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賃貸事例 1310-R-0123掲載日:2013年10月
定期建物賃貸借契約の期中における契約期間の延長とその手続
定期建物賃貸借契約において、期間の途中で、契約期間を延長することはできるのか。
その場合、定期建物賃貸借契約の期間を延長する旨の再度の事前説明や契約終了通知期間の変更合意などは必要ないのか。
事実関係
当社は、5年前に期間10年の店舗の定期建物賃貸借契約の媒介をしたが、このたび借主が、あと5年間契約期間を延長して欲しいと言ってきた。
質問
- 定期建物賃貸借契約の場合に、期間の途中で、契約期間を延長することはできるのか。
- もしできるとした場合、契約の当事者が、単に契約期間を延長する旨の合意文書を作成するだけでよいのか。
同業者の話によると、期間を延長した場合は、その旨の再度の事前説明文書の交付が必要だというが、本当か。契約終了時の事前通知期間の変更合意などについては、どうか。
回答
1. | 結 論 | |
⑴ | 質問1.について ― 契約期間を延長することはできる。 | |
⑵ | 質問2.について ― 単に、契約期間を延長する旨の合意文書を作成するだけでよい。 | |
2. | 理 由 | |
⑴ | について | |
定期建物賃貸借契約においては、契約の更新はできないが(借地借家法第38条第1項)、契約期間の延長については禁止されていない。したがって、契約の当事者が合意さえすれば、いつでも契約期間を延長することができる。 | ||
⑵ | について | |
契約期間の延長は、新たな定期建物賃貸借契約の締結ではないので、その期間延長に関する事前説明や書面交付は必要ない(借地借家法第38条第2項)。また、契約期間の延長に伴い、事前の契約終了通知の時期が変更になることについては、その通知義務が、貸主だけに課せられた義務であることからも、事前の当事者の合意とか確認がなくても、契約期間の延長合意には何ら影響はない(同法第38条第4項)。 |
参照条文
○ | 借地借家法第38条(定期建物賃貸借) | |
① | 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。 | |
② | 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。 | |
③ | 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。 | |
④ | 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。 | |
⑤ | ~⑦ (略) |
監修者のコメント
定期借家の期間満了後の日を始期とする契約は、再契約であるが、期間の途中で終期を延長する合意は新たな契約ではない。したがって、民法上新たに締結する際に必要な事前説明などは必要がない。
なお、再契約の場合は、宅建業法上、媒介報酬を受領することができるが、期間の延長のときは媒介報酬を受領できないのは当然である。もっとも、期間延長の事務を依頼されたのであれば、その事務手数料を合意の上受領することはできる。