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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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賃貸事例 1012-R-0084
「営業権の譲渡」による滞納賃料の支払とその対応

 当社は賃貸の管理業者兼媒介業者であるが、ある店舗の賃料滞納者が、賃料の支払督促に対し、みずからの営業権を譲渡して滞納賃料を支払いたいと言ってきた。管理(媒介)業者として、どのように対応すればよいか。

事実関係

 当社は賃貸の管理業者兼媒介業者であるが、当社が管理をしている賃貸物件の中に整骨院(個人経営)がある。ところが、その整骨院は経営が不振で、賃料を6か月も滞納している。
 そこで当社は、貸主の依頼により、その滞納賃料の支払いについて借主に確認したところ、借主は、「このままでは賃料を支払うことができない。ついては、整骨院の営業権を譲渡して、その譲渡代金で滞納賃料を支払う。」と言ってきた。

質問

1.  借主が言っている「営業権の譲渡」とは、どのようなものか。営業を他人にやらせる「転貸」みたいなものか。
2.  管理業者(媒介業者)としては、どのように対応すべきか。

回答

 質問1.について ― 必ずしも「転貸」とは限らない。もし、借主の言っている意味が文言どおりの「営業権の譲渡」であれば、営業上の一切の権利義務(地位)を第三者に譲渡するというものであるから、貸主との関係においては、「建物賃借権の譲渡」を含む一切の営業上の権利義務(地位)を第三者に譲渡するという意味に解することができる。
 質問2.について ― 管理業者(媒介業者)がまずやるべきことは、借主が言っている「営業権の譲渡」の意味を正確に把握することである。
 そのうえで、その意味が貸主が営業権を賃貸するという「転貸」(営業の賃貸借(注))の意味であれば、そのことを貸主に伝えて、貸主に「転貸」を承諾するかどうかを判断してもらえばよいし、文言どおりの「営業権の譲渡」(営業譲渡)であれば、「建物賃借権の譲渡」についての貸主としての承諾の有無を確認すればよい(民法第612条)。
 その場合、管理業者(媒介業者)のアドバイスとしては、貸主が「転貸」や「賃借権の譲渡」を承諾する場合の「承諾料」をどの程度にするかという問題があるが、この点については、借主(譲渡人)としては、その最低条件としての滞納賃料の支払いという問題もあるので、本件の場合は、あくまでも営業権がどの程度の額で売却できるかにかかっていると言え、そのあたりのことを十分見極めたうえで、最終的には貸主に判断してもらうことになろう。
 なお、この点については、その「承諾料」の問題も含めて、管理業者なり媒介業者が「不動産コンサルティング」ということで関わることもできるし、宅建業とは別の「賃借権譲渡の媒介」ということで関わることも可能であろう。
  (注 ) 「営業の賃貸借」とは、店舗の借主(本件の場合は「整骨院」)が、その有する営業権(のれんを含む一切の財産権)を第三者に賃貸し、その営業名義や損益を移転させたうえで、その営業権を借り受けた者(第三者)から対価(賃料)を受領するというものである。したがって、店舗の貸主から見れば、その実質は店舗の「転貸借」に当たるので、貸主の承諾が必要となる(民法第612条)。

参照条文

  民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
   賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
   賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

監修者のコメント

 「営業権の譲渡」は、回答のとおり、その内容として、建物賃借権の譲渡または建物の転貸を含むので、何よりも譲受人の信用が重要である。その上で、単なる承継ではなく、滞納賃料の全額について現実に支払いを行わせることが大切である。全額の支払いでなく、分割払いとか将来の支払いという申出の場合は、滞納額回収の可能性は低いと思ってよい。

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