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売買事例 0908-B-0103
宅地造成工事規制区域内にある許可不要物件の媒介

 高さ約3mの擁壁工事がなされた宅地造成工事規制区域内の物件の売買の媒介をするが、この物件は、宅地造成工事の許可も、開発許可も不要だという。このような物件を媒介しても、問題ないか。

事実関係
 
当社は媒介業者であるが、このたびある中古の戸建住宅の売買の媒介をする。ところが、この物件は宅地造成工事規制区域内にあり、地盤面も、高さ約3mのコンクリートブロック上にあるにもかかわらず、宅地造成工事の許可も、開発許可も不要な物件だという。
 なお、この物件は市街地郊外の市街化区域内にある物件で、大規模団地に隣接する個人の土地(宅地)に擁壁工事を施したものだという。
質問
   このような物件の売買を媒介しても、問題ないか。
回答
   この物件の擁壁工事が、「工作物」としての「確認」をとって工事がなされており、かつ、その工事についての「完了検査済証」が交付されているのであれば、問題はない。
 
理由
  (1)  本件の土地の面積が、500m2(地域によっては300m2〜1,000m2)未満であれば、開発許可は必要なく(都市計画法第29条第1項第1号、同法施行令第19条)、また、本件の土地が宅地造成工事規制区域内にあったとしても、その土地が工事の開始前にすでに「宅地」であった場合には、その工事の内容(形質の変更)が宅地造成等規制法施行令に定めるもの(宅地を宅地以外の土地にするために行うものを除く。)以外のものであれば、同法が適用されないので(宅地造成等規制法第2条第2号、同法施行令第3条)、本件の工事がその法面の風化等による崖崩れを防ぐために、あとから擁壁工事を行ったのであれば、その土地について2mを超える切土工事を行ったり、1mを超える盛土工事などを行ったりしない限り、宅地造成等規制法にいう「宅地造成工事」にはならないからである。
(2)  因みに、本件土地が所在する当該市の「工作物」についての確認申請書の第一面は、次のような様式になっているが、その「工作物」についての確認申請に関する根拠法令は、同様式にも記載があるとおり、建築基準法第6条第1項(建築確認)の規定を準用する同法第88条第1項と同法施行令第138条の規定である。なお、売主が当該「工作物」の「検査済証」を所持していない場合には、当該確認・検査を行った特定行政庁が検査済証についての発行証明を出すこともあるので、確認されるとよい。
 
確認申請書
 
参照条文
 
都市計画法第29条(開発行為の許可)
(1)  都市計画区域又は準都市計画区域において開発行為をしようとする者は、あらかじめ国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(中略)(以下「指定都市等」という。)の区域内にあっては、当該指定都市等の長(中略)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。
一 市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模が、それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの
二〜十二 (略)
(2)(3)(略)
 

同法施行令第19条(法第29条第1項第1号の政令で定める規模)
(1)  法第29条第1項第1号の政令で定める規模は、次の表の第一欄に掲げる区域ごとに、それぞれ同表の第二欄に掲げる規模とする。ただし、同表の第三欄掲げる場合には、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村(法第29条第1項第4号に規定する事務処理市町村をいう。以下同じ。)の区域内にあっては、当該指定都市等又は事務処理市町村。第22条の3、第23条の3、第31条及び第36条において同じ。)は、条例で、区域を限り、同表の第四欄に掲げる範囲内で、その規模を別に定めることができる。
第一欄 第二欄 第三欄 第四欄
市街化区域 1,000m2 市街化の状況により、無秩序な市街化を防止するため特に必要があると認められる場合 300m2以上
1,000m2未満
区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域 3,000m2 市街化の状況等により特に必要があると認められる場合 300m2以上
3,000m2未満
 
(2)  都の区域(特別区の存する区域に限る。)及び市町村でその区域の全部又は一部が次に掲げる区域内にあるものの区域についての前項の表市街化区域の項の規定の適用については、同項中「1,000m2」とあるのは、「500m2」とする。
首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
近畿圏整備法第2条第3項に規定する規制都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域
中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域
 

宅地造成等規制法第2条(定義)
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  宅地 農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられている土地以外の土地をいう。
宅地造成 宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う土地の形質の変更で政令で定めるもの(宅地を宅地以外の土地にするために行うものを除く。)をいう。
三〜六 (略)
 
○ 同法施行令第3条(宅地造成)
 法第2条第2号の政令で定める土地の形質の変更は、次の各号に掲げるものとする。
  切土であって、当該切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの
盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが1mを超える崖を生ずることとなるもの
切土と盛土とを同時にする場合における盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが1m以下の崖を生じ、かつ、当該切土及び盛土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの
前各号の一に該当しない切土又は盛土であって、当該切土又は盛土をする土地の面積が500m2を超えるもの
 
○ 建築基準法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)
  (1) 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(中略)については、第3条、第6条(中略)の規定を準用する。
(2)〜(7) (略)
 
○ 同法第88条(工作物への準用)
  (1) 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で法第88条第1項の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関するものを除く。)とする。
  (2)〜(4) (略)
 
○ 同法施行令第138条(工作物の指定)
(1) 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で法第88条第1項の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関するものを除く。)とする。
  高さが6mを超える煙突(支枠及び支線がある場合においては、これらを含み、ストーブの煙突を除く。)
高さが15mを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの(旗ざお並びに架空電線路用並びに電気事業法第2条第1項第10号に規定する電気事業者及び同項第12号に規定する卸供給事業者の保安通信設備用のものを除く。)
高さが4mを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
高さが8mを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
高さが2mを超える擁壁
(2)〜(3) (略)
 
監修者のコメント
 
本件土地の宅地造成等規制法、都市計画法との関係は、「回答」のとおりであるが、媒介をする者の立場としては、宅建業法35条の重要事項説明義務の観点から注意をされたい。重説の業法35条1項では第2号に「法令に基づく制限」を説明することとされており、その具体的な内容は、同法施行令3条1項17号に定められている。
 重説では、(1)対象土地が宅地造成等規制区域内にあること、(2)宅地造成工事に知事の許可が必要であること、(3)造成工事の変更にも知事の許可が必要であることを必ず説明することを忘れてはならない(宅地造成等規制法8条と12条)。そして、もしその宅地が同法に違反しているということを知っていた以上は、違反している事実及び違反の内容の説明が必要である。

より詳しく学ぶための関連リンク

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