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2310-B-0325
建売住宅の青田売りにおいて、土地代だけを先に回収する方法

 建売住宅の青田売りの媒介をするが、売主が、資金繰りの都合上、土地代だけを先に回収したいと考えている。どのようにしたらできるか。そのために、売買契約書はどのように作成したらよいか。

事実関係

 当社は、このたび建売住宅の青田売りの媒介をするが、売主は建築業者を兼ねており、経営が思わしくないので、土地代だけでも早く回収し、建築資金に充てたいと考えている。
 なお、売主は当初建築条件付の土地売買も考えていたが、ローンの関係上、結果的には建売住宅として売買した方が資金回収が早いという結論に達した。

質 問

1.  本件の売買は、土地・建物を一緒に売買するが、建物の完成・引渡しが約4か月後になるので、その間に土地代だけを先に回収する。どのようにしたらできるか。
2.  そのための売買契約書は、どのように作成したらよいか。

回 答

1.  結 論
 質問1.について ― あくまでも金融機関との相談になるが、ひとつの方法としては、あらかじめ取引先金融機関と相談し、残金決済前に土地についての買主への引渡しと所有権移転登記および金融機関への抵当権設定登記の申請を行うことを条件に、土地代だけのローンを実行してもらい、そのあとに、建物についてその完成時に表示・保存登記と抵当権設定登記の申請を行うことを条件に建物部分のローンを実行してもらうという手順で行えば、所期の目的を達成することが可能となろう。
 ただ、この方法をとった場合、土地については金融機関のために抵当権の設定登記をすることができるが、それでも土地は売主が事実上占有しており、建物についてもまだ完成していないので、そのあたりの債権保全面の懸念を払拭するために、必要に応じ、たとえば土地代のローンの実行金をそのまま金融機関に預金し、金融機関が関与したうえで、建物の材料代が仕入先に支払われるよう手当てすることも必要となろう。
 質問2.について ― 一般的な売買契約書(標準売買契約書=後記【参照資料】参照)においては、たとえばその特約欄に、次のような特約条項を設けることで、一応の対応は可能となろう。あとは、金融機関の指示で細目を詰めれば、ローンの方の手続も可能となろう。

(特約事項)

1  この契約に基づく売買代金の支払いは、買主が、本契約書第●●条の融資の申込みを2回に分けて行うため、表記のとおり、その土地代部分の支払い(金○○○○円)を中間金として、建物代部分の支払い(手付金を除く金○○○○円)を残代金として、2回に分けて支払うものとする。
2  買主は、前項の特約に基づいて、本契約書第●●条の融資の申込みを2回に分けて行うが、標記の融資承認予定日までにそのいずれかの融資の全部または一部について承認が得られないときは、この契約を解除することができる。
3  本契約書第●条ないし第●条の物件の引渡しと所有権の移転および登記申請の時期については、同条の規定にかかわらず、表記土地代相当額(中間金)の融資が実行された時点で、土地の引渡しと所有権移転およびその登記申請ならびに当該融資金についての融資機関への第1順位の抵当権設定登記申請を行い、また、手付金を除く表記建物代相当額(残代金)の融資が実行された時点で、建物についての引渡しとその表示・保存登記および当該融資金についての融資機関への第1順位の抵当権設定登記の申請を行うものとする。
 土地・建物売買契約書(例)
   売買代金、手付金の額および支払日
売買代金、手付金の額および支払日

契約条項

(売買代金の支払時期およびその方法)
  第●条 買主は、売主に売買代金を標記の期日までに現金または預金小切手で支払う。
(所有権移転の時期)
  第●条 本物件の所有権は、買主が売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領したときに、売主から買主に移転する。
(引渡し)
  第●条 売主は、買主に本物件を売買代金全額の受領と同時に引渡す。
  2  買主は、売主に引渡確認書を交付して、前項の引渡しの確認を行うものとする。
(所有権移転登記の申請)
  第●条 売主は、売買代金全額の受領と同時に、買主の名義にするために、本物件の所有権移転登記申請手続きをしなければならない。
  2  所有権移転登記の申請手続きに要する費用は、買主の負担とする。
(融資利用の場合)
  第●●条 買主は、この契約締結後すみやかに、標記の融資のために必要な書類を揃え、その申込手続きをしなければならない。
  2  標記の融資承認予定日のうち最終の予定日までに、前項の融資の全部または一部について承認を得られないとき、買主は、この契約を解除することができる。
  3  前項によって、この契約が解除された場合、売主は、受領済の金員を無利息で遅滞なく買主に返還しなければならない。
  4  本条による解除の場合は、第●●条(手付解除)および第●●条(契約違反による解除)の規定は適用されないものとする。

監修者のコメント

 本ケースにおいて、建売住宅の青田売りといっても、土地と建物は別個独立の不動産であるから、土地と建物の代金が契約上、明確にされていれば、同一契約者であっても2つの契約がなされているという前提で考えればよい。すなわち、土地の造成工事が完了済みであっても、宅建業法上の手付金等保全措置(第41条の2)が問題となるが、代金受領と同時に移転登記がなされるのであれば、同条の適用はなく、建物のほうは未完成であってもその代金の5%以下かつ1,000万円以下であれば保全措置は不要である。

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