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賃貸事例 0806-R-0034
「経歴」を偽って入居した者に対する明渡し請求の可否

 賃貸マンションの入居時に「経歴」を偽って入居した者に対し、明渡し請求をしたいが、認められる可能性はあるか。

事実関係

 当社が管理している賃貸マンションに、経歴を偽って入居した者がいる。その者は宗教関係者で、ある宗教の寺院の住職を名乗っていたが、実は、その申込み段階で、すでに責任役員の職を解かれていた。そして、最近は、家賃もよく滞るので、貸主からは、部屋を明渡して欲しいと言われている。
 なお、その者は、時々部屋の中で大きな声でお経をあげることがあるので、嫌がる人もいるが、特別、人に迷惑をかけるというような行動はしていない。

 
質問

このような場合、借主に対する部屋の明渡し請求が認められる可能性はあるか。

 
回答
1.結 論

可能性はあるが、最終的には、家賃の滞納状況いかんによると考えられる。

 
2.理由
1.  賃貸借契約は、貸主と借主との信頼関係により維持される契約であるから、今回、貸主が借主に部屋の明渡しを求めるには、それなりの理由があるものと考えられる。しかし、その理由が単に賃料の滞納ということだけではなく、そもそもの入居時の経歴詐称にあるとした場合には、より深刻な悩ましい問題になる。
 
2.  とはいうものの、問題は、その経歴詐称の程度の問題で、その詐称の内容が、当事者の信頼関係に決定的な影響を与えるようなものであるかどうかが焦点となる。
 そう考えた場合に、本件のケースにおいて、「住職」という地位と、その地位を解任された「一般宗教関係者」との比較において、何が信頼関係の破壊原因になるかというと、「住職」というのは、通常、その寺院の「代表役員」という地位にあるので、宗教関係者にとっては、そうである者とそうでない者とでは、大きな差があるにしても、賃貸借契約における当事者の信頼関係という観点からは、それよりも、むしろそもそもの解任の理由がどこにあるのかということの方が重要な点であり、その解任の理由が、単なる宗教上の対立ならよいが、その者の素行(たとえば、詐欺・窃盗などの「犯罪」を犯した)などが原因で解任されたのであれば、貸主の主張にもそれなりの理由があるといわなければならない。
 
3.  しかし、その理由も、貸主との間の信頼関係の破壊という状況にまで至らないという程度のものであれば、あとは、賃料の滞納がどの程度の状況になっているのかによって、結論が異なってくる。
 通常、貸主との間の信頼関係が破壊される最も大きな原因は、賃料の不払いである。したがって、そのあたりの状況が、果して信頼関係を破壊する程度にまで、たびたび行われていたのかどうか、現時点で、滞納が解消されているのか、それとも継続しているのか、その不払いの継続は、再三の催告にもかかわらず続いているのか、といった事情が判断を分けるものと考えられる(参考判例:最判昭和39年7月28日民集18巻6号1220頁)。
 
監修者のコメント
 賃貸借における「信頼関係」を理論的に分けると「人的信頼関係」と「物的信頼関係」の2つがあるといわれている。前者は人的関係の側面に着目するもので、例えば、賃借人の女性が会社員を辞めて風俗産業の従業員になったことを理由として契約解除ができるかという問題であり、後者は、いわば経済的側面に着目するもので、賃料等の支払状況で判断するというものである。
 かつて、最高裁は借家人が進駐軍の将校のオンリーの女性であることを理由とする貸主からの解除を認めたが、いわば人的信頼関係を重視したものといえる。
 本ケースは、裁判所も悩むであろう難しい事案であるが、時代のすう勢、地域、国民の価値観の変化などにも左右される問題である。

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