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2408-R-0279
借主からの解約申入れ・更新拒絶に関する借地借家法の考え方

 普通借家契約においては、借主は、いつでも賃貸借契約を解約することができるのか。借主は、期間の満了時には、当然に契約を終了させることができるのか。借地借家法は、借主からの解約申入れや更新の拒絶について、どのように定めているのか。

事実関係

 当社は、賃貸借物件の媒介業者兼管理業者であるが、先日ある貸主から、「我々貸主は、普通借家で部屋を貸したら、正当事由がない限り、賃貸借契約を解約することができないが、借主の方は、いつでも解約することができるので、不公平だ」という話があり、法的にどのようになっているのかを知りたいという申し出があった。

質 問

1.  借主は、法的にも、いつでも賃貸借契約を解約することができるのか。
2.  賃貸借契約書に、借主に解約権を留保する旨の特約を定めなかった場合でも、借主は、契約期間の満了時には、当然に賃貸借契約を終了させることができるのか。借地借家法はどのように定めているのか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― 法的には、期間の定めがある賃貸借契約においては、借主であっても、その期間内は解約することができない。したがって、本件の【事実関係】にある「借主の方は、いつでも解約することができる」というのは、賃貸借契約書にその旨(借主に解約権を留保する旨)の特約があるからである。
 質問2.について ― 借主は、当然には賃貸借契約を終了させることはできない。借地借家法は、借主が期間の満了1年前から6か月前までの間に貸主に対し更新しない旨の通知をしなかったときは、契約を更新したものとみなし、その期間は定めがないものとする、と定めている(同法第26条第1項)。
2.  理 由
について
 期間の定めがある賃貸借契約においては、その契約期間内はお互いに解約できないというのが大原則である。
 しかし、そうは言っても、特に借主の場合には、たとえば契約期間中に転勤とか、勤務先の倒産といったやむを得ない事由によって契約を存続させることができなくなることもあるため、そのような場合にも契約が継続するというのでは、お互いに損失ばかりが大きくなるので、借地借家法は、当事者が借主にとって有利な特約(たとえば、借主に解約権を留保する特約)をするのであれば、その特約を法的に有効な特約として認めるということを規定したわけである(同法第30条)。
について
 期間の定めがある賃貸借契約において、当事者が借主に解約権を留保しなかった場合には、前述⑴のとおり、借主であっても契約を中途で終了させることはできない。
 それでは、そのような解約権が留保されなかった借主が、契約期間の満了時に契約を終了させる場合はどうであろうか。期間の満了時あるいはその直前になって契約を終わらせたい(解約したい)という主張はできるのであろうか。
 そのことについて借地借家法は、そのような場合には、貸主と同じように、借主からも「期間の満了1年前から6か月前までの間に相手方(貸主)に更新しない旨の通知をしなければならない」と定めている(同法第26条第1項)。つまり、期間の満了時あるいは直前の解約申入れでは契約を終了させることはできないとしているのである。したがって、【事実関係】にもあるように、借主に解約権を留保しておかないと、そのほとんどのケースで、中途解約や期間の満了時の解約に関し、トラブルが生じる可能性があるということである。

参照条文

 借地借家法第26条(建物賃貸借の更新等)
   建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
  ・③ (略)
 同法第30条(強行規定)
   この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

監修者のコメント

 借地借家法は、賃借人を保護するための規定が多いことから、貸主からの解約は制限を受けても、借主からの解約は制限されないと誤解している向きもみられる。しかし、回答のとおり、借主は契約期間を定めた以上、借りる権利があると共に、その期間中、借りる義務がある。したがって、中途解約は、その特約がない限りすることができない。
 なお、法定更新された契約は、期間の定めがないものとなるので、借主は3カ月の予告期間をおいて、いつでも解約することができる(民法第617条第1項第2号)。
 また、定期建物賃貸借については、一定の要件に該当すれば、たとえ期間中であっても、借主は1カ月の予告期間で中途解約ができる(借地借家法第38条第7項)。

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