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売買事例 0704-B-0009掲載日:2007年4月
破産による管理費等の滞納がある競落物件の媒介
破産により競売に付された物件を競落したマンションの売主は、前の区分所有者が滞納していた管理費等を、次の買主に負担させることができるのか。
事実関係 | |
このたび当社が売却の媒介をするマンションは、前の区分所有者が破産したために競売になったものを競落した人が売主になっている物件である。したがって、この物件を売却するには、前の区分所有者が滞納していた管理費等の未払分を現在の所有者である売主(競落人)が支払わなければならないのに、未だ支払っていない。 |
質問 | ||
1. | 売主(競落人)が、前の区分所有者の滞納管理費等を支払わなかった場合、その滞納分はこれからの媒介により買主となる区分所有者の負担となるのか。 | |
2. | 売主(競落人)は、前の区分所有者が破産し免責の許可を受けているために、その滞納分の管理費等を支払っても前の区分所有者に求償することができないので、自分には負担する義務がないと言っているが、本当か。 |
回答 | ||
1.結論 | ||
(1) | 質問 1.について (法的には)売主と共にこれからの買主も支払義務を負うこととなる(建物の区分所有等に関する法律第8条)。ただし、実務の取扱いとしては、その滞納分を売買代金から減額するなりして媒介すべきである。 |
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(2) | 質問2.について 本当ではない。競売の場合にも、売主(競落人)には前の区分所有者の管理費等の滞納分を負担する義務がある(同法同条)。 |
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2.理由 | ||
(1)について 建物の区分所有等に関する法律第8条(特定承継人の責任)の立法趣旨は、管理費等の区分所有者全員が公平に負担すべき債務について、その支払いがないまま区分所有権が譲渡された場合に、その債務を引き受ける者がいなくてはマンション全体の維持管理ができなくなってしまうので、法が、その債務を負担する者を「特定承継人」とすることによって、前条第1項の債権の保護を図ったものである。 なお、この「特定承継人」とは、売買・贈与等の個別の原因に基づいて区分所有権を承継取得する者をいうが、強制執行や担保権の実行による売却を原因とする承継取得も含まれる。 しかし、実務においては、買主がそのような負担を認めるはずもなく、(売主(競落人)がどうしても支払わないのであれば)媒介業者としては、その負担部分を売買代金から減額するなりして売買契約を成立させるよう努力すべきである。なぜなら、通常の競売手続においては、執行裁判所に備え置く「物件明細書」の備考欄に、「売却基準価額(改正前の「最低売却価額」)は、滞納管理費等の額を考慮して定められている。」と記載することになっており(東京地裁民事執行センター)、競落人もそのこと(つまり、滞納分が減額されていること)を承知のうえで競落することになるからである。 |
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(2)について (略) |
監修者のコメント | |
マンションの区分所有者の滞納管理費等の債務については、たとえ特定承継人が知らなかった場合であっても、区分所有法により承継する。もっとも、承継されても前区分所有者の債務が消滅するわけではないが、前区分所有者に請求してくれと抗弁することはできない。そのことは、競売による取得でも同じであり、また前区分所有者に求償できるかどうかは関係ない。 売買契約が成立したというためには、特別な合意のない限り、物件の特定のみならず、売買代金額、支払時期、引渡・移転登記の時期など、少なくとも売買の基本的要素について確定的に合意がなされたということが必要であろう。 しかし、それは法理論上のことであり、媒介実務上は、【回答】のように処理することが適切である。 |