不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

2004-B-0272
下水を公共下水道に流入させるための他人の土地の使用

 2分割された土地の一方の接面道路に公共下水道が埋設された。他方の土地の所有者は、その公共下水道を利用するため、その公共下水道に接面している他人の土地を使用できるか。

事実関係

事実関係

 昔、ある地主が左図にあるような高低差のあるA・B両地を所有していたが、その後、低地のB地だけを売却し、そのB地も第三者に転売された。また、残ったA地についても相続が発生し、現在A地はその地主の相続人が所有している。
 ところが、その後B地の前面道路に市の下水道管が埋設され、本下水が利用できるようになったが、A地の前面道路には下水道管は埋設されなかった。

質 問

 このような状況下にあって、A地の相続人(現在の所有者)がA地を売却したいと言ってきたが、A地を売却するにあたって、その購入者にB地の前面道路に埋設されている「公共下水道」を利用することができるといえるか。

回 答

1.  結 論
 いえる。ただし、当該区域が当該下水道の「排水区域」に指定されていることと、取引を円滑に行うために、あらかじめB地の所有者との間でA地の排水設備の設置についての同意を取りつけておくことが必要である。
2.  理 由
 A地の下水をB地を経由して公共下水道に流入させるためには、まず、当該区域(A・B両地)が当該公共下水道の「排水区域」に指定されていることが必要である。
 「排水区域」とは、市町村が公共下水道により下水を排水できる旨を公示した地域のことであるが(下水道法第2条第7号)、下水道法によると、「排水区域」の土地所有者、使用者または占有者は、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管など(以下「排水設備」という。)を設置しなければならないとされ(同法第10条第1項)、さらにその場合、他人の土地または排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、または他人の設置した排水設備を使用することができると規定されている(同法第11条第1項前段)。
 なお、「排水区域」に指定されていない土地の場合には、下水道法とは別に、民法第220条の規定(排水のための低地の通水)により、B地への排水設備の設置が可能となると考えられるが、下水道法の規定により他人の土地を利用する場合においても、その土地の使用にあたっては、土地の所有者に対し最も損害の少ない場所・方法を選ばなければならないこと(同法第11条第1項後段)、その損害を賠償しなければならないこと(同条第11条第4項)などの規定があることからも、民法の規定に基づいて他人の土地を利用する場合も、同様の措置(償金の支払など)を講ずる必要があると考えられる。

参照条文

 下水道法第10条(排水設備の設置等)
   公共下水道の供用が開始された場合においては、当該下水道の排水区域の土地の所有者、使用者又は占有者は、(中略)排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。(以下(略))
  〜③ (略)
 同法第11条(排水に関する受忍義務等)
   前条第1項の規定により排水設備を設置しなければならない者は、他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、又は他人の設置した排水設備を使用することができる。この場合においては、他人の土地又は排水設備にとつて最も損害の少い場所又は箇所及び方法を選ばなければならない。
   前項の規定により他人の排水設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
   第1項の規定により他人の土地に排水設備を設置することができる者又は前条第2項の規定により当該排水設備の維持をしなければならない者は、当該排水設備の設置、改築若しくは修繕又は維持をするためやむを得ない必要があるときは、他人の土地を使用することができる。この場合においては、あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
   前項の規定により他人の土地を使用した者は、当該使用により他人に損失を与えた場合においては、その者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
 民法第220条(排水のための低地の通水)
   高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排水するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。

監修者のコメント

 最近の最高裁判例に、次のようなものがある。
 「宅地の所有者は、他の土地を経由しなければ、当該宅地に給水を受け、下水を公流又は下水道等に排出できない場合において、他人の設置した給排水施設を使用することが他の方法に比べて合理的であるときは、当該施設の効用を著しく害するなどの特段の事情のない限り、民法220条及び221条の類推適用により、当該給排水施設を使用することができる。」(最高裁平成14年10月15日判決、判例時報1809号26頁)

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