不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

1812-B-0252
媒介契約解除後の直接取引による寄与度に応じた報酬請求の可否

 当社は、専任媒介業者から客付けを依頼されたので買主を見付けたが、条件交渉もしないうちに媒介がストップした。その理由は、媒介契約が解除されたからであるが、その後買主がどうしても購入したいということで、当社からその専任媒介業者に連絡をとり、直接売主と交渉した結果、当社がその売却を引き受けることになった。このような場合、当社の媒介により成立した売買契約は、約款第10条に定められた「直接取引」になるか。

事実関係

 当社は、戸建住宅の売却の専任媒介契約を締結している同業者から客付けを依頼された。そこで当社はストックしている顧客の中から条件に見合う買主を見付けたが、条件交渉もしないうちに媒介がストップした。その理由は、売主の親類が売却に反対しているからだという。
 しかし、その後暫らくして買主から何とか買えるようにして欲しいという申し入れがあり、その旨を売主側の業者に伝えたところ、「当社はすでに媒介契約を解除されているので、当社から売主のところへ行くことはできないが、貴社から直接売主のところに行ってみたらどうか」と言われた。
 そこで当社は、売主のところに行き交渉したところ、反対している親類が売却に同意し、再度売ってもよいということになり、今度は当社が専任で媒介することになった。そのため、当社はそのことを従前の売主側の業者に報告したところ、担当者は「それはよかった」と言ってくれてはいたが、暫らくして、売主のところに同社から、「当社は、平成○年○月○日付貴殿との間で締結した専任媒介契約約款第10条の規定に基づいて、貴殿が直接取引を行った場合には、当社は寄与度に応じた相当額の報酬を請求をいたしますので、あらかじめご通知申し上げます。」という文書が届いた。
 そこで当社は、同社の担当者に「なぜこのような文書を出したのか」と聞いたところ、担当者が言うには、「当社としては、専任媒介契約期間中には一生懸命営業をしたのに、親類の一部が売却に反対しているということで、一方的に媒介契約を解除してきたので、やむを得ず今までかかった費用を償還してもらい契約を終了させたが、このようにすぐに取引が復活するということは、親類の反対というのは口実で、当社に非がないにもかかわらず、一方的に契約を解除してきたことがわかったからだ」というのである。

質 問

 このような場合、従前の専任媒介業者からの売主に対する寄与度に応じた相当額の報酬請求は認められるか。

回 答

1.  結 論
 従前の専任媒介契約が解除される前に、売主が、すでに買主と直接にあるいは貴社との媒介によって売買契約を締結する意思があったと認められるような事実がない限り、認められないと解される。
2.  理 由
 本件の【事実関係】によれば、従前の専任媒介契約が解除される前に、売主が買主と直接にあるいは貴社との媒介によって何らかの交渉をもったというような事実もなく、また、従前の専任媒介業者は、売主から媒介契約が解除された際に、売主から費用の償還を受けているので、この事実は、仮にその解除が媒介業者に非のない売主からの一方的な解除であっても、そのための約款第13条に基づく解除後の事後処理を行ったものと解することができる(民法第651条第2項本文)。したがって、それらの事実関係を考慮すると、その後に生じた直接取引の問題で、媒介業者が売主に対し寄与度に応じた相当額の報酬請求をするには、その媒介契約の解除以前の段階で、すでに何らかのかたちで売主に媒介業者を排除して直接取引を行うという意思と事実が認められない限り、請求し得ないと解するのが相当だからである(約款第10条)。

参照条文

 民法第651条(委任の解除)
 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
   当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

参照資料

 専任媒介契約約款第10条(直接取引)
 専任媒介契約の有効期間内又は有効期間の満了後2年以内に、甲が乙の紹介によって知った相手方と乙を排除して目的物件の売買又は交換の契約を締結したときは、乙は、甲に対して、契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求することができます。
 同約款第13条(費用償還の請求)
 専任媒介契約の有効期間内において、甲が自ら発見した相手方と目的物件の売買若しくは交換の契約を締結したとき、又は乙の責めに帰すことができない事由によって専任媒介契約が解除されたときは、乙は、甲に対して、専任媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。
   前項の費用の額は、約定報酬額を超えることはできません。

監修者のコメント

 排除された媒介業者から、直接取引を理由として媒介報酬の請求ができるかどうかは、現実に成立した売買契約とその媒介業者の行為に因果関係が認められるかどうかが決定要素である。その媒介業者の尽力した行為があればこそ売買等の契約が成立したという関係である。
 本ケースの売主側媒介業者は、事実関係を見る限り、成立した売買契約について尽力したという因果関係は認められない。一旦、媒介契約を解除して費用の償還も受けていることから、回答に言うような、その業者を初めから排除するための媒介契約の解除でない限り、報酬請求はできないと解される。

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