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売買事例 0704-B-0010
媒介業務における売買の拘束力を強める方法

個人間の売買の媒介で、少額手付による手付解除や違約解除を防ぐ方法はないか。

事実関係
  業者が売主で、業者以外の者が買主となる売買契約の場合には、手付金の額や違約金の額について、宅建業法で売買代金の20%以内とする規制があるが、個人間の売買の場合には、それらの規制はない。しかし、実際の取引においては、その手付金の額はせいぜい売買代金の10%程度で、場合によっては数10万円ということもある。したがって、その手付金の額をもとに違約金を定めるために、契約の拘束力が弱く、手付流しや違約による契約の解除が少なくない。
そこで、手付金の額は少額でも、違約金の額を多くすることによって、何とか違約による契約解除だけでも防ぎたい。
質問
  1.手付金の額はそのままにして、違約金の額だけを30%にすることはできないか。
 
2.契約の解除を防ぐ何か良い方法はないか。
回答
  1.結論
 
(1) 質問1.について
違約金の額だけを30%にすることはできるが、売買代金の額の20%を超えることは決して望ましいことではない。
 
(2) 質問2.について
手付金の性質を「解約手付」としないことにより、手付流しを防止し、かつ、違約金の額を相応のものにすることにより、契約の拘束力を強めることもできる。
 
2.理由
 
  (1)について
契約の内容は、その内容が手付金の額であろうと、違約金の額であろうと、当事者が自由に定めることができる。しかし、その内容は、一般の社会通念上妥当なものでなければならず、本件の売買代金の額の30%という違約金が、果たして公序良俗に反するものとなるのかどうかということになれば、一般の個人間売買においては、ぎりぎりの上限ということになるのではないだろうか。

そもそも、契約を締結するのは、あくまでも契約の当事者であって、媒介業者が締結するのではないのだから、媒介業者としては、当事者の意向を尊重し、当事者にあまり過大な負担がかからないように配慮すべきであって、いやしくも手付金の額や違約金の額を媒介業者が主導するようなことがあってはならない。したがって、特に当事者から(それも双方から)要望がない限り、違約金の額は売買代金の20%を上限とすべきであって、それ以上の額は設けるべきではないと考えるべきである。なぜなら、もしそれ(20%)を超える違約金の額を業者が主導して定めた場合に、当事者の一方がやむを得ない事情により違約をすることになり、相手方から違約金の請求を受けた場合に、その取り決めの経緯について、媒介業者の責任問題にも発展しかねないからである。

 
(2)について
前述(上記(1))のとおり、契約はあくまでも契約の当事者が定めるものであるから、当事者が納得する限り、手付を「解約手付」としない旨の合意をすることは自由である。そしてまた、その手付金の額についても、どちらかといえば買主の意向が主で、売主の意向は従になっていくものと考えられるので、そのあたりの取り決めは当事者に委ねるとして、媒介業者としては、手付金の額と違約金の額を連動させるのではなく、別々に考えることを当事者に伝えたうえで、違約金の額について、売主・買主が対等の立場でよく協議し、双方が納得のいくかたちで定めることが本来のあり方ではないかと考える。
監修者のコメント
手付金には、①契約が成立した証拠という趣旨の「証約手付」、②債務不履行の場合の損害賠償の額を予定する「違約手付」、③契約当事者が互いに手付の額だけの損失を覚悟すれば一定時期まで自由に契約解除ができることにする「解約手付」の3種類があるといわれている。そのどれにするかは、当事者が自由に取り決めることができるが、何ら取り決めなかった手付は「解約手付」と推定されることになっている(民法第557条)。したがって、解約手付と定めたとき、または手付金の性格を何ら取り決めなかった場合は、当事者は手付放棄、手付倍返しで契約を解除することができ、この場合、別途損害賠償請求はできない。

手付解除を防止するには、【回答】にあるように手付を「解約手付」でなく、違約手付とする方法が最も簡明であるが、手付金の額をできるだけ多くするとか、あるいは、あまりにも少額であれば、手付金なしの契約にしてしまい、手付解除の余地をなくしてしまう方法もある。

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