのような対応が必要か。

事実関係
 当社は不動産の買取り再販会社であるが、このたびある競売物件に入札しようとしたところ、物件明細書に「留置権目録」というものが付いており、その目録に建設会社の建築工事代金債権額が記載されていた。
質問
  1.  この目録に記載されている金額は競落人が負担するもののようであるが、本当に競落人が負担しなければならないものなのか。その法的根拠はどのような法律に定められているのか。
2.  競落人が負担するということは、競落人が留置権者である建設会社に直接支払うということなのか。競落人が支払った場合、債務者(前の所有者)からその分の回収はできるのか。
3.  上記債権額を競落人が支払う場合、留置権が完全に消滅したといえるためには、どのような対応が必要になるか。
回答
  結論
(1)  質問1.について — 負担しなければならない。その法的根拠は、民法第295条と民事執行法第59条第4項の規定であるが、具体的には執行裁判所の作成した物件明細書に記載されている「買受人の負担となる」旨の文言である(後記【参照資料】参照)。
(2)  質問2.について — 留置権者に対する支払いは第三者が払ってもよいが、競落人みずからが支払った方が確実である。なお、競落人みずから支払った場合においても、その支払い分を債務者から回収することはできない。なぜならば、その債権額は執行裁判所が競売物件の売却基準価額を定める際に考慮(控除)されているからである(後記【参照資料】参照)。
  (3)  質問3.について — 留置権が完全に消滅したといえるためには、競落人がその支払いと引き換えに、留置(占有)されている建築物の鍵の引渡しを受け、建設現場の工事囲いを撤去させるなどの対応をとることが必要で、もしその建築物についてすでに表示登記などがなされているとすれば、その所有者の変更登記をするなどの対応も必要となろう。
 
参照条文
  ○ 民法第295条(留置権の内容)
(1)  他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
(2)  (略)
 
○ 民事執行法第59条(売却に伴う権利の消滅等)
(1)〜(3) (略)
(4)  不動産の上に存する留置権並びに使用及び収益をしない旨の定めのない質権で第2項の規定の適用がないものについては、買受人は、これらによって担保される債権を弁済する責めに任ずる。
(5) (略)
 
参照資料
  ○ 物件明細書の詳細説明3−B11(東京地方裁判所資料抜すい)
 
物件明細書の詳細説明3−B11(東京地方裁判所資料抜すい)
物件明細書記載事項説明インデックス
B−11 留置権  留置権とは、物(売却対象物件)の占有者がその物に関して生じた債権(例えば修繕費など)を有している場合又は商人間の取引により生じた債権(例えば売買代金など)を有している場合に、その債権の弁済を受けるまでその物の引渡しを拒絶することができる権利で、契約等によらず法律上当然に発生する権利です。
 そして、この留置権は競売による売却によっては消滅せず、買受人がその負担を引き受けることになります。よって、買受人は、ここに表示された債権を留置権者に弁済しなければ留置権者から不動産の引渡しを受けることができません。買受人が現実に弁済すべき額は、遅延損害金等が加算され、ここに表示された債権額よりも多くなることもあります。
 なお、留置権により担保される債権額は、執行裁判所が売却基準価額を定めるにあたり考慮されています。
 
監修者のコメント
 競売における留置権の取扱い等については、回答のとおりで、特に付け加えるべきことはないが、裁判所書記官の作成する物件明細書には、売却によって失効しない権利は必ず記載されることになっている(民事執行法第62条第1項第2号)。そして、回答の参照資料にあるとおり、競落人(買受人)が注意しなければならないことを丁寧に説明してある。ところが、このような執行関係資料を十分に読まないまま競落し、不測の事態に陥ることが、たまに見られるので、少しでも不明なことは裁判所の担当官あるいは専門家に聴くことが必要である。

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