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賃貸事例 1310-R-0124
(旧)借地法に基づく借地契約の更新時における更新料の取扱い

 旧借地法時代の借地契約の更新事務を取り扱うが、更新料の支払いは、更新の条件になるのか。更新料を支払わなくても、更新はできるのか。法定更新されるとした場合、その契約は、借家契約の場合と同じように、期間の定めがないものになるのか。もし当事者間で更新料についての合意が成立しないときは、地主が裁判所に訴訟を提起すれば、その請求は認められるものなのか。

事実関係

 当社は、このたび旧借地法に基づく借地契約の更新事務を取り扱うが、地主も借地人も最近の相続で権利を取得したため、更新のことについてよく判っていない。そのため、当社としても少しでも当事者の信頼を得るために、あらかじめ予備知識をもって、事務処理に臨みたい。

質問

  •  更新料の額について、地主は借地権価格の10%相当額を要求し、借地人はその半分の5%相当額を希望している。このような場合に、双方の折り合いがつかなかったときは、契約は更新されないことになるのか。それとも、借家契約と同じように法定更新されるのか。
  •  もし法定更新されるとした場合、その場合の賃貸借の期間は、借家契約の場合と同じように、期間の定めがないものになるのか。
  •  借地人は、そもそも借地契約においては、更新料の支払いは義務ではないと言っているが、その更新料の額や支払いについて、双方の話し合いがつかなかったときは、地主が裁判所に訴訟を提起すれば、その請求は認められるものなのか。

回答

1.   結 論
 質問1.について ― 法定更新されることになる。
 質問2.について ― そうはならない。借地契約の場合は、法定更新されたときの期間は、堅固な建物の所有を目的とする借地契約の場合には30年、その他の建物の所有を目的とする借地契約の場合には20年とされている(旧借地法第6条第1項後段)。
 質問3.について ― 訴訟を提起したからといって、請求が認められるものではない(最判昭和51年10月1日判時835号63頁)。
2.   理 由
について
 更新料は、当事者が合意で契約を更新する場合に、借地人から地主に支払われることが多いが、それは、地主側から見れば、更新料の支払いを条件に更新に同意するというように考えることができるが、他方借地人の方も、更新後の契約期間中の建物の建替えや増改築等の問題で、地主と良好な関係を築きたいとの思惑から、そのことを予期したうえでの支払いというように考えることができる。
 本件の場合は、更新料の額が、比較的標準的な借地権価格の5%~10%相当額の範囲内で話し合いができるので、何とか折り合いがつくと考えられるが、もし折り合いがつかなかったときは、合意による更新ができなくなるので、法の規定により、契約が更新されることになる(法定更新=旧借地法第6条)。
について
 借地契約が法定更新された場合には、借家契約の場合とは異なり、その更新後の期間は、旧法の適用を受けることになるので(借地借家法附則第6条)、堅固な建物の所有を目的とする賃貸借の場合には30年、その他の建物の所有を目的とする賃貸借の場合には20年とされる(旧借地法第6条第1項後段、第5条)。
 なお、この堅固な建物の場合には30年、その他の建物の場合には20年とする更新後の期間の定めは、合意で更新する場合においても同じである(同法第5条)。
について
 更新料の支払義務が借地人にはないという借地人の言い分は、そのとおりである(後記【参照判例】参照)。したがって、借地契約の更新にあたり、地主から借地人に対し更新料の請求をするには、あらかじめ借地契約に更新料を支払う旨の合意(特約)があるか、新たに当事者間での話し合いがまとまらない限り、訴訟手続で請求したとしても認められない。

参照条文

借地借家法附則第6条(借地契約の更新に関する経過措置)
 この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。
旧借地法第2条(借地権の存続期間)
 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス(以下、略)
 (略)
同法第5条(合意による契約更新)
 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス(以下、略)
 (略)
同法第6条(法定更新)
 借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
 (略)

参照判例

 最判昭和51年10月1日判時835号63頁(要旨)
(土地の賃貸人が、当事者間に更新料を支払う旨の合意がなくても、賃借人に対し請求すれば、賃借人に支払義務が生じる旨の商慣習ないし事実たる慣習が存在すると主張したことに対する最高裁判所の判断)
 宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習は、存在しない。

監修者のコメント

 更新料は、その支払特約が契約に定められていない限り、支払義務はない。更新料について取り決めがない場合に更新料の請求ができるかについて最高裁は明確にこれを否定している(回答の参照判例)。
 なお、更新料支払特約がある場合でも、その特約は合意更新のときだけ適用され、法定更新のときには適用されないという下級審判例もかなりある。一定の金銭を支払わなければ更新できないというのでは、正当事由がなければ更新拒絶ができないという法の趣旨が没却されてしまうからである。

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